
GSE:ファニーとフレディ
最近ニュースでも良く出てくるGSE。
Government Sponsored Enterprises の略で、
政府が後援する法人という意味です。
ファニーメイ(Fannie Mae・連邦住宅抵当公庫)や
フレディーマック(Freddie Mac・連邦住宅貸付抵当公社)
などの政府系住宅金融機関のほか
農業関連の公庫などが含まれます。
ちなみに、政府系住宅金融機関には、
もう一つジニーメイ(Ginnie Mae・政府住宅抵当公庫)という会社もあります。
こちらは、米国住宅都市開発省が管轄する
政府100%出資の会社です(元はファニーメイから分かれたのですが)。
で、今問題になっているのが、
ファニーメイとフレディーマックの2社。
今回の為替研究所では、
最近話題のGSE問題に触れてみようと思います。
ファニーメイとフレディーマックの問題に触れる前に、
米国の住宅金融の仕組みと、その中で両社がどんな役割をしているのかについて
簡単にまとめて見ましょう。
日本の場合、個人が住宅ローンを組むときは
ほとんどが銀行などから借り入れを行います。
こうして借りられたローンは、
一部債券化などが進んでいますが、
基本的には銀行の内部で管理されます。
もともと日本の場合、貯蓄が潤沢にあって、銀行ではお金が余っている状態ですので
収入などの審査を行い、
担保もしっかり取れている住宅ローンというのは、
銀行にとってありがたい商品だったのです。
(バブルがはじけたので、結構不良債権化しましたが)
米国の場合、
同様の役割を元々担っていたのが
貯蓄貸付組合(S&L)。
個人などから短期で集めた資金を、住宅ローンに貸し付ける
(日本の方式とほぼ同じですね)
貯蓄貸付組合(S&L)は、
FRBの優遇策(預金金利を銀行よりも高めに設定できた)のもと
全米に広がっていきましたが
1970年代後半から1980年代にかけての短期金利の急上昇によって
第一次S&L危機を迎えます。
(ようは、短期金利が上がって、貸し付けている長期の住宅ローン金利(固定)を越え
逆ザヤになってしまったのです。S&Lは優遇的な金利設定が認められる一方で
短期の預金設定しか認められていませんでした。)
これはいかんということで、規制緩和が行われて、
変動金利の貸付や株式、商業不動産への投資など
S&Lの行動が、自由化されていったのですが、
これがまともに裏目に。
投機的な行動に走りすぎて、多くのS&Lが破綻してしまいました
(第二次S&L危機、単にS&L危機という場合こっち)。
そうした中で
新しく住宅ローンを担うようになってきたのが
自身では預金を持たずに住宅ローンの貸付を行う
住宅ローン会社(モーゲージカンパニー)です。
こうした会社は、貸し付けた住宅ローン債権を
ファニーメイやフレディマックなどに売却し、
ファニーメイやフレディマックは
その住宅ローン債権を債券化して(漢字の違いに注意)投資家に売却するという仕組みです。
しかし、サブプライム問題の大元にある住宅市場の冷え込みをうけて
原資産である住宅ローン債権の価値が毀損され、
ファニーメイやフレディマックの経営危機が懸念されるようになったというわけです。
いろいろな試算がありますが、
リーマンブラザーズの分析を例にすると、
両社は750億ドル(約7.9兆円)の増資が必要とされてるようです。
ファニーメイやフレディマックの発行する債券は
ジニーメイ発行のもののように公式に政府保証が付いているわけではありませんが
設立の経緯もあり、暗黙の政府保証があるとみなされて
高い格付けを取得。
いまや米国債を上回る規模のあるMBS(住宅ローン担保債券)市場の残高は
11兆ドル(約1150兆円)に上ると見られていますが
そのうちの実に5.2兆ドル(約550兆円)にファニーメイとフレディーマックが関与していると見られています。
昨年の日本の名目GDPが約516兆円ですから
どれだけ大きいかがわかります。
暗黙の政府保証のおかげもあり、
世界中から投資家が集まっており、
5.2兆ドルのうち、
中国が3760億ドル、日本が2290億ドルを保有。
海外投資家全体では1.3兆ドルを保有となっています。
こんな組織がまともにころんだら、
世界中が大混乱に陥ってしまいます。
本来の米国の姿勢からすると
整然と精算させるというのが本道でしょうが、
TooBig TooFail (つぶすには大きすぎる)ということです。
また、暗黙の政府保証という問題もあります。
何かあっても政府の保証がつくからと
投資家は投資してきたのですから、
政府としても、見捨てるわけにはいかないというところでしょう。
ということで、
米政府とFRBは支援策を発表。
一部で難色を示している米議会も
来週には支援策が可決されそうな流れとなっています。
ただ、GSEの破綻が回避されたとはいえ、
問題が収束とはいかないのが難しいところ。
破綻回避によって、FRBの資産劣化は避けられませんし、
財務省による支援では、財政悪化が拡大する可能性もあります。
そうなると
結局はドルに対する信任低下からの
ドル安を招くのではという懸念もあるようです。
一旦は落ち着くかと見えた米金融市場ですが、
まだまだ予断は許さない状況のようです。
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