終了期限迫るFEDのMBS買い取り
新年を迎えても、当然ながら、金融情勢に急に明るい材料が出てくる訳ではない。むしろ、年を越えたために、強く意識されるようになったのは、FEDによるMBS(モーゲージ担保証券)買い取り終了期限の3月末である。特に住宅建設業者やMBSへの投資家には不安が広がっている。30年固定のMBS金利は、ここ1カ月で、5.2%へと約0.25%上昇し、昨年9月以来の高い水準となった。金利の上昇がまだ穏やかなのは、FEDが既定方針を変更するとの期待があるからのようだ。他方、予定通り3月末にMBSの買い取りを終了した場合の影響については、見方が分かれている。
弱気派は、MBS金利は1%程度大きく上昇すると予想する。加えて、高失業率や依然増加を続ける差し押さえ件数と相俟って、5ヵ月連続の上昇で底を打ったと見られた住宅価格も、再び2割程度下落するとの悲観的なシナリオを描く。FEDはこれまでに9090億ドルのMBSを購入したが、3月末までに、1兆2500億ドルを上限に買い取りを進め、プログラムを終了する予定。FEDが支援を打ち切っても、住宅市場が自律回復できる強さを取り戻したかどうかを判断する時期に来ている。
この問題に関しては、FED内部でも意見の違いがあるが、多数派は、予定通りの買い取り終了を支持している。しかし、先週公開された昨年12月15、16日のFOMC議事録によると、ハト派委員は、「経済成長の見通しが弱まり、MBS市場の状況が悪化するような事態になれば、当初の資産購入の規模を拡大し、第2四半期以降も継続する必要がある」と考えている事が明らかになった。
一方、財務省は、昨年末にファニーメイとフレディマックの信用供与枠を拡大し、無制限に支えることを決定。これで、両社が保有する債券が急に売却される事態は回避される事となった。この財務省の決定は、納税者に負担を強いるとして批判も強いが、FEDにとっては、政策決定の自由度を高める朗報となった。そもそも、住宅のような個別セクターの支援は、中央銀行ではなく政府の仕事で、緊急対応から正常化に向けて舵を切るべきだとの思いがFEDには強い。
しかし、FEDの購入終了が、影響の大小はあっても、市場にとって悪材料となる事は間違いないため、当初計画を変更すると信じる関係者は多い。これに対し、FED内では、終了しても、0.5%以下の金利上昇に収まるとの見方が有力のようだ。昨年9月に、3月末で購入終了の意思を表明した時も、市場があまり反応しなかった上に、3000億ドルの国債購入終了による市場への影響が軽微だった事がその根拠となっている。但しFEDは、この問題を外野ほど深刻に捉えていないようだ。その訳は「自らが課した3月末の期限を絶対厳守の約束とは考えておらず、経済状況を考慮して変更する用意があるからだ」と、MNIのべックナー記者は解説している。
FEDによる大量購入で、MBSと国債とのスプレッドは、0.65近辺で推移。これは通常水準の1.15より、0.5も低いので、FEDが判断する際の材料となりそうだ。しかし、住宅価格は落ち着きを取り戻したものの、税額控除など政府の支援策が終了すれば息切れする懸念もある。またデフォルト予備軍は依然大きな問題で、最近では、下落した保有住宅価格と返済負担を勘案して、自らデフォルトを選択する債務者が増えるなど、新たな心配の種も出てきた。FEDによるMBS購入終了が、米景気回復のカギを握る住宅市場に与える影響について注視する必要がありそうだ。(了)
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