小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小沢氏が無利子国債を提唱する理由

 小沢ショックの影響もあり、長期金利(10年物国債流通利回り)が昨日、1.195%まで上昇したといいます。

 やっぱりテレビのコメンテーターなんかよりも、マーケットの方が小沢一郎という男をよく見抜いているのだ、ということのようです。

 マーケットの方が政治家小沢一郎のことをよく見ているとは?

 そ、れ、は、もし、小沢氏が総理にでもなることがあったら、マーケットの展開に大きな影響を与えることが確実だと思っているからです。即ち、小沢氏に言動に注意を払うことが儲けにもつながれば、また、そうしないことで大きな損失を被ることがあり得る、と。

 では、一時は0.9%を割っていた長期金利が今や何故急に上昇しだしているのか?

 それは、小沢氏が1年前に作ったマニフェストを忠実に実行すると強調しているからです。つまり、今後もばら撒きが続けられることになれば、国債の増発も必至であり、そうなれば、金利は上昇する筈だと読んでいるということです。

 ところで、そこの貴方! 昨夜のTBSのNEWS23とかいうのご覧になりました?

 そんなに遅い時間だというのに、小沢一郎氏が出演していたのです。

 
 先日のテレ朝のスパモニに小沢氏が出演した時のスタジオ内の雰囲気は、和気あいあいとしたものであったので、今晩も‥などと思っていると、全然雰囲気が違います。

 小沢氏は不満そうな顔をし、そして、2人のキャスターは、痛いところを突きまくるわけです。私なんか、怖くてとてもそこまで聞けないな~と思いつつ見ていたわけですが、先日のスパモニの出演者のように小沢氏をよいしょすることは一切なし。

 で、政治主導の話かなんかになったときに、小沢氏が、事業仕分けを批判したわけなのです。

 この1年間、民主党がやってきたことのなかで唯一評価されてもいいと思われる事業仕分けをばっさりと切り捨てたのです。

 で、具体的に何と言ったかといえば、事業仕分けも一律削減ではないか、と。私は、小沢氏が何を言いたいのか、とっさには分かりませんでした。

 事業仕分けが一律に削減?

 それは、また異なことを‥

 でも、聞いていて、彼が言いたいことが分かりました。要するに、切るばかりではいけないと言いたかったわけです。メリハリをつけて増額するところは増額しろ、と。もっといえば、政治家の主導で、否、小沢陣営の主導で、予算をどんどん付けるようにしたいと彼は言っているわけです。

 で、小沢主導になれば → 財政出動がなされ → 地方や業者にお金が流れ、
 
 そうなれば、自分たちの政策が支持され、小沢陣営に対する献金というか支持率が増加する、と。つまり、菅さん流に言えば、そういう好循環を実現できるのだ、と考えているわけです。

 まあ、そうなれば、疲弊した地方が一時期潤うことも期待されはするわけですが、結局、それこそがかつて自民党がやってきた手法ではないのでしょうか。また、おやりになるのですか、と聞きたいわけです。

 それに、ここにきて大きな疑問が浮かびます。

 財源はどうするのと聞かれて、小沢氏は、無利子国債や国有財産の証券化に言及するわけですが、その前に先ず挙げることはといえば、予算の全面的な組み替え、或いは政策経費の抜本的な見直しを言う訳です。大胆に見直せば、財源は出てくるのだ、と。

 貴方は、小沢氏が言うことを信じますか?

 私は、昨夜の話を聞いて、それが信じられなくなりました。何故ならば、小沢氏は事業仕分けを一律削減だといって批判したからです。事業仕訳をおかしいと言う人が、どうして予算の全面的な組み替えなど行うことができるというのでしょうか。それに、財政出動は、ちまちまやってもしようがないから、やるときはどかんとやるべきだと言う人が、本当に予算の全面的な組み替えなど行う意思があるとはとても思えないということです。

 それに‥百歩譲って、予算の全面的な組み替えを行ってみたところで、もはや大したお金を絞り出すことは無理だろうということなのです。

 で、当然ながら小沢氏もそのことを察知しているからこそ、無利子国債や国有財産の証券化などにも言及しているのだ、と。

 しかし、ここでも一つ、疑問が浮かびます。そんなに財政出動をしたければ、国債を増発すればいいではないのか、と。現に、日曜日のテレ朝の番組で、あの榊原教授が、無利子国債など発行しなくても、まだ今の日本は国債を発行する余力があるから心配する必要はないと言っていたわけです。

 私もそう思います。国債の増発が良いか悪いかの議論は別にして、まだ、国債を発行する力はある、と。

 では、何故、小沢氏は、国債を増発すればいいとは言わないのか?

 そこが小沢氏がスマートである所以なのです。最初から、そして自分の口から国債の増発に言及するのであれば、将来世代に借金を背負わせるつもりか、というような批判が起きないとも限らない、と。要するに、小沢氏は放漫財政を認めようとしており、無責任だという批判が起きるかもしれない、と。だから、決して、自分から国債の増発については発言すべきではない、と。

 では、財源はどうするのか?

 そこで、無利子国債のアイデアを提唱する、と。無利子国債は、文字通り利息がつかない国債であり、将来の負担が軽いものだから、従来の国債とは分けて考えることができると言えばいい、と。それに、そうやってタンス預金として眠っているお金が有効に使われれば、景気回復にも役に立つと言えばいい、と。

 では、小沢氏は、無利子国債の発行が実現すると思っているのか?

 小沢氏は、その可能性はゼロだと思っているのです。つまり、無利子国債の発行など提案しても、財務省は反対するであろう、と。相続税が大きく減少するし、過去海外で実施されたものの失敗した経験もあるから、と。


 そうなると、小沢氏のストーリーは失敗に終わるとも思えるわけですが‥

 そうではないのです。それもストーリーのなかに入っているのです。

 筋の悪い無利子国債など財務省が受け入れる筈がない、と。彼らは、そんな筋の悪いものを受け入れる位なら、通常の国債を増発すればいいではないか、必ず言うであろう、と。

 つまり、小沢氏が国債の増発を主張しなくても、財務省が国債の増発はやむを得ないと言うであろう、と。

 そういうことを考えているわけです。流石です。

 で、その一方で、菅総理はといえば、何故小沢氏が無利子国債の発行や国有財産の証券化などを言いだしているのか、その真意さえわからず、国有財産の証券化には関心をもっているなどとピントはずれなことを言っているのです。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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