小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

総理の条件

 今、民主党の総裁選が繰り広げられています。来週14日には、事実上、次の我が国の総理が決まるとことになります。

 貴方は、どちらを支持しますか?

 まあ、私今回、選挙をしなくても済むので気が楽でもあるのですが、でも、こんな状況でいいのだろうか、とも思うのです。何故ならば、お二人とも、ねえー‥

 では、どんな人が総理に相応しいのか?

 いろいろと頭のなかで想像することは可能です。でも、なかなか‥

 ということで、この10年間に総理になった人のことを振り返ってみたいと思います。

 先ずは、小泉純一郎。で、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と続き、そして、政権交代が起き鳩山由紀夫となり、今の菅直人となるわけです。

 はっきり言って、政権交代が起きたが、日本はどうよくなったのか、と。

 確かに、事業仕分けによって多くの無駄が白日の下に曝け出されたのは事実でしょう。その意味ではよかった、と。ただ、天下りの廃止に関しては、何かもやもやしているだけのような‥。

 菅総理と官僚が反目しているようでは、どうしようもありません。天下りを廃止させるのであれば、それに伴い公務員制度の抜本的な見直しをしない限り無理なのです。しかし、公務員制度の抜本的な見直しをやっている余裕もない、と。


 ところで、小沢氏は、概算要求に関し、菅内閣が一律にマイナスシーリングを求めたことに対し、それは自民党時代の官僚主導のやり方だ、と言って批判します。

 で、それに対して、菅総理は、予算編成の一コマをみるのではなく、結果をみて判断して欲しいと言います。本年度の予算でも、公共事業費が18%も削減されているが、そんなことは自民党が与党だった時には起こり得なかった、と。

 しかし、その指摘は必ずしも適切とは言えません。

 実は、あの小泉政権のときから、公共事業費は大幅に削減され続けてきたからです。

 菅総理は、何かといえば小泉・竹中路線を批判したがります。私も、竹中氏の経済政策には疑問を持つことが多いので、竹中氏の批判は歓迎なのですが、しかし、小泉さんが、新規国債の発行額を30兆円以内に抑えようとした姿勢は、それはそれで大変な見識を示すものだったわけです。で、その結果、やっと公共事業費の抑制ができたのだ、と。

 その証拠を数字でお示ししましょう。

<公共事業関係予算の推移、 補正後>

 2000年度 11.5兆円
 2001年度 11.3兆円
 2002年度 10.0兆円
 2003年度  8.3兆円
 2004年度  8.9兆円
 2005年度  8.0兆円
 2006年度  7.8兆円
 2007年度  7.4兆円
 2008年度  7.3兆円
 2009年度 8.8兆円
 2010年度  5.8兆円

(注)2010年度は、当初予算ベースの数値であり、今後補正予算が組まれれば、増加修正されることになる。


 如何でしょうか。確かに本年度の公共事業費は、ガクンと落ちてはいるわけです。しかし、これは当初予算ベースの話で、今後補正予算が組まれることが必至でしょうから、そうなれば7兆円位まで膨れ上がってもおかしくない、と。で、そうなれば、今までの水準とそうは変わらないということになります。

 というよりも、2009年度には、リーマンショック後の景気悪化を食い止めるために額が増大したわけですが、それを除けば、一貫して公共事業は減ってきていたのだ、と。そして、それをスタートさせたのは小泉さんだったわけです。

 それはそうと、歴代の総理、どんなところがよくて、どんなところが悪かったのか、と。

 歴代の総理のなかで、経済政策に自信を持っていた(いる)方が何人かいます。誰だと思いますか? その反対に、経済にはそれほど詳しくないと自覚していた方は?

 一番自信を持っていたのは麻生総理。 そして、次に菅総理ではないでしょうか。彼らの経済観がどんなものであったのかは、既に何度も論じているので、本日は、それには触れません。

 反対に、経済は、それほど詳しくないと思っていた方は?

 第一は、小泉総理だと思います。彼は、単に市場経済が優れていると単純に信じていただけで、高邁な経済理論を口にしたことはありません。

 それどころか、竹中氏と与謝野氏が物価の上昇率と国債の金利の関係について論争したときなどは、そんな議論などどうでもいいと一喝したほどなのです。それほどアカデミックな議論は嫌いだった、と。で、現実の経済はどうなったかと言えば、巡り合わせということもあるのでしょうが、円安にも助けられて日本経済は徐々に回復していったわけです。言っときますが、先ほど言ったように、ずっと公共事業費を削ってきたにも拘わらずです。

 まあ、その代わり、この小泉氏にも大きなマイナス点をつけなければならない点がある訳ですが‥、それは何かといえば、小泉氏は地球温暖化など環境問題には全く関心を示さなかった、と。

 で、このように地球環境問題に関心を示さない人といえば、菅総理もそうですし、小沢氏もまた同じだ、と。この二人、街頭やテレビで持論をまくしたてていますが、環境の話はこれぽっちもして
いないのです。

 菅さんは、あれだけ諫早湾干拓事業に反対したのに‥

 何故なのでしょうね。諫早湾干拓事業に反対したのは、自然の保護ということではなく、無駄な公共事業に反対したかっただけなのでしょうか。残念でなりません。

 その点、鳩山総理は、温暖化ガスの大幅削減を経済界の反対を押し切って世界に表明したわけですが、あれは、信じてよかったのでしょうか? どうせ、米国や中国は賛成できるはずがなく、合意には至らないだろうから、そうなれば日本の経済界だけに負担がかかるものではない、ということを見越した上で、良い格好を見せただけの話ではないでしょうか。

 温暖化を何とかしようと本気になっていたのは、第一に福田総理ではないでしょうか。まあ、どこまで考え抜いて発言したのかは分かりませんが、所信表明演説で福田総理は、温暖化対策に本気で取り組むためには、我々のライフスタイルを見直すことから始めなければならない、と大変な関心を示したことは事実なのです。だから、そういう意味でも最後の引き際がよくなかった、と。

 真に総理として相応しいのは、経済と環境の問題という連立方程式を解く能力とを有した人なのではないのでしょうか。決して総理が一人でその方程式を解く必要があると言っているのではないのです。事柄の重要性を認識したうえで、英知を結集すればいいのです。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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