小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

小沢一郎の経済観

 菅対小沢の一騎打ちが始まりました。

 「小沢さんが予算委員会に長い間、座っている場面はなかなか想像できない」

 「菅さんが予算委員会で居眠りしている場面は簡単に想像できる」


 こんなやり取りがあったはずはありません。 悪しからず。

 本日は、菅さんと小沢さんの主張を採点してみたいと思います。 以下、敬称略


<小沢>
 日本は今、日本人の誇りであった「経済大国」という言葉がむなしく響くほど経済が停滞を続け‥

<菅>
 バブル経済の崩壊から20年も続く閉塞状況の中、我が国の病弊は限界に達しています。

■採点 
 二人とも、何を見ているのだろうか? 確かに、雇用環境には厳しいものがあるが、街を歩いていて、或いはデパートの中を歩いていて、それほどの悲壮感は漂ってこない。
 それに、そんなに酷い状況なら、どうして中国から大挙して旅行者が押しせるのか? しかも、ちゃんと日本製と書いてあるのを確かめてお土産を買うわけです。
 二人の、選挙民にこびるような姿勢が厭になります。
 菅総理などは、毎晩ホテルのレストランやら中華料理やらで豪華なものを食べているではないですか? 我が国が本当に限界にあるなら、そんな余裕はないはずです。


<小沢>
 就職できずに人生に絶望している若者や、自らの命を絶つ人たち、行方の知れない高齢者が相次ぎ、社会が急速に崩壊しつつある。そのような閉塞感の打破を国民に約束した昨年の総選挙のマニフェストと政権交代の原点に立ち返り、総選挙マニフェストを誠実に実行することに全力を挙げる。

■採点
 前半部分は異議なし。しかし、そのこととマニフェストの実行がどう関係するのか?
 小沢氏は、マニフェストの実行は、国家予算207兆円の全面組み替えで可能だというが、それは無理でしょう。

<菅>
 日本が直面する限界を打破し、「元気な日本の復活」を目指します。第一の柱が、「雇用」を起点とした国づくりです。第一に「雇用」、第二に「雇用」、第三に「雇用」で取り組みます。

■採点
 気持ちは分かります。弱者や若者を助けたいと。その志は大いに結構! しかし、どうやって雇用を創造するのか? 菅さんは、医療や介護や環境の分野でというだけです。雇用というのは、企業が投資に前向きにならないと生まれないのです。では、どうしたら投資に前向きになるのか? 金利を下げたらいいのか? そんなことではありません。儲かる環境を実現することが必要なのです。つまり、不必要な規制は撤廃すべし! でも、そうしたことに対しては、それは市場原理主義だからと、菅さんは反対するわけです。

<小沢>
 円高効果を生かす一方、今後の急激な円高については、日本経済をまもるために、市場介入を含むあらゆる方策を果断に実施する。
 
■採点
 今後の急激な円高とは、具体的にどういう状況を意味するのか? それに、米国の意向に反してまで為替介入をするつもりがあるのか? 口だけのような気がします。


<小沢>
 子ども手当は、平成23年度から月額2万円に引き上げ、平成24年度から満額の2万6千円を支給する。

■採点
 財源はどうするのか? 207兆円の国家予算を全面的に組み替えても、大した金額にはならないでしょう。また、子ども手当など配るから、円高対策のために使うお金がなくなってしまう。

<小沢>
 漁業についても、平成23年度から段階的に所得補償を導入する。

■採点
 ばら撒きをやっても、日本の漁業の強化にはつながらない。


<菅>
 財務省こそ野放図の財政を放置してきた張本人。財務省主導を改めなければならないというのが、私の政権の眼目だ。

■採点
 認識がおかしい。財務省は絶えず増税を企んできたはずだ。野放図な財政は、政治家の無責任さがもたらしたものだというべきだ。

<小沢>
 国の資産のうち200兆円ぐらいは証券化できるといわれている。十分、我々の主張する政策の財源は捻出できる。

■採点
 おかしい、全くおかしい。確かに霞が関の土地建物、或いは国会議事堂などを売却するとか、証券化してその証券を売却すれば、少しはお金が手に入るかもしれないが、そうなると、今度は、そうした土地建物を賃借りしなければならず、逆にお金がかかる結果になってしまう。


 こうしてみると、小沢氏は、相変わらずばら撒き体質であることがよく分かる。その意味では大変に無責任だと思う。一方、菅総理は、その点では現実的になっているが、気持ち先行で経済のことがまだよく分かっていないという感じがする。

 菅総理は、国民が主体的に参加する民主主義を標榜する。国民の声を政治に反映させるべきだ、と。しかし、選挙戦での消費税引き上げの発言にしても、菅総理は、実際にはいろいろな意見を聞いて判断をするのではなく、独断で何でも決めてしまう性癖がある。官僚の意見も含めて、専門家の意見をもっと聞くべきではないのか。

 菅総理がしゃかりきになればなるほど、菅総理の支持率は落ちる傾向があるようだ。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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