小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

日本銀行の追加金融緩和策

 日本銀行は、本日、臨時の金融政策決定会合を開き、追加金融緩和策を決定しました。

 具体的には、昨年12月に導入した新しい資金供給手段の規模を現在の20兆円から30兆円へ増額するというものです。但し、期間がこれまでの3カ月ではなく6カ月となるということで、結果として、期間3カ月の資金供給規模が20兆円となり、期間6カ月の資金供給規模は10兆円になるということです。


 まあ、こうしたこともあって、本日株価は大きく回復しているところです。

 皆さんは、今回の決定について、どう考えますか?

 遅過ぎたが、よかった?

 しょぼい内容かもしれないが、何もしないよりよかった?

 でも、今回の新型オペの拡充案に関しては、日銀の政策委員のうち、お一人が反対の票を投じたのだとか。

 反対したのは、須田美矢子審議委員。

 須田さんは、3月に、この新型オペを10兆円の規模から20兆円の規模に拡大するときにも反対をしていました。

 皆さんは、どう思います? 反対した須田審議委員のこと。

 とんでもない人だ?

 私は、そうは思いません。彼女は信念を貫いたと思うのです。

 で、本当は他にも反対したいと内心思った人がいないこともないと思うのですが、大人の対応をしたのだ、と。

 つまり、ここで変な意地を張って政治家やマスコミやマーケットを失望させても仕方がないではないか、と。


 何故、私がこんなことを言うのか?

 それは‥

 我が国の企業は、今、余裕資金が過去最高の水準にあるからです。今年3月末の時点で、金融機関などを除く民間企業の現金・預金残高は、何と過去最高水準の202兆円もあるのだとか。

 それに先日ご紹介したように、我が国の企業は、最近、有利子負債を長期の社債で保有する動きに出ているとかで、少なくても大企業は、資金の調達面では全然困ってはいないのです。

 ですから、いくら新型オペを拡大するといったところで、それを一般の企業が有難がるということは余り考えられず、単に資金繰りに困っている銀行などが助けられるというだけの話ではないでしょうか。

 というのも、この新型オペは金利入札方式ではなく、固定金利方式であるため、資金繰りに困っている銀行も、低利で長期間の資金調達が可能になるからです。


 ということで、専門家であれば、殆ど効果はないであろうと思う今回の決定も、しかし、日本銀行が臨時の金融政策決定会合を開催したということで、それなりの敬意を示したというだけの話であるのでしょう。

 今回の決定は、追加の金融緩和策と言われます。

 でも、短期金利が引き下げられるわけでもなし、長期金利はむしろ、また1%台にまで上昇している有様です。

 そして、繰り返しになりますが、今回の措置によって、企業の資金繰りが楽になるわけでもありません。というよりも、既に余剰資金が発生しているほどだからです。

 でも、追加緩和策と呼ばれるわけです。

 でも、マーケットが好感しているというのであれば、何も異議を述べる必要はないかも‥

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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