小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

無利子非課税国債の愚

 政治家菅直人(敬称略)が色あせてしまった。

 賞味期限なのだろうか、或いは、そもそも見た目だけだったのだろうか?

 一度食べてみたいと思っていたのに、そして、実際に食べてみると、なんじゃこりゃ?

 でも、ここは一流レストラン。オードブルだけ食べて帰るわけにもいかないし、と。

 多くの国民は、私と同じような感想を抱いているのではないでしょうか。もう少しやってくれると思っていたのに‥と。まあ、いずれにしても、交代して間がないから今すぐ変わるというのも‥


 多くの国民は、菅総理が、消費税の引き上げに関しころころ言うことを変えたことに不信感を抱いたかもしれません。それも支持率を下げた理由でしょう。

 でも、そもそも国民新党と連立を組み、しかも、郵政改革法の早期成立を目指していることに納得がいかない国民が多数存在することも事実なのです。

 で、連立を組んでいる国民新党の亀井代表は、国民新党が主張することが間違っているというのであれば、有権者の判断で国民新党を潰してくれ、とまで参院選の直前に言っていたわけです。

 で、選挙の結果は、国民新党に対してノーという声が付きつけられた、と。


 にもかかわらず、菅総理は亀井代表の相手をしている、と。まあ、ねじれ現象が発生してしまっていることから、菅総理の立場も分からないではないのですが‥

 それにしても、ねえ‥、という感じです。

 7月25日、菅総理は都内のホテルの日本料理店で亀井代表と会談し、その際、亀井代表は持論ともいうべき無利子非課税国債の導入を提案したとか。

 で、菅総理がどう応えたかといえば、「勉強する」と。

 この方々、一体何を考えているかと言いたい。

 まあ、亀井氏は、常識で判断することのできない人間だからこの際おいておいて‥、しかし、総理ともあろう方は、国民の生活を守るという重い責任があるのにもかかわらず、単に連立を維持するためだけの理由で、できもしないことを言ったり、期待を抱かせるような発言をするのは如何なものか、と。

 そのような言動を聞いて、国民はまた、失望してしまう、と。

 もし、総理が、次のように記者に言ったらどうでしょうか。

 「亀井氏と会談をしたのだが、彼は持論の無利子非課税国債の導入を持ち出した。私は、バカバカしくていい加減にしろと言ってやったよ」と。

 もし、菅総理がそのような態度をとれば、国民のなかには菅総理もいいことをいうではないか、と思う人が少なからずいるわけです。

 皆さん、お気づきだと思うのですが、現政権は、既に来年度の予算編成に関する大枠を合意しているわけです。

 例えば、歳出合計は、国債費を除いて71兆円以下に抑えること。そして、国債の発行額は、今年度と同じ44兆円以下にする、と。

 つまり、現政権は、国債の発行はほどほどにしようと自覚しているのだ、と。だから、新規国債の発行額は今年度の発行額の44兆円を上回ることがないようにしよう、と。

 一方で、亀井氏の頭の中はといえば、国債の発行額などおかまいなしで、今後もイケイケどんどんで財政出動をすべきだ、と言っているわけです。

 で、もし、国債の発行を増やすことに対してマーケットが拒否反応を示すようであれば、無利子非課税国債という切り札がある、と。そうした異例の国債を購入するのは、全く異なる人々だから、そうした国債を発行すればまだまだ国債の消化に支障をきたすことはないであろう、と。

 だから、向いている方向が、民主党と国民新党は全然違うということなのです。

 もし、民主党が、国債の発行額に拘らないという考え方であるのならば‥、そしてまた、国債の増発をしたいのだが、国債がスムーズに消化されるかどうか懸念されるというのであれば、そのときには、亀井氏のいう無利子国債を検討するというのも分からないではありません。

 でも、繰り返しになりますが、現実はそうではない、と。

 それに、無利子非課税国債というのは、結局、国がお金持ちから一定期間お金を融通してもらう代わりに、相続税を放棄しましょうという制度ですから、お金持ちがよろこぶだけで、そして、国の借金を益々膨らませるだけの話なのです。

 まあ、仮に今日本の金利が極めて高い水準にあり‥、例えば、10年物国債の利回りが10%ともあるというのであれば、相続税を非課税にしても、その代わり利払いがゼロになるのであれば、財政再建に少しは寄与するかもしれないとは思うのですが‥

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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