小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

ストレステストの結果発表

 欧州の銀行に対するストレステストの結果が発表になりました。

 域内20カ国の91の銀行に対して行った検査の結果、資本不足とみなされた銀行の数は7行で‥

 で、その7行は、ドイツの銀行が1行、スペインの銀行が5行、そしてギリシャの銀行が1行で‥

 そして、ドイツの銀行のヒポ・リアルエステートは既に国有化されており、そしてギリシャのギリシャ農業銀行も国有化されているほか、スペインのカハスールにもスペイン政府が公的資金を注入済みなのだとか。

 つまり、今回資本不足とされた銀行は、資本不足とみなされて当然のところばかりのようで、サプライズはなし。むしろ、経営悪化がささやかれていたような銀行が合格点を取り、その方がサプライズであるような。

 いずれにしても、総トータルの資本不足額は、35億ユーロ、約3900億円相当だとか。

 いいですか、もう一度言います。

 欧州の91の銀行の資本不足の合計が、たった3900億円なのだ、と。だとしたら、何故あんなに疑心暗鬼になっていたのか?


 はっきり言って、今回のストレス結果の発表は、成功したとは言えないでしょう。何故ならば、そんなに小さい数字なら、むしろ出さない方がましだった、と。却って不信感を増すだけだ、と。

 でも、そもそもこのストレステストを欧州側に強く勧めていたガイトナー財務長官は、このテストの結果発表に歓迎のコメントをしたと言います。

 へーっ、てなものです。何と言っているのでしょうか。

 We welcome the release of bank-level stress test results in Europe. With this undertaking, the EU has made a significant effort to increase disclosure on the conditions of individual European financial institutions and enhance market stability.

 「我々は、欧州において行われた銀行のストレステストの結果が発表になったことを歓迎する。こうしたことにより、EUは、ヨーロッパの個々の金融機関の情報開示を進めるとともに市場の安定性を高めるために大いに努力している」

 確かに歓迎のコメントなのでしょうが、でも余り心がこもっているとも思えない、そんなコメントです。

 まあ、それもそのはずですよね。多くの関係者がテストは甘かったのではと言っているわけですから。

 いずれにしても、今回のテストの基準が実際にどうかという問題とは別に、たった3900億円程度の資本不足にしかならないという数字を出したことに、関係者のセンスのなさを感じます。

 昨年5月の米国のストレステストの結果では、746億ドル、つまり7兆円ほどの資本不足の恐れが指摘されたわけですから、今回は桁が一つ足りなかったというべきではないのでしょうか。

 まあ、4兆円ほど不足しますと欧州が発表し、そして、その不足額は、速やかに各自が増資を行うなり、政府が公的資金を注入しますからといえば、マーケットはそれなりに納得したと思うので
す。


 それはそれとして、今回のストレステストの基準についても一言コメントしておきたいと思います。

 私も、テストの基準が甘いと思います。

 例えば、資産として保有している国債の評価についてですが、時価評価をするのは売買勘定分に限定しており、満期保有分については全額が償還されると看做しているわけですが、それは甘い、と。

 何故ならば、幾ら満期まで保有するつもりでも、もし仮にどこかの国がデフォルトを起こせば、その国債の価値の大半は確実に失われてしまうからです。

 売買勘定に計上されている5年ものギリシャ国債の場合には、価値が約23%目減りすることを織り込んだとされていますが、満期保有分についても同様の条件で評価すべきだったのではないのでしょうか。


 まあ、いずれにしても、まだまだ尾を引きそうです。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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