小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

渡辺代表の日銀批判

 みんなの党の大躍進で、渡辺代表がテレビに出まくっています。

 多分思っているのでしょうね。思い切って自民党を跳び出したが、リスクを取ってよかった、と。その一方、自民党を跳び出るのではなかったと思っている筈の人が、舛添議員。

 まあ、舛添議員の場合には、単に谷垣批判だけをし、思いつきで跳び出してしまった感があったので、国民の理解を得られなくても、それは当然と言えば当然。それにやりたいこともはっきりしない。

 で、この2人に共通するのは、目立ちたがりで、そして日銀批判が大好きなことです。

  ただ、舛添議員の方はテレビに出演する機会も少なくなっているので、この際コメントすることもないのですが‥、渡辺氏に対しては、大いに苦言を呈さなければなりません。


 それは渡辺代表やみんなの党が、とんでもない主張をしているからです。もちろん、とんでもない主張といっても、経済に関する事柄だけに、何がとんでもないのか分からない人も多いとは思うのですが‥、また、だから敢えて私がそのことについて注意を喚起したいと思うのです。

 私は、彼らが霞が関改革に本気で乗り出すなら大いに支持したいと思います。その点は結構!しかし、経済政策についての考え方は、有害無益と言ってもいい。

 みんなの党が言うように、経済成長率が名目で4%を達成し、そして、国民の所得が10年で5割アップし、しかも埋蔵金を30兆円も発掘して、そして基礎的財政収支を10年間で黒字化することができたら、こんなに嬉しい話はありません。

 もし、その実現可能性が50%でもあれば、私は大声を上げてみんなの党を支持したい!

 渡辺氏は、こう言います。民主党が財源を発掘できなかったのは、覚悟が足りなかったからだ、と。自分たちには覚悟があるので埋蔵金は発掘できるのだ、と。

 まあ、百歩譲って、その話が本当だとしましょう。しかし、それでも30兆円しか財源は出てこないので、1年分の新規国債の発行額にも満たない計算になります。どうしてこれで基礎的財政収支を黒字化することができるなんていうことができるのでしょうか?

 みんなの党は、3年間は消費税を上げることはしないと言っているわけですが、それでは、4~5年先には大増税をするという可能性があるのでしょうか。確かにそうやって将来大増税をするのであれば、10年先の基礎的財政収支の黒字化は可能であるかもしれませんが‥、でも、そうなると国民を錯誤に陥れたことになるのではないでしょうか。

 いずれにしても、みんなの党も一部の経済学者と同じようにインフレターゲットを設けるべきだと主張しています。

 でもね、物価というのは、「原因」ではなくて「結果」なのですよ。

 つまり、景気がよくなれば、物価は上昇しがちである、と。しかし、「原因」でなくて「結果」だということになれば、無理やり物価を上げても、景気が良くなることはあり得ない、と。

 だから、仮に日本銀行が日銀券をどんなにじゃぶじゃぶ市場に流通させることができたにしても、そして、その結果マイルドなインフレを起こすことに成功しても、景気が良くなる保証はないということなのです。

 つまり、政府がなすべきことは、日銀の尻を叩くことではなく、教育の充実や、経済発展の妨げになっている様々な規制をとっぱらうことなのです。もう少し具体的なことを言えば、全員に子ども手当を配るようなことではなく、努力して成績が伸びた子どもにはご褒美を上げるとか、授業料を免除するとか。或いは、新製品の開発に成功し、日本の輸出の増大に貢献した企業には奨励金を交付するとか。

 いずれにしても、仮に日本のインフレ率が2%以上になれば、それだけで景気が回復するなんて期待する方がどうかしているのです。

 渡辺代表の発言が海外でも報じられています。(Dow JonesNewswires)

 Your Party chief Yoshimi Watanabe said the government and the Bank of Japan should commit themselves to achieving annual inflation of 2% as part of their efforts to eradicate deflationary woes weighing on the nation's economy.

「みんなの党の渡辺代表は、政府と日銀が、我が国経済に重くのしかかっているデフレの災難を根絶する努力の一環として、年率2%のインフレ率を実現することを言明すべきだ、と述べた」

 "Insufficient monetary easing has been the reason why Japan hasn't been successful in getting rid of itsdeflationary gap, and there is nothing more to say than that," Watanabe told the Wall Street Journal and Dow Jones Newswires in an interview. "Thus, the government and the Bank of Japan should conclude an accord and share a price stability target, which 'Your Party' thinks should be 2%."

「『十分な金融緩和を行ってこなかったことが、日本がデフレギャップから脱出することに成功しなかった理由である。それだけの話なのだ』と渡辺氏はウォールストリートジャーナルとダウジョーンズ・ニューズワイヤーズに述べた。『従って、政府と日本銀行はアコードを結び、物価の安定目標値を共有すべきなのである。みんなの党としては、その目標は2%にすべきであると考える」


 需給ギャップが発生し、それから抜け出れないのは、全て日銀のせい?

 そんなバカな!と言いたい。リーマンショックが起こり、世界的に需要が落ち込んだからではな
いですか。それは常識だと思います。

 規制緩和や教育制度の充実や、或いは少子化にストップをかけることにより経済が元気になり、その結果マイルドなインフレが起きるなら、それは結構!そして、それを日銀も大歓迎!

 しかし、何が何でも物価を2%上げるのだ、というプレッシャーをかけ続けるとすれば、仮にインフレになっても景気が回復する保証はないということになります。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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