白川総裁の記者会見
日本銀行の金融政策決定会合で、期間3カ月の資金を0.1%の金利で市中銀行の貸し出す新型オペの供給枠について、現在の10兆円から20兆円へ倍増することが決まりました。
但し、須田美矢子委員と野田忠男委員の2名は反対しました。
事情通の方なら、何が起きているのか、もう十分お分かりですよね。
こんなことをしたって殆ど効き目はないと分かりつつも、何らかのことをしないと政治が許さない、だからやっているだけだ、と。
まあ、そうした政治家の圧力に反発したというか、自らの信念を尊重した人が上に名前が挙がった二人なのでしょう。だとすれば、それ以外の委員は自らの信念に正直ではなかったのか?
その方々は、大人の判断をしたということですよね。幾ら今回の決定が余り意味がないとは分かりつつも、何かをしないと政治家の顔を潰すことになりかねない。そして、そんなことになったら、それこそどんな無理難題が飛んで来るかわからない。だったら、ここは政治家の顔を立てよう、と。
それに政治家の方も何を考えているか分かったものではありません。多分、今回の措置が殆ど効果がないことは気が付いているでしょう。でも、政治家が頑張って日本銀行を動かしたということを世間に示すことによって自分たちは責任を果たしたと言いたいだけのことでしょう。
大体、白川総裁の記者会見の内容をどう読んでも、彼が今回の決定を真に必要だと考えている節は窺われないのです。
白川総裁は、最近の景気は上振れ気味に推移していると何度も言及しています。つまり、少しはよくなっているよ、と。だとすれば何故追加策が必要なのか?
景気が下振れているので追加策を決定しましたというのであれば、意味が通ります。でも、そうではないのです。さらに、この新型のオペに対する需要が大変旺盛であるというのであれば、それはそれで今回の拡充決定も意味を持つでしょう。しかし、現実はそうではありません。
大体、最近の市中銀行は、貸出先がなかなか見つからないために国債での運用を増やしているという記事が出ていたばかりではないですか。資金需要が弱いのに、誰がそうやって日本銀行から資金を借りる必要があるなどと考えるでしょうか。
白川総裁は正直に言っています。
「それだけで経済が良くなるのか、デフレが克服されるのかといえば、それだけでなるものではない。ただ日銀は自らが持てる手段での貢献を求められているため、そうした努力をしている」
政府は、日本銀行が政府と共同歩調を取ることの大切さを盛んに強調します。確かに共同歩調を取ることが必要な時もあるでしょうが、しかし、そのためには政治家の方も、日銀が何を考えているのか理解することができなくてはなりません。もし、政治家の方の能力に限りがあるのに、見た目に共同歩調をとっているように見えるのであれば、それは日本銀行が政治家にお付き合いをしているだけの話なのです。
1920年代に起きたドイツのハイパーインフレは、今でも世界中の人が覚えているわけですが、今日本で起きている年間数パーセントの物価の下落について、後世の人々が語り継いでいるなどとは到底思えません。
何が何でも物価の下落を食い止めるべきだと考える人は、物価の下落が止まれば、給料が下がることもなくなる、あるいは給料が上がるであろう、と勝手に想像しているだけの話ではないでしょうか。しかし、そうなるとは限らないのです。何故ならば、物価が下がったから給料が下がるのではなくて、給料が下がっているから物価も下がる、と。つまり、給料が下がっているのは、物価が下がった結果ではなく、物価を下げている原因である、と。
では、何故給料が下がるのか?
それは、中国などの海外の安い賃金の影響が日本に及んでいるからです。
では、どうしたら給料が上がるか?
それには、消費者がどうしたも買いたくなるような売れる商品を開発するしかないのです。つまり、企業や労働者の能力を高めることしかない、と。
以上
PR / Ad Space
- 円高に隠されたもう一つの意味(11:27)
- 専門家ほど誤解する外貨準備(02/08)
- 年金制度の運命(02/07)
- 日本の支援を忘れ「軽」に難癖付けるビッグ3(02/06)
- 中国の野望(IMF乗っ取り計画)(02/05)
- 米国の失業率、解釈のテクニック(02/04)
- 中国の為替自由化と我が国の財政破綻確率の関係(02/03)
- やっぱりそうだった、日中国債持ち合いの意味!(02/02)
- 損するかもしれないのにトリプルA(02/01)
- 中国のバブルはまだ弾けない!(01/31)
PR / Ad Space
本サイトに掲載されている情報は、情報提供を目的としたものであり、特定商品や投資の勧誘を目的としたものではありません。
最終的な投資判断はお客様ご自身の判断と責任によってなされるものであり、この情報に基づいて被ったいかなる損害について小笠原誠治及び株式会社GCIキャピタルは責任を負いません。
小笠原誠治及び株式会社GCIキャピタルは、信頼できる情報をもとに本資料を作成しておりますが、正確性・完全性について小笠原誠治及び株式会社GCIキャピタルが責任を負うものではありません。
本サイトに記載されている情報は、作成時点のものであり、市場環境の変化等によって予告なく変更または廃止することがあります。






