小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

機械受注統計の謎

 昨日、機械受注統計が発表になりました。1月の「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)は、前月に比べ3.7%の減少だったとか。

 で、ああ、設備投資に動きが見られるのはまだ先のことになりそうだ、と思ったわけです。

 しかし、本日の日経をみると、こんなことが書いてありました。「携帯を除けば2カ月プラス」。

 一体、何のことなのでしょうか。


 記事をよく読むと、こんなことが書かれています。

 「船舶・電力を除く民需」は、前月比3.7%減だったが、ブレの大きい携帯電話を除くと2.2%増で2か月連続でプラス。(中略)内閣府は変動の大きい携帯電話の動きを除いた系列を今回初めて試算値として公表した。記者会見で内閣府の津村啓介政務官は「ここ数カ月、携帯電話の受注の動きが全体を大きく動かしていた」と説明した。4月分(6月公表)からは参考系列として報告書にも正式に掲載するという。

(以上、引用終わり)

 ブレが大きいから除外する? 少々納得がいきません。

 この記事には、グラフも掲載されていました。ご覧ください。携帯電話の額は、平均して毎月700億円ほどの規模のようですが‥

機械受注 携帯除く.jpg


(日経、3月11日)

 確かに、ここ数カ月は、全体の動きと携帯を除いた動きが逆の方向に向いていることが窺えるのですが、それ以前は殆ど同じ方向に動いていたわけであり、携帯電話を除くという理由がイマイチしっくりときません。携帯電話の受注動向がマイナスに作用する場合にのみその影響を除こうとするなんて‥

 大体、ブレが大きいから除くなんていっていたら、何でもかんでも除くようになってしまうのではないのでしょうか。

 私は、大体、船舶とか電力とかを除くことも余り好ましいことだとは思っていません。何故ならば、幾らブレが大きくても、その大きなブレが真実の設備投資を反映するものだからです。

 携帯電話を除くというからには、もっとちゃんとした理由がないのでしょうか。そう思っていると、昨日の夕刊の記事にこんなことが書かれているのを発見しました。

 携帯端末は通信業者が機械メーカーに発注するもので、新製品やキャンペーンの有無などで統計が振れる。しかも端末を購入するのは個人であり、国際総生産(GDP)でも設備投資ではなく個人消費に分類される。このため民間エコノミストからは「設備投資を見るには携帯の影響を除く必要がある」との指摘が出ていた。

(以上、引用終わり)

 確かに改めて考えてみれば、企業の設備投資と携帯電話が何の関係があるかという気もします。しかし、もし、そうした理屈が成り立つのであれば、何故今まで携帯電話を除外するような措置をとってこなかったのか、と。携帯電話が普及してもう何年も経っているではありませんか。それなのに今頃‥。

 内閣府は、今年4月分(6月発表)から「船舶・電力・携帯電話を除く民需」の系列を公表すると言いますが、そもそも携帯電話がその性質上、民間企業の設備投資とは関係ないものであるならば、そうした中途半端な扱いではなく、そもそも集計の対象から除外するべきではないのでしょうか。

 携帯は、ブレが大きいから除くのか、それともその性質上、企業の設備投資とは関係ないから除くのか、その点を内閣府は、はっきりさせるべきだと思います。

 
 船舶を除いて、そして電力を除いて、そしてまた携帯を除いて、と‥、益々複雑になってしまって、一般の人にとっては、何のこっちゃいな、と。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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