小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

パパンドレウ首相の苦悩

 ギリシャのパパンドレウ首相が訪米し、オバマ大統領に対して、投機的動きを封じるように要請しています。

 投機とはギャンブル! 

 丁か半か、ギリシャがデフォルトを起こすか否かに賭ける輩がいる、と。

 ギリシャ国債を保有している人が、将来、ギリシャがデフォルトを起こすことを心配するのであれば、クレジットデフォルトスワップ取引を行うことによってリスクを回避することが可能です。つまり、損害保険に加入しておけば、事故が起こっても、損失はカバーしてもらえる、と。しかし、事故が起こる確率が高くなればなるほど保険料は高くなります。

 

 そして、保険料が高くなると、その分、ギリシャ政府が国債を発行する際の金利が高くなる、と。例えば、ドイツ政府が支払う金利に3%ポイント分ほどの上乗せをしなければ、ギリシャ国債の引き受け手はいない、と。

 そうなると、それでなくても資金繰りが厳しいのに、その追加の利払い負担のために、ギリシャの財政事情はなお厳しくなるわけです。

 しかも、そうやってクレジットデフォルトスワップの取引を行う者が、本当にギリシャ国債を有していて、万が一の損害をカバーするためにクレジットデフォルトスワップ取引を行うならともかく、別にギリシャ国債を保有していない者でも、単にギャンブルを行う感覚でCDS取引を行っている、
と。

 ギリシャがデフォルトになれば、保険金が下り、それで一儲けをすることを狙った投機が溢れている、と。そうした動きに対し、どうにかならないか、とギリシャのパパンドレウ首相が米国に泣きついたということです。

 確かに、ギリシャがデフォルトを起こすという方に賭ける人が少なくなれば、当然のことながらギリシャ政府が支払う必要のあるリスクプレミアムも、それに応じて低下することが考えられるわけですが、そうしたギャンブルに参加する者も、ひょっとしたら大損を被る可能性があるわけです。つまり、いつまでたってもギリシャがデフォルトを起こさなかったら、賭け金はパーになる、と。

 それに何かあるといつも問題になるのですが、投機だからという理由である種の行為を制限するのも実際には大変難しいということです。

 では、ギリシャはどうすればいいのでしょうか?

 それは、ギリシャは絶対にデフォルトを起こすことなどないと市場に信用させることです。つまり、何があってもギリシャの国債を保有している人に迷惑をかけることはしない、と信じてもらうことです。そのためにはどうするか? 市場に信じてもらうためには、強い決意と実現性のある計画を示し、そしてそれを着実に実行していくということです。ただ、そのためには、公務員や国民はある程度の犠牲を強いられることになります。従って、それによって犠牲を強いられる公務員や国民に協力してもらうことが先ず必要がある、と。

 しかし、最近ギリシャで起きていることといえば、全国的なストライキです。つまり、ギリシャの財政事情が回復するどころか、より悪化するのではないかと心配させるようなことが起きている、と。

 つまり、今ギリシャ政府が一番しなければいけないことは、国民との対話を尽くし、国民に協力をしてもらうということなのです。

 何故ならば、国民側がストライキなどを通じてこれまでの既得権を守ろうとすればするほど、今以上のハゲタカたちがギリシャの上空に集まってくるということになるからです。ハゲタカを追っ払いたいのであれば、ギリシャは健全なのだという強い姿勢を示すことが先ず必要なのです。そして、ギリシャが当面破綻するようなことはないなと思えば、自然とハゲタカは姿を消してしまうでしょう。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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