小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

公務員を働かせてGDPを増加させる方法

 本日は、啓蟄。虫が這い出てくる時期になったということです。週末を如何お過ごしでしょうか。

 さて、経済の話ですが、今政府が目標としている経済成長率は、どのくらいかご存知ですか? つまり、GDPを1年に何パーセント増加させるのか、と。

 政府は、仮に物価が上昇しないとしたら(つまり実質ベースでは)2%を、そして、物価が上昇するとしたら(つまり名目ベース)3%を目標としています。

 では、仮に物価が1%下落したら、どうなるのか? この時実質GDPが2%増加したとすれば、名目成長率は1%となるわけですが、これでは目標を達成したことにはなりません。あくまでも名目では3%成長しないといけない、と。ということは、必然的に物価上昇率は1%以上でなければならないということになるわけです。

 でも、そんなに思ったとおり巧くいくものでしょうか。

 いずれにしても私思うのですが、新政権というにしては、余りにも経済成長率という数字に拘り過ぎているのではないでしょうか。確かに、経済成長率は低いより高い方がいいでしょうが、何が何でもというほどでもないと思うのです。

 新政権だったら、GDPなんてもう古い!とか言って欲しい面もあるのです。それに菅大臣は強調していますよね、第3の道を目指すのだ、と。だったら、なおさらGDPにだけ目を向けるのは相応しくないような気もします。それに、仮にGDPの増加には反映できなくても確実に国民の支持を得ることができる政策もあるのです。それをお示ししましょう。

 GDPの算出上、公務員が生産している付加価値はどのようにカウントされているかご存知でしょうか?

 こんなことをいうと、「公務員が付加価値なんて生産しているの?」と言われそうですね。公務員は付加価値を生産していないのか。

 では、付加価値とは何か?

 簡単に言えば、売上から原材料費などを差し引いた額である、と。つまり、企業の利潤とか従業員の賃金等になる部分だ、と。しかし、公務員の場合には、売り上げとかはないですよね。単に給料をもらって働いているだけです。余り働かない人もいるかもしれませんが‥。

 実は、公務員が生産する付加価値については、公務員に支払われる給料相当分が公務員が生産した付加価値とみなされているのです。で、公務員に支払われる給料の総額は30兆円程度だそうで、その30兆円程度の額が毎年度のGDPにどかーんと計上されているわけです。

 ここで問題です。

 仮に、官僚たちが、自分たちを目の敵にする新政権に対する無言の抵抗としてあまり働かなくなったとしたら、それはGDPにどう影響するでしょうか。逆に、官僚たちが、国民の支持を得ようとして、今まで以上に一生懸命に働くようになったとしたら、そのときGDPにどう影響するでしょうか?


 答えは、公務員が如何に一生懸命働こうと働くまいと、何の影響もなし!


 ですが、もし、公務員が国民のために一生懸命に、もっと愛想よく、もっと親切に働いてくれたら、世の中、どれだけでもよくなる気がします。

 学校の先生たちが、もっと愛情をもって、しかし時には厳しく子どもたちを教育して、そして、子どもたちの学力、体力、人間性がグーンと向上したら? そしてまた、大学生の学力アップを実現できたら?

 警察や市役所の関係者が、街の落書き追放に成功し、街の環境の向上に成功したら?

 農水省が頑張って、食品偽装を一掃することができたら? そして、日本のお米を海外に売り込むことに成功したら?

 厚生省や文部省が頑張って、待機児童を解消ができたら?

 消費者庁が頑張って、詐欺に遭う消費者の数を減らすことができたら?

 考えたら、どれだけでもアイデアが浮いてきます。これらは、直接的にはGDPの増加には貢献することはありません。しかし、間接効果は大いにあるはずです。

 そうなのです。役所に自分たちができる間接的な貢献をリストアップさせ、そしてそれを実行させればいいというわけです。こんなことこそが、第3の道の主要な中身になるのではないでしょうか。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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