菅・林の物価論争
「最近サミュエルソンの本をお買いになったそうだが、もう読まれたのか?」
「分厚い上下2巻の本で、10ページほど読んだ」
「サミュエルソンの本は我々が学生の頃からあったもので、何かないかと聞いてくれたら、もう少し新しいものをお勧めしたのに」
まあ、林さんて、なんて優しいのでしょう。ということで、菅・林のバトルが再開しました。
私も、やっぱり他の本を勧めたかもしれませんが‥、否、何も勧めなかった可能性の方が大です。何故ならば、忙しい大臣にじっくりと本を読む時間などないですから。それよりも、分からないことは片っ端から役人に聞いた方がいい、と。
それに、仮に、菅さんが必死でサミュエルソンの本を読み終えることができても、1回読んだだけでは良くわからないと思います。最低3~4回読まない、と。
しかし、それでも分からないことだらでしょう。一応教科書に書いてあることは分かった、と。だけど、そうなればなったでいろいろと疑問が湧いてくるからです。
アダムスミスから始まって、リカードやマルサスを読んで、そしてケインズを読んで、やっとそうだったのかと分かるというものなのです。
つまり、教科書だけ読んで、そして、乗数理論を知っているからと言っても、本当のところは何も分かっていない、と。経済学の試験問題は解けるようになるかもしれないが、ただそれだけのことなのです。
では、アダムスミスの国富論を薦めるかと言えば、これまた頂けないのですよね。
何故かといえば、非常に難解というか、変な日本語に訳されているからです。読んでいても、すぐに眠くなってしまうのではないでしょうか。
だとしたら、やっぱり菅さんに薦めるべきでしょうか。
アダムスミスの本を読んで、そして自宅で十分睡眠が取れれば国会で眠たくなることもなくなるでしょうから。
じゃあ、どうしたらいいのか。私のメルマガのバックナンバーでも先に読んでもらって、それから国富論を読んで頂く、と。それがいいですね。
それはそうと、本日のやりとりで気になった部分があります。
要点だけ抜き出します。
「1月の消費者物価が発表になった。菅大臣は、物価の下落幅は狭まっていくだろう、と言っていた。これ(世論調査の結果)ほど下がるだろうとは思っていないと言っていたが、違っているではないか?」
「1月の消費者物価基調は‥、コアコアは、前年度比0.2%減。GDPデフレーターは、1月は、前期比マイナス0.9%」
菅大臣は、何か自信なさそうにそう答えたのでした。コアコアは、前年度比0.2%減。GDPデフレーターはマイナス0.9%と。
で、それに対しては、林議員は殆ど反応を示さないわけです。委員会の出席者も何も反応を示さない。そんなものか、と。
おかしいと思いませんか?
何故かといえば、林議員は、数値こそ示していませんが、最近我が国は、物価が2%ほど下落しているのではないか、と指摘しているのに対し、菅大臣が示している数値が小さすぎるからです。
前年度で0.2%減と菅さんが言ったことに対して、林議員も、それ以外の議員も何の反応もなし。
実は菅さんが言った、コアコアが0.2%減というのは、前月に比べると0.2%減と言うべきであった、と。そしてまた、前年同月と比べると1.2%減であったというべきだったのです。
だから何かの間違いではなかったのでしょうか。
にも拘らず、林議員は、何の反応も示さない。
これでは、「何の意味もない! 何の意味もない!」
では、GDPデフレーターはどうかといえば、それについては、一応正解。しかし、それはあくまでも前期比の話であり、年率にすれば、その4倍ほどの落ち込みになることを示さないとフェアではありません。
それに、このGDPデフレーターについては、昨年までは前年同期比しか発表していなかったのですが、ご存知でしょうか。私が、何で前期比を公表しないのかと言っていたでしょ?
まあ、それはそれとして、では、GDPデフレーターの前年同期比はどうだったかと言えば、これはマイナス3.0%ということで、結構大きな落ち込みなのです。
菅大臣は、そういう事情を分かっていて敢えて前期比を示したのか? それとも官僚が気を利かせて低い方の数値を答えさせたのか?
どっちなのでしょうか。
皆様には、「マクロ経済学がよ~くわかる本」をお勧めしたいと思います。
そして、菅大臣には、短時間で今問題になっている経済問題の本質が良く理解できるようになる「経済ニュースゼミ有料版」をお勧めいたします。バックナンバーもあります。それを読めば、林さんを追い抜くことができると思います。乗数効果を聞くなんて、林さんも少しオールドファッションですね、と軽口を叩けるようになると思います。
菅・林のやり取りをビデオで見てみたいな、と思った方は、参議院のサイトにアクセスして下さい。
以上
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