小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

米企業、2年半ぶりの増益

 日経新聞を見ていると、アメリカの主要企業の2009年10~12月期の純利益が、10四半期振りの増益になると出ています。前年同期と比べて純利益が約3倍になるのだとか。

 これ、トムソン・ロイターが、主要企業の決算実績に未発表分の予想を加えて集計したところ、そのような結果になったのだといいます。

 いずれにしても、2年半ぶりに増益になるということで、いくら雇用の回復が遅れているとはいっても、アメリカの経済も徐々に力強さを取り戻しつつあるということだと思います。

 


 考えてみたら、減益に転じた2007年7~9月期というのは、パリバショックが起き、米欧において金融危機が勃発した時期に当たります。それから1年後リーマンショックが起こり、愈々世界同時不況の様相を深めたわけですが、さらにそれから1年以上が経過し、ようやくアメリカの企業の業績も回復しだしたということでしょう。

 ブタ野郎(PIIGS)のせいで1万ドルを割り込んでいたNYダウも、9日、1万ドルを回復したようです。

 私、思うのですが、そろそろ世界経済も明るさを取り戻すのではないか、と。もちろん、雇用の回復には相当の時間がかかるのは、そのとおりでしょう。そのことは米国の一般教書に掲載されている雇用の見通しをみても明らかなとおりです。

 しかし、少々慎重に見過ぎているきらいがなきにしもあらず。

 ご承知のとおり、先週発表になった米国の1月の失業率は9.7%に大きく改善したわけです。もっとも非農業部門の雇用者数は、前月に比べ2万人減少してはいるのですが。

 理由はどうであれ、2桁の失業率が1桁に改善したという心理的な効果は決して小さくないと思うのです。

 それ以外にも明るい経済指標が発表されています。

 その一つは、我が国の機械受注額です。本日発表になりました。

 12月の機械受注額(電力と船舶を除く民需)は、何と前月比20.1%増の7512億円です。もちろん、前月比2割も増加したからといって、まだまだ7千億円台ですから水準は決して高いとは言えません。それに、毎月のブレも大きいのでその点も考慮する必要はあります。しかし、それにしても、そろそろ底を打ったと判断していいのではないでしょうか。

<機械受注額(電力と船舶を除く民需)>

2009年
1月  7332億円
2月  7373億円
3月  7279億円
4月  6888億円
5月  6682億円
6月  7328億円
7月  6647億円
8月  6681億円
9月  7380億円
10月  7045億円
11月 6253億円
12月 7512億円


 昨年11月に大きく落ち込んでいますが、それはあのドバイショックの影響ということで、そうした特殊要件を除けば、機械受注は昨年の夏ごろに底を打ったとみていいのかもしれません。

 そして、もう一つ明るい指標が発表になっています。それは、中国の貿易統計です。本日発表になった1月の輸出額は、前年同月に比べ21%も増加しているとか。輸出額が増加するのは2カ月連続のことで、輸出の回復ぶりが確認できたような気がします。

 もっとも、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は、前年同月に比べると63.8%減少したとありますが、これは輸入が85.5%も増加していることによるものです。

 では、中国の貿易黒字は、今後も減少し続けるのか?

 そんなことはありません。中国の輸入は、輸出の先行指標と見られているのです。つまり、輸入が増加するということは、数ヵ月後の輸出の増加を意味している、と。ということで、85.5%も輸入が増加しているということは、輸出も数ヵ月後にはそれくらい伸びると考えて差し支えないということなのです。

 そうして中国の輸出が過去の水準に近づくようになれば、当然中国としては、人民元の切り上げを再開するものと思われます。

 なお、ブタ野郎(PIIGS)の影響は、それほど大きくないと考えています。何故なら、今特に注目をされているギリシアは、経済の規模が小さいからです。つまり、仮に今後大騒ぎすることがあっても、ドバイショック程度に抑え込むことが可能だ、と。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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