小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

オバマ大統領と人民元

 2月3日、オバマ大統領は、上院民主党大会で人民元の問題について語りました。

 (為替レートの関係で)米国製品が不当に高くなり、そして中国の製品が不当に安くなるようなことは、ないようにしなければならない、と。

 そんなことになれば、米国の国際競争力が著しく減じられてしまう、と。

 まあ、極めて常識的な意見であると言えるでしょう。

 では、アメリカは、現在の1ドル=約6.8人民元というレートに変更をもたらすことなく、国際競争力を回復することはできないのか?

 


 それがあるのです。それは、海外に輸出する製品のドル建ての価格を引き下げれば、それで十分なのです。

 でも、そんなことを言うと、製品価格を下げると、儲けが出ず赤字になってしまうという人もいるでしょう。

 では、賃金などを下げてもらったら?

 まあ、私も、賃金を引き下げることなど実際にはなかなか難しいことを承知しています。それにオバマ大統領自身、景気を回復させるには、単に雇用を創出するだけではなく、給料の引き上げを伴う雇用を作り出すことが大事だとまで言っています。

 そう言いたい気持ちは分からないでもありません。国民の多くは、給料が下がって困っているわけですから。それに国民の給与水準が上がれば、より消費も活発になり、景気の回復が確実になると期待できるからです。

 しかし、それでも私は言いたい。

 何故に、米国は中国と比べて競争力を喪失してきたのか?

 簡単なことです。アメリカに限らず先進国の人件費は、中国の人件費に比べ遥かに高い水準にあるからです。これが、根本原因です。決して為替レートだけが問題ではないのです。

 中国は、今や高い競争力を有していると言えるでしょう。しかし、その陰では、非常に安い賃金で国民が働いていることを見失ってはいけません。

 高い賃金を維持したければ、競争力の喪失につながる。競争力を引き上げたいならば、賃金を低くするしかない。どちらかなのですね。

 高い賃金を維持しつつ、高い競争力を維持するというのは、特定の分野でしか実現できず、国家全体としてはあり得ない話なのです。

 どっちの選択肢を選ぶのもその国の自由です。

 
 
 And the second part of the question, related, is
when China got into the World Trade Organization, a
matter that 15 of us in this body opposed, there were
bilateral treaties. And China has not lived up to its
obligations to have its markets open to us, but take
our markets and take our jobs. Would you support
an effort to revise, perhaps even revoke, those --
that bilateral treaty, which gives China such an unfair
trade advantage? Thank you.

「第二の質問は、中国がWTOに加盟した時のことで、あの時、我々の15名が反対したのだが、二国間での合意事項があった。中国は我々に市場を開放するという義務を守っていないのに、我々の市場にアクセスし仕事を奪っている。貴方は、中国にのみ一方的に有利になっているそうした取り決めを廃棄する考えを支持するつもりはないのか?」


 Arlen, I would not be in favor of revoking the
trade relationships that we've established with
China. I have shown myself during the course of this
year more than willing to enforce our trade
agreements in a much more serious way. And at
times I've been criticized for it. There was a case
involving foreign tires that were being sent in here,
and I said this was an example of where we've
got to put our foot down and show that we're serious
about enforcement. And it caused the usual fuss at
the international level, but it was the right thing to
do.

「私は、中国との間で築いた貿易関係を廃棄することには賛成ではない。私は、この1年間を通じて、我々の貿易に関する合意事項をもっと強化したいとする意志を示してきたところである。そして、私は時には批判されてきた。海外のタイヤが問題になったケースがあった。そして、私はそれについては断固譲らず、法を適用すべきだと主張した。そして、そのことによって国際的な騒動になったが、それは正しかったと思う」

Having said that, I also believe that our future is
going to be tied up with our ability to sell products all
around the world, and China is going to be one of our
biggest markets, and Asia is going to be one of our
biggest markets. And for us to close ourselves off
from that market would be a mistake.

「ただ、そうはいっても、我々の将来は、我々の作ったものを世界中にどれだけ売ることができるかという能力にかかっているであろうし、そして中国が我々にとっての最大の市場の一つになるであろうし、そして、アジアが我々にとっての最大の市場になるであろう。我々にとって、そうした市場を閉ざすことは、間違いになろう」

The point you're making, Arlen, which is the right
one, is it's got to be reciprocal. So if we have
established agreements in which both sides are
supposed to open up their markets, we do so and
then the other side is imposing a whole set of non-
tariff barriers in place, that's a problem. And it has
to be squarely confronted.

「貴方が言わんとしていることは、それは、互恵的でなければならないということだ。従って、もし、我々が、相互に市場を開放するということを合意したのであれば、そうすべきであるし、そのとき
に、逆に相手方が非関税障壁を課すのであれば、それは問題になる。それは平等に対処されなければならない」

So the approach that we're taking is to try to get
much tougher about enforcement of existing rules,
putting constant pressure on China and other
countries to open up their markets in reciprocal
ways.

「従って、我々がとっているアプローチ法は、既存のルールをより厳格に適用するということになる。そうして、常に中国や他の国に対して圧力をかけ、お互いに市場を開放させることだ」

  One of the challenges that we've got to address
internationally is currency rates and how they match
up to make sure that our goods are not artificially
inflated in price and their goods are artificially
deflated in price. That puts us at a huge competitive
disadvantage.

「我々が国際的に取り組む必要のある課題の一つは、為替レートである。我々は、我が国の製品の価格が不当に吊りあげられ、そして彼らの製品の価格が不当に引き下げられることがないようにするためには、どうすればよいかということである。そのようなことが起こると、我々は競争力を大きく損じてしまう」

  But what I don't want to do is for us as a country,
or as a party, to shy away from the prospects of
international competition, because I think we've got
the best workers on Earth, we've got the most
innovative products on Earth, and if we are able to
compete on an even playing field, nobody can beat
us. And by the way, that will create jobs here in the
United States.

「しかし、私は、国家として、或いは政党としてしたくはないことは、国際競争の場から逃げ出すことだ。何故ならば、我々は世界中で一番の労働者にならなければならない思うからだ。我々は、地上で最も革新的な製品を作り出さなければならない。もし、平等な競争条件の下で勝つことができるのであれば、我々を負かすことは誰もできない。そうなれば、アメリカ国内において雇用を創出することになる」

  If we just increased our exports to Asia by a
percentage point, by a fraction, it would mean
hundreds of thousands, maybe millions of jobs here
in the United States. And it's easily doable.

「もし、我々がアジア向け輸出を1%ポイント増加させることができるのであれば、数十万の、或いは百万単位の仕事をアメリカ国内で作り出すことができるかもしれない。それは実行可能なことなのだ」

以上

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03月12日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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