米国の雇用見通し
昨日は、米国の予算教書の中に出てくる経済見通しについて考えてみました。経済成長率を相当高く見積もっている割には、雇用の改善のスピードが極めて緩慢ではないのか、と。
私の直感としては、どうもおかしい、と。
そんなに高い成長率が実現できるのであれば、雇用の回復のスピードももう少し速くなるのではないか、と。そしてまた、もし、雇用の回復が遅れそうであるのならば、そんなに高い成長率を実現するのは難しいのではないか、と。
大体、そんなに沢山の失業者を抱えながら、どうやってそんなに速いスピードで生産量を増加させることが可能なのか?
逆にいえば、そんなに働く人が少なくても、そんなに高い経済成長率を実現できるのであれば、むしろ結構なことだと考えることもできるわけです。これ、もちろん、国家全体として考えた場合の話で、失業者にとっては全然結構な話ではないのですが‥。
単なる想像ですが、オバマ政権としては、国民に明るい展望を持たせるうえでも高い成長率を掲げざるを得なかった、と。一方で失業率の見通しについては、急速な改善を予想したかったが、もしそれが外れた場合のリスク、つまり、大いに国民を失望させることを恐れて、失業率の改善については、過去のトレンドを単に当てはめたにすぎないのではないかということです。
では、実際、過去においては景気回復局面のなかで、失業率はどのようなスピードで改善してきたのでしょうか。
米国では、1980年以降、今回を除いて失業率がピークを迎えたのが3度あります。
先ずは、直近のピークですが、2003年6月に6.3%に達しています。そして、それがどのように低下したかといえば、1年後の2004年6月に5.6%、そして2年後の2005年6月に5.0%に下がっているので、2年間で1.3%しか下がっていないということになります。
その前のピークは、1992年6月の7.8%であり、その後の改善ぶりは、その1年後の1993年6月に7.0%となり、そして1994年の6月に6.1%になっているので、1年間で1%弱程度の改善となっているということです。
つまり、今回の予算教書の失業率見通しは、1992年当時のパターンが繰り返されると予想しているということができるのです。
<2011年予算教書の失業率(通年の平均)見通し>
2009年 9.3%
2010年 10.0%
2011年 9.2%
2012年 8.2%
2013年 7.3%
2014年 6.5%
これより前に失業率がピークを迎えたのは、1982年11月及び12月のことです。そのときには失業率が10.8%に達していますから、今回と深刻度は同じ程度といえるかもしれません。では、そのときの改善ぶりはどうだったか、といえば、1983年12月には8.3%、そして1984年12月には7.3%と急速な改善を見ているのです。但し、それ以降は、改善のスピードは緩慢になっています。
ということで、今回も失業率が8%程度まで改善するのは比較的速いスピードで実現することがないとも言えないのです。ただ、もちろん、失業率がどの程度のスピードで低下するかどうかは、経済成長率の大きさにかかってくるでしょうから、なんとも言えない面もあります。
では、1983年以降の経済成長率のスピードはどんなものであったのでしょうか。
<実質GDPの伸び率(前期比年率換算)>
1983年01-03月期 5.1%
1983年04-06月期 9.3%
1983年07-09月期 8.1%
1983年10-12月期 8.5%
1984年01-03月期 8.0%
1984年04-06月期 7.1%
1984年07-09月期 3.9%
1984年10-12月期 3.3%
1983年から1984年頃にかけては、非常にハイスピードで回復していったことが伺えます。8%以上の成長率がほど1年間に渡って続いたわけです。まあ、そうしたことを踏まえれば、今回の失業率見通しは、それほどおかしなものではないということになるのでしょうか。
いずれにしても、失業率は、急に上がり緩やかに下がる傾向があるようです。
以上
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