米国の経済見通し
オバマ大統領は、2011年度の予算教書を議会に提出しました。 予算規模(歳出)は3兆8340億ドルといいますから、円換算すると350兆円程度ということでしょうか。
新聞等は、財政赤字が3年連続で1兆ドルを突破することを強調しています。
ホワイトハウスのサイトにアクセスすると、オバマ大統領が如何に無駄を削減することが大切かを力説しています。与党の議員も野党の議員も無駄の発見に努めて欲しいとまで言っています。
なんか、アメリカも事業仕分けに励むような雰囲気です。
まあ、それはそれとして‥、今回の予算は、雇用対策に最大の重点が置かれているわけですが‥、そして、それは先日の一般教書演説で大統領が何度も雇用、雇用と叫んでいたことからもわかることですが‥、では、今後雇用はどのように改善していくと見られているのでしょうか?
皆さん、どう思いますか?
2010年の最大の課題は雇用なのだ!と大統領は言いました。
では、今後1年間で、失業率はどの程度まで低下するとみているのか? 経済成長率はどの程度になるとみているのか?
大統領は言っていましたよね。輸出を5年間で倍増することができれば、200万人分の雇用が創出できるだろう、と。大統領は、現在10%の失業率は、1年後にはいくら位にまで低下させるというのでしょうか。
失業率の前に、経済成長率の見通しを先にみてみましょう。
<実質GDPの伸び率>
2009年 -2.5%
2010年 2.7%
2011年 3.8%
2012年 4.3%
2013年 4.2%
2014年 3.9%
実質GDPは、2010年は2.7%とプラスに転じた後、2011年はさらにスピードを上げ、2012年にはなんと4%台にまで上昇するというバラ色のシナリオです。先進国で実質GDPの伸び率が4%を実現するのは、なかなか見られるものではありません。
ついでに名目GDPの伸び率もみてみましょう。
<名目GDPの伸び率>
2009年 -1.3%
2010年 3.6%
2011年 5.1%
2012年 6.0%
2013年 6.0%
2014年 5.7%
数年先には、名目ではなんと6%の成長を見込んでいる、と。というよりも、名目では6%程度しか成長しない、と言うべきなのでしょうか。というのは、実質ベースで4%以上も伸びながら名目で6%程度だということは、物価の上昇率は2%にも見たないことになってしまうからです。
要するにオバマ政権は、今後の経済見通しについて、高い経済成長率を実現しながらも、物価の上昇率は1~2%程度にとどまるという理想的な姿を予想しているということになります。
では、失業率は、どの程度改善するとみているのか?
こんなに高い成長率が期待できるのであれば、失業率は2~3年のうちに5%程度にまで低下するのか?
オバマ政権の失業率の予想は次のようになっています。
<失業率(通年の平均)>
2009年 9.3%
2010年 10.0%
2011年 9.2%
2012年 8.2%
2013年 7.3%
2014年 6.5%
さあ、如何でしょうか。4年先の2014年になってもまだ6.5%程度にしか下がらない、と。
この失業率の数値は、通年の平均値ということですから、2011年に9.2%の水準を予想するということは、2011年の6、7月頃に9.2%程度になっているだろうという風に解釈ができると思いますので、今後雇用が改善するとはいっても、極めてスローペースでの回復ということになります。
何か変ですよね。
あれほど雇用、雇用と叫びながら、こんなにゆっくりとしか雇用が回復しないなんて。しかも、経済成長率の方は、極めてハイスピードで回復するにも関わらずです。
或いは、そこにアメリカ経済の特質を見出すべきなのでしょうか。
簡単に首を切ることができる経済社会! だからこそ、景気が悪くなれば、すぐリストラが起こる!と。
しかし、同時に大きな疑問が湧いてきます。
それほど大量の失業者が発生していても、国民全体がどうにか食っていけるのであれば、「失業」の意味する深刻さは、80年ほど前に比べたら、遥かに軽減しているのではないのか、と。
つまり、雇用保険などが完備され、また、今回の経済危機の発生でそうした措置が拡充されているので、失業したとしても、すぐに生活に困るようなケースは少ない、と。
だとすれば、雇用だ、雇用だと大騒ぎするのは、少し過剰な反応をしているのかもしれません。
ちなみに、金利見通しに関しては、3か月財務証券の利回りでみると、2009年には0.2%、2010年には0.4%、2011年には1.6%、そして2012年には3.0%ということになっていますので、まだまだゼロ金利政策が続き、金利の引き上げが始まるのは、2010年の遅くか、2011年に入ってからと見ているということでしょうか。
以上
- 米中通貨戦争(03/19)
- 白川総裁の記者会見(03/18)
- ゼロ金利維持に反対(03/17)
- 外為特会の見直し(03/16)
- 人民元は切り上げない(03/15)
- オバマ大統領の輸出倍増計画(03/13)
- 90年後の日本経済(03/12)
- 機械受注統計の謎(03/11)
- パパンドレウ首相の苦悩(03/10)
- 公務員を働かせてGDPを増加させる方法(03/06)
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