国債増発
本日は、読者の方からご質問を頂きましたので、それを基に記事を書きたいと思います。
<ご質問の要旨>
お忙しい中、日頃から気になっていることがあり、お教えいただければ幸いです。
日本の国債について、一部政治家やアナリストの中に、「国債や地方債務の残高は、800兆円を超えているが個人の金融資産は1000兆円以上あり、また国債は国内でほとんど消化されているのだから心配ない。万が一の場合は金融資産で返済できる額である。」と言うのをよく聞きますが、この主張に違和感や不自然さを感じます。どう思いますか。
さあ、皆さんは、どのようにお感じでしょうか。
確かに、最近そのような意見が見受けられ、若い人の中には特に賛同者がいるようですが‥
我々中高年は、インフレの怖さを感じているので、なかなかそのような意見には同調することができないのですが‥
そうです。最近は、インフレどころかデフレの世の中になっており、どんなに国債を発行したところで、10年物国債の利回りは1%台と大変に低い。つまり、どれだけ国債を発行しても、国債発行の弊害というものが顕在化しないので、へっちゃらになっちゃったということでしょう。だったら、この際どんどん国債を発行してもいいではないか、と。そういうことだと思います。
で、上のようなこと、あるいはそれに似たようなことをいう人が増えているのでしょう。で、その人たちが強調するのは、国債が殆ど国内で消化されているから心配ない、ということです。
これはどういうことかといえば、もし、国債が海外の投資家によって大量に保有されていれば、国は海外から借金をしていることになり、借金の返済に行き詰ったときに海外から差押えされてしまう危険がある(実際には、主権の問題があり差押えは不可能ですが)のに対し、国内の投資家からお金を借りている場合には、そうした危険がないと言いたいのでしょう。また、そういう人たちは、「国債の発行は、将来の世代に借金のつけを回すというが、将来の世代は国債の保有者(お金の貸主)の立場も引き継ぐので、国全体でみたら、いくら借金をしても問題はない」と言い
たがります。
いますよね、そういうことを言う人。
「国の債務が増えるといっても、それは政府の債務が増えるというべきであり、それと見合いに国民の資産は増えるので、国家としてはネットでみたら借金は増えていないのだ」とも。
確かに、将来の世代が国債の保有者の地位も引き継ぐのは事実です。しかし、そんなことを言ったら、貿易は別として海外との資本取引がなかった大昔には、政府の借金の問題が発生するはずはなかったのです。でも、現実には、世の東西を問わずデフォルトが発生した。だから、徳政令などという言葉もあるわけです。
要するに、いくら国民が国債の発行残高に見合う金融資産を保有しているとしても、政府がその金融資産を勝手に没収することなどできないということです。仮に、事実上没収したと同じようなことをすれば、それは徳政令になってしまう、と。
今は、投資家が、政府がまさかデフォルトを起こすことなどないと信じているから、政府は国債の発行を続けることができるわけですが、投資家の心理がいつ大きく変化しないとも限りません。
例えば、亀井大臣のようなことを多くの政治家がいうようになれば、そして、大盤振る舞いが続けば、投資家は、いつかは政府の財政が破たんすると予想し、もはや国債を引き受ける者がいなくなり、国債が大暴落することもあり得るのです。
で、そうなってからではもう遅い、ということです。財政危機を煽るのは、財務省の陰謀だなどという人がいますが、そんなことはないのです。確かに増税をしたがる傾向があるのは、そのとおりかもしれませんが。
国民の多くは忘れているかもしれませんが、今から8年ほど前には、日本の国債の格付けがボツワナなみに引き下げられたことがあるのです。だからこそ、政府が財政健全化を進めるのは当然でもあるのです。(ただ、何が何でも国債の発行は認めるべきではないというのではありません)
いずれにしても、では何故、日本は、こんなに大量に国債を発行しても、10年物の国債の利回りは1%台と極めて低く、物価も下がり気味なのか。
国債を大量に発行すれば、インフレになるはずではなかったのか、そしてまた、利回りももっと上昇してしかるべきではないか、と。
それには事情があるのです。それは、我が国において少子高齢化が進行し、国全体の需要が盛り上がらず需要ギャップが発生しやすい状況があるので、インフレが起こりにくく、金利も上がりにくいのです。加えて、日本の場合には経常収支の黒字が長年続き、マネーが余剰気味なので、金利が上がりにくいのです。
以上
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