小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!

デフレ宣言?

 ああ、あの菅さんがデフレを宣言してしまった。

 恐らく年末の雇用対策を念頭においてのことかもしれない。昨年の年越し派遣村のような状況を再び起こしてはならない、と。その意気込みたるや、よしとしましょう。

 でもね‥、デフレの定義って、一体何なのでしょうか?

 それを先ずはっきりさせて欲しい。

 

 そもそも菅さんは、日本の総務省が、前年同月比でしか物価の動向を見ようとしないことを知っているのでしょうか?

 そしてまた、物価が下がっている場合という場合の物価とは、CPIを指すのでしょうか、それともGDPのデフレーターを指すのでしょうか。

 それから、もっと大切なことは、このデフレ宣言によって何を狙っているのか?

 菅さんは「金融の果たすべき役割は大きい。政府としての認識は日銀にきちんと伝えたい」と言っているようですが、0.1%の政策金利をもっと下げろというのでしょうか。

 こんな否定的なことをいうと、皆さんの反応が芳しくないことを十分承知しています。

 世間の人々は、大変だ、大変だ、日本銀行は何をしているのだ、という乗りでないと、納得しないのですよね。そういう意味では、今回の菅さんのデフレ宣言を支持する人の割合の方が多いことは承知しています。そしてまた、日本銀行のことを好きになれない人々がいても、それも理解できます。

 しかし、だからといって、金融を緩めたらそれで全てが解決するなんていう幻想からそろそろ脱したらどうでしょうか。

 通貨の発行量を増加すれば、必ずインフレが起きるはずだなどという考え方は、もう捨て去ったら如何でしょうか。というか、マネーサプライを増加させることが如何に難しかったか、と。過去、日本は、ゼロ金利政策、量的緩和政策という異常な政策を長いこと採用しましたが、それでも物価は上がらなかったのです。

 そうした超低金利政策によって起こったことと言えば、円キャリートレードを誘発して円安になった、と。そして、日本の輸出が盛り返したということです。

 ですから、新政権のデフレ宣言の狙いが、円安の再現であるのであれば、それはある意味分からないではありません。しかし、輸出に依存し過ぎたのがよくなかった言い、だから内需を拡大する必要があるという新政権が、そんなことを考えているとは思えないのです。

 どうも気持ちだけが先行しているようで、少し心配です。

 新政権には問題が山積しているはずです。物価がどうだとかいうのは、高い給料をもらっている日銀の政策委員会の皆さんに任せておけばいいと思うのですが‥。

以上

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02月04日更新

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小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

小笠原誠治(おがさわら・せいじ)

1976年3月九州大学法学部卒。1976年4月北九州財務局(大蔵省)入局。
大蔵省国際金融局開発金融課課長補佐、財務総合政策研究所研修部長、
中国財務局理財部長などを歴任し、2004年6月退官。
以降、経済コラムニストとして活躍。
メールマガジン「経済ニュースゼミ」(無料版・有料版)を配信中。
著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」(秀和システム)、
ミクロ経済学がよーくわかる本―市場経済の仕組み・動きが見えてくる」(秀和システム)、
経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(秀和システム)がある。
企業・団体などを対象に、経済の状況を分かりやすく解説する講演も引き受ける。

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