水上紀行の面白FX教室

ハブ

昨年、前原国交相が羽田空港を国際的なハブ空港にすると発言して、ハブという言葉が脚光を浴びました。

ハブ(hub)とは、車輪の中心部にあって、車輪の外周と車軸とをつなぐスポークが一点に集中する部分のことで、たとえば、ハブ空港と言えば、ある地域において周辺各地への路線が集中する拠点空港のことを言います。

これは、もちろん、港湾などでも言えますし、外国為替市場にも言えます。

外国為替市場の場合、通常、外国為替の三大市場としては、ロンドン、ニューヨーク、東京が上げられますが、その中で、最もハブとしての存在感が弱いのは、残念ながら東京だと言わざるを得ません。

最も大きなハブの市場は、ロンドンでその地の利を生かして、ほぼ世界全域を相手に非常に活発な取引が行われています。

ロンドンの場合、欧州大陸の金融機関も、ディーリング本部をロンドンに置いていることは珍しくありません。

ニューヨークも、欧州との取引や、北米、中南米などとの取引が集中しています。

東京の場合、国内の輸出入の実需が取引の中心になっており、国際的な広がりに欠けていて、国際的取引は、香港、シンガポールの両市場に取られてしまっているのが現状です。

これで、上海市場が本格的に為替自由化になった場合のことを考えますと、どうなってしまうのだろうと心配になります。

日本の空港や港湾に関するハブ化の共通する問題点は、使い勝手の悪さなのではないかと思います。

港湾や空港の使用料の高さや敷地の広さが十分でなかったりということが上げられます。

それでは、為替市場はと言えば、すべてとは申しませんが、海外の顧客との英語だけでなく中国語や韓国語でのコミュニケーションがとれる絶対数が少ないという弱点があることは、否めないのではないかと思います。

国際的取引を香港・シンガポールに取られているのも、たとえば米系ファンドにとって英語で問題なく取引できることは使い勝手の良さですし、中国本土が香港と取引したがるのも、中国語で取引が普通に行えるからだと思われます。

タイでは、小中学校の英会話教育にここ何年かかなり力を入れ、今では若者の多くが問題なく、英語でコミュニケーションが取れるようになっていると聞きます。

一方、米系金融機関からはこんな話を聞きました。

経済レポートを英語からその国の言語に翻訳して顧客に配布しているのは、世界の中でも日本だけだそうで、少なくとも英語だけをとってみても、その使える絶対数は日本はかなり立ち遅れているようです。

こうしたところに、東京外国為替市場が、ハブになりきれないネックがあるのではないかと思っています。

コメント

英語についてですが、英語が使える地域が増えることでアドバンテージを得られるのは、英語を教育普及させた当事国ではなくて、英語を母国語とする英米勢であるーというのが実際の所だと思います。
タイで英語が教育によって普及されているということですが、その弊害として、タイ固有の文化が薄れていく可能性があり、ひいては国の体制をも変えてしまう恐れさえあると思います。タイは仏教の信仰心も強く土着の伝統色の濃い国柄です。最近は政治的に不安定でデモなどが頻発している様ですが、国王の求心力によって国民がまとまっている国です。
こういった言葉も文化も違う国との取引というのは、政治的、経済的に攻略しがたい壁となりますが、英語が広くタイ国内に流通すれば、英語を母国語とする国にとっては情報の出し入れが自由になり大きなアドバンテージを得られることとなります。
もちろん英語が国際語としての地位を得ているという現実はありますが、textのみならず音声からも機械翻訳する技術が発達している現在において、実用英語を教育普及させることの必要性が果たして本当にあるのか、そのメリットとデメリットを考慮する必要があるとおもいます。
日本が明治以降、科学技術を急速に習得したのは、欧米の文献、語彙を日本語に翻訳し日本語で考えたからーということに一端があるとも言われています。
「沈黙は金」の文化である日本人が不味いのは、はっきりとした自国の意見を述べないことにあると思います。それは日本語だろうが英語だろうが関係ありません。むしろネイティヴレベルではない英語でしゃべって誤解されるよりは日本語で話してプロの翻訳家を通して伝える方が、重要な場においては必須であるとされています。
どこかの首相の様に「トラストミー」などと言って不信を買う様なこと程、最悪なコミュニケーションはありませんから…

以上、海外で活躍されてきた水上さんには周知のことと思いますが、多くの日本人が英語を習得する必要があるのかないのかは、色々と議論の余地があると思います。まぁ、国民の5~10%程度は完璧な英語使いがいて然るべきーという様な時代かもしれませんが。

from ゆーた 2010/01/13 (水) 23:15

コメントを投稿していただく前にご確認下さい。

平素は「水上紀行の面白FX教室」をご愛顧いただき、まことにありがとうございます。
「水上紀行の面白FX教室」は、水上紀行氏の考えにもとづき、為替相場に対する身の処し方、心構え、
知識、テクニックなどに関する基礎的な知識を学ばれることをお手伝いする場として運営されております。
このため、現実の為替相場の先行きや、「水上紀行の面白FX教室」と異なるコンテンツ(例:水上紀行の為替コメント)
に関するご質問を本コメント欄に記載いただくことをご遠慮いただいております。
「水上紀行の面白FX教室」をご愛顧いただいている皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

なお、水上紀行氏が考える為替相場の見通しは、
Klugプレミアムレポート「水上紀行の為替コメント」にてご提供させていただいております。
ご興味ある方は以下リンクより「水上紀行の為替コメント」のご購読を
ご検討くださいますようお願い申し上げます。

「水上紀行の為替コメント」はこちら

オススメ情報

クルクるアンケート

03月19日更新

ギリシャ問題はこれで終わるのか





みんなの回答を見る

水上紀行(みずかみ・のりゆき)

水上紀行(みずかみ・のりゆき)

1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。
1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。
東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。
1995年より在日外銀数行に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として
要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。
バーニャ マーケット フォーカスト代表。
長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。

ページトップへ戻る