基軸通貨としてのドル
第2次大戦後、基軸通貨となったドルを中心として相場は動いてきました。
そのため、ドル/円のような対ドルの通貨ペアの取引が主流を占めました。
もちろん、たとえば、GBP/CHF(ポンド/スイスフラン)のような表向きドルの介在しないクロス取引もありましたが、それは、欧州諸国の間の取引が中心で、グローバルに見れば、あくまでも脇役的な存在でした。
それが、1999年1月1日にユーロが導入されたあたりから段々にクロス取引が世界全体にも広がりはじめ、国内でも1998年の外為法改正により、個人投資家層のマーケット参入とともにクロス円中心にクロス取引が拡大していきました。
ただ、市場流動性(簡単に交換できるか)の面では、まだまだ対ドル通貨ペア取引が圧倒的に流動性があり、特に大相場ともなれば、クロス取引の流動性は大幅に低下し、対ドル通貨ペアの組み合わせによってでないと決済できないことがあります。
たとえば、昨年の9月の金融危機の時のように、AUD/JPYやGBP/JPYなどのクロス円のロングを手仕舞おうとしても、そのクロス円自体にマーケットがなかったり、マーケット規模が小さすぎるため、ドル/円とAUD/USDといった対ドル通貨ペアに分解してでしかインターバンクで決済できない事態も実際に起きています。
昨今、基軸通貨としてのドルの信認が揺らいでおり、最近、中東湾岸諸国の石油取引通貨をドルから他に変更するという報道のように、より具体性のある観測記事が出てくると、未だに対ドル通貨ペアに大きく頼っているマーケットが今後どうなるのか危惧されます。
つまり、一国の通貨が基軸通貨であったものから、複数の国・地域の通貨や金などからなるバスケット方式への肩代わりがスムーズに起きないと、マーケットは大混乱になる可能性があるということです。
そういう意味からも、基軸通貨としてのドルの行方を、見守っておく必要があります。

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