いつも「水上紀行の面白FX教室」をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。当ブログは2007年9月より連載してまいりましたが、2011年6月30日(木)をもって終了いたしました。4年間にわたる皆様のご愛顧に感謝し、御礼申し上げます。
尚、バーニャ・マーケット・フォーカストの公式サイト(http://www.banya-mktforecast.jp/)では、水上紀行のコメント等を従来どおり更新しておりますので、今後ともよろしくお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
隠れた円買い予備軍に要警戒
円キャリートレードと言えば、低金利の円を売って、高金利の通貨を買ってキャリーして金利差を稼いで運用する方法が、一般に知られている側面です。
しかし、実は、もうひとつの側面があります。それは、円調達、つまり円での借り入れの側面です。
これつきましては、以前にも、お話したことがありますが、以下の新聞記事からもわかりますように、とうとうその懸念が現実となる可能性が高くなってきていると危惧し、再度注意喚起の意味から、掲載致します。
産経新聞web版、10月21日
アイスランドの大手銀行カウプシング銀行が2006年10月に発行した円建て外債(サムライ債)で、利払いが遅延していることが21日、明らかになった。利払い日は20日だが、元利払いの事務代理人である三井住友銀行は利払いがないことを確認した。猶予期限の27日を過ぎても支払われなければ契約上の債務不履行に相当することになる。支払い遅延が発生したサムライ債の発行金額は500億円。カウプシングは現在、アイスランド政府の管理下にある。
この円での借り入れは、海外から見れば、円金利は極めて低い上に円相場があまり動かないとの海外各地の銀行のセールストークもあって、アジア地域の中小企業が円建てで事業資金を借り入れたり、欧州やトルコやブラジルなどでは円建ての住宅ローンが、結構盛んに行われて来ました。
仕組みは、まず、低金利の円を借り入れます。しかし、海外の顧客にとっては、調達した円では現地で使いようがありませんので、その国の現地通貨に交換します。そして、返済期限がくれば、現地通貨を売って、円を買い返済にあてます。
つまり、円での借り入れの為替取引の流れだけを見てみますと、借り入れ時、円売り現地通貨買い、返済時、円買い現地通貨売りとなり、運用としての円キャリートレードの開始時円売り外貨買い、決済時円買い外貨売りと、流れは全く変わりません。
運用としての円キャリートレードは、昨年8月のサブプライムローン問題による急激な円高を経験したことにより、大幅に後退しましたが、調達としての円キャリートレード、つまり円建での借り入れの残高は、未だにかなりあるもようです。
過去に、以下のような事例があるだけに、個人的にはとても気掛かりです。
ドル/円は、1995年4月19日に、最安値である79円75銭をつけました。これは、日米の経常収支不均衡が、もちろん根底にありましたが、この円高を加速させたのは、アジア各国の円借款の償還が相次いだためでした。
円借款の償還とは、つまり円建ての国の借金の返済のことで、上記で挙げた最近の海外企業・個人の円建て借り入れの返済と仕組みは同じで、返済時、円買い現地通貨売りを行わなければなりません。
当時、アジア各国は、輸出決済という収入はドル建て、円借款という借金は円建てというねじれた状態の中、円高が急激に進行したことで、円借款が巨額の為替差損となって、アジア各国の経済に大打撃を与え、各国中央銀行は、やむなくロスカット的に、円借款の償還手当ての円買いを余儀なくされたことから、ドル/円は、その前の月から見て、17円もの大急落をしました。
したがい、円高の時、自己資金の運用としての円キャリートレードなら、体力があれば、やりすごすことができないこともありませんが、現在積み上がっている海外企業・個人の円建て借り入れという円キャリートレードには返済というしばりがありますので、逃げようがありません。この円建ての借り入れは、いつの日か、円高を加速させる大変な要因になる可能性があると見てきました。
そして現状、クロス円は大急落を演じており、この円買いが殺到するリスクはいやが上にも高まっていると言わざるをえません。
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