第64回 デフレギャップの解消(1/3)
現在の日本は、歴史上まれに見るレベルの深刻なデフレに苦しんでいる。
8月16日。内閣府は今年の第二四半期(4-6月期)のGDPに関する1次速報を発表した。結果は実質値で前期比プラス0.1%、年率換算でプラス0.4%であった。前四半期(1-3月期)が前期比プラス1.1%であったため、「減速した」と表現しても構わないだろう。
しかも、名目GDP成長率は前期比でマイナス0.9%と、大きく落ち込んだ。GDPデフレーターは前年同期比マイナス1.8%で、これで5四半期連続のマイナスである。日本が未だにデフレから全く抜け出せていないのは、あまりにも明らかである。
実質GDP成長率の減速や、名目GDPのマイナス成長を受け、菅直人内閣もさすがにデフレ脱却への対応を迫られている。が、その対策は相も変わらず「ちぐはぐ」で、問題の本質を理解していないのではないかと思わざるを得ないわけだ。
菅首相は20日、閣議後の閣僚懇談会で、追加の経済対策の検討を関係閣僚に指示した。
菅首相は「できる限り財政出動を伴わない形で考えられないか」と述べ、財源確保のために新たな国債発行は避ける考えを強調した。
この上で、規制緩和や税制の見直しなどに力点を置く意向を示した。
菅首相は、追加対策の財源は、今年度予算に計上している経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分約9000億円と、2009年度一般会計決算の純剰余金のうち約8000億円の計1兆7000億円の範囲内に収める意向とみられる。
追加対策について記者団に対し、「(政府が今年7月から実施した)中国人観光客向けビザの条件緩和など、知恵を出せば経済成長する分野はたくさんある」と述べた。
具体策として、前原国土交通相が同日、省エネ対応型住宅の新築や改築でポイントを受け取れる「住宅版エコポイント」について、12月末の期限の延長や対象を拡充する考えを表明した。このほか、12月末に期限を迎える家電エコポイント制度の延長や、新卒者の就職支援や中小企業向けの低利融資制度の拡充などが検討される見通しとなっている。』
この記事を読み、思わず「う~ん・・・」と唸ってしまったわけだ。
現在の日本は、国内の供給能力に対し、現実の需要が少なすぎるという問題を抱えている。いわゆる「デフレギャップ」である。
【図64-1 日本経済の真の問題「デフレギャップ」】

現実の需要とは何かと言えば、ズバリGDPのことである。現実の需要であるGDPに対し、供給能力が多すぎるため、「物余り」「価格下落」などのデフレ的な現象が生じているわけだ。
図64-1を見る限り、デフレギャップを解消する方法は二つしかないことが誰にでも理解できるだろう。すなわち、供給能力を削るか、あるいは需要を高めるかだ。とはいえ、「供給を削る」という考え方には難点が多い。
バブル崩壊後の日本は、企業のリストラクチャリングを進めることで供給能力の絞り込みを続けてきた。結果、設備の廃棄や人員削減が進行し、企業の設備投資意欲が高まらず、人件費が抑えつけられ、かつ失業率が上昇してしまったのである。
企業の設備投資とは、GDPの「民間企業設備」という支出項目だ。また、失業率上昇や人件費の抑制は、GDPの「民間最終消費支出(いわゆる個人消費)」という支出項目の伸びを抑え込む。
すなわち、「供給を抑える」形でデフレギャップを解消しようとすると、GDPが低成長(もしくはマイナス成長)に陥ってしまうわけである。先にも書いたように、GDPとは「現実の需要」を意味する。需要の伸びが抑えられた結果、デフレギャップは却って拡大してしまい、問題解決から遠ざかってしまうことになる。
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