第十一回 国債とは結局何なのか 前編(1/3)
本連載で散々繰り返してきたように、とにかく日本のマスメディアは、あらゆる指標や出来事について、日本経済にネガティブな印象を与える論調で報道する。と言うか、基本的にネガティブな印象を与える記事以外は、まず書かないし、番組も作らない。
「円高が続いています。輸出依存の日本経済は、間もなく破綻します。
・・・え? 円安になった?
オホン。外資の『日本売り』が進行しているようです。外資に見捨てられた日本経済は、間もなく破綻します」
「デフレ傾向が続いています。このまま不況は深刻化していき、日本経済は破滅するでしょう。
・・・え? CPI(消費者物価指数)がプラスに転じた?
オホン。『脅威のインフレーション』が始まったようです。物価上昇で庶民の生活は地獄に突き落とされ、日本経済は破滅するでしょう」
率直に言って、その知性レベルを疑いたくなってしまうわけだが、この種のダブルスタンダードこそが、国内マスメディアの真骨頂なのである。
今回のタイトルとは無関係だが、リーマン・ショック以降の国内マスメディアは、日本経済の先行きについて、暗鬱な印象を与える記事を報じ続けた。結果、何事が生じただろうか。
当たり前だが、業績の悪化や先行きの不透明感から、日本企業の宣伝費削減が始まったのである。
ほぼ全ての国内マスメディアは、広告収入が大激減。決算が赤字化した。決算悪化を受け、マスメディア各社で社員の給与削減や、人員削減が開始された。
筆者は正直、ここまで見事な「自業自得」は見たことがない。国内マスメディアの社員たちには、冗談抜きで破滅願望か何かがあるのではなかろうか。
それはともかく、先日も日本経済新聞が「無理やりに」ネガティブな印象を与える記事を書いていた。日本国債の保有者に関する記事だが、大変「典型的」であるので、以下にご紹介しよう。
『日本国債、海外の保有縮小 3月末43兆円
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090728AT3S1002L27072009.html
海外投資家による日本国債の保有が低迷している。今年3月末には保有率が6.4%、保有額は43兆円台となり、2007年9月末以来の低水準に落ち込んだ。世界同時不況の影響が大きく、4月以降も欧米の投資家を中心に日本の中長期債の売却が続いている。中長期的に国債の安定消化に悪影響を与えかねないため、財務省は欧米や中東諸国を対象に販路拡大を目指す考えだ。
日銀によると、国債の残高は3月末時点で約681兆7000億円で、このうち海外投資家の保有分は約43兆7000億円。9割以上は銀行や生命保険会社など国内投資家が保有している。米国やドイツでは海外投資家の国債保有率が半分以上。英国やフランスでも3割を超えており、日本国債は海外投資家の保有率の低さが際立つ。』
この記事を読んだ九割以上の人々は、
「ああ・・・。日本国債は外国人に売り払われているんだ・・・。主要国の中で最も人気がないのが、日本国債なんだ・・・」
という印象を受け、暗鬱な気分になるだろう。
2009年3月末現在、日本国債はその93.6%が国内の投資家、すなわち「日本人」により保有されている。「連載第二回 国家の負債を整理する」【図2-1 国家の負債の分類】の中では、「①政府の負債(内)」に該当するわけだ。
残りの6.4%は外国人に保有されているわけだが、日本政府は外貨建ての国債は一切発行していない(※誤差以下の規模の外貨建て国債は存在するらしいが。)。外国人保有分は、図2-1の「⑤政府の負債(外自=海外から自国通貨建て)」に該当する。
【図11-1 日本国債の所有者内訳 2009年3月末時点】
出典:日本銀行 資金循環統計
※2009年3月末時点の国債発行残高は681兆6544億円
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