三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

03月31日更新

第300回 ゼロ(1/3)

 ついに来るべき時が来たというか、日銀のインフレ目標の指標であるコアCPI(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)の上昇率が、消費税増税分(日銀試算で2%)を除くと、ゼロに落ち込んでしまった。4月になると、消費税増税の上乗せ分が剥離するため、普通にゼロもしくは「マイナス」で指標が発表される状況になるだろう。

『2015年3月27日 毎日新聞「消費者物価指数:2.0%上昇 増税影響除くと初の横ばい」
http://mainichi.jp/select/news/20150327k0000e020198000c.html
 総務省が27日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.5となり、前年同月比で2.0%上昇した。上昇は21カ月連続。ただ、昨年4月の消費増税による物価上昇の影響(2.0%)を除くと0%で、増税後初めて横ばいになった。ガソリンなどのエネルギー価格が下落した影響で、市場では「近く下落に転ずる」との見方も広がっている。
 上昇幅は1月(2.2%)から0.2ポイント縮小した。上昇率の縮小は7カ月連続。増税の影響を除いた実質で横ばいにとどまったのは、2013年5月(0.0%)以来。(後略)』

2015年2月のインフレ率は、
・CPI(消費者物価指数) 2.2% 消費税増税分を除くと0.2%
・コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数) 2.0% 消費税増税分を除くと0%
・コアコアCPI(食料・エネルギーを除く消費者物価指数) 2.0% 消費税増税分を除くと0%
 と、コアコアCPIはともかく、日銀インフレ目標の指標であるコアCPIまでもが「ゼロ」に落ち込んでしまったのである。
 各消費者物価指数の推移(消費税増税分は除く)をグラフ化してみた。

【図 日本の消費者物価指数の推移(対前年比%)】
20150330.PNG
出典:総務省統計局
※14年4月以降は、消費税増税分を控除

 黒田日銀発足後の二年間で、「上がって、落ちる」という、綺麗な山を描いているのが分かる。(特に、CPIとコアCPIが)
 5月下旬に、4月の消費者物価指数が発表される。先述の通り、4月からは消費税増税の影響が消えるため、各CPIが「マイナス」の数字で発表される可能性が高まっている。
 恐らく、黒田日銀総裁や岩田副総裁は、
「短期的には原油価格下落の影響で、コアCPIがマイナス化するかも知れないが、中長期的にはマクロ経済環境により、物価は上昇基調にある」
 と、一般人には何のことやらわからない説明をすることだろう。
「マクロ経済環境」とは、岩田副総裁の解説によると、期待インフレ率や需給ギャップを意味している。要は、
「現在の物価指数の下落は、原油価格が下がっているためで、期待インフレ率や需給ギャップは『改善』しており、物価指数は上昇に転じる」
 と、言いたいわけである。

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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