三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

02月11日更新

第344回 過度な金融政策依存からの脱却を!(3/3)

日銀のマイナス金利政策で、結局、
「預金者が損をし(金利引き下げにより)、政府が得をする」
 という、意味不明な事態になってしまっている。
 全ては、政府が「財政出動による需要創出」という正しい解から目をそらし続けた結果だ。間もなく、15年10月-12月期の経済成長率が発表になるわけだが、十中八九、マイナスであろう。
 銀行が国債に殺到し(というか、縋りつき)、長期金利が0.025%に下がったにも関わらず、さらには経済成長率がマイナスにも関わらず、政治家が「国債発行と財政出動」という普通の政策について語らない。怖い国である。

『2016年2月5日 ロイター通信「G20、成長支援に向けた財政政策が必要=IIF専務理事」
http://jp.reuters.com/article/g20-china-idJPKCN0VE06G
 国際金融協会(IIF)のチャールズ・コリンズ専務理事は、次回の20カ国・地域(G20)首脳会合では、世界経済を押し上げるための財政政策が提案されるべきだ、との認識を示した。
次回G20は、2月26─27日に上海で開催される。
同専務理事は、ロイターとのインタビューで「需要が十分でなく、低需要やデフレ圧力に対応するため、過度に金融政策に依存するという世界的な問題がある」とし、「エコノミストの立場から、G20が新たな需要の源を提案することが好ましく、そのひとつは財政政策だ」と語った。(後略)』

「需要が十分でなく、低需要やデフレ圧力に対応するため、過度に金融政策に依存するという世界的な問題がある、(中略)G20が新たな需要の源を提案することが好ましく、そのひとつは財政政策だ」

 上記のコリンズIIF専務理事の発言が「ニュース」になる以上、世界的に、
「需要不足」
「財政政策不足」
「金融政策依存」
という問題を抱えていることになる。
 今や,IIFといった国際機関までもが、
「過度な金融政策依存をやめろ。需要創出のために財政政策を拡大しろ」
 と、言っているわけだ。
 ちなみに、筆者は金融政策を否定したことはないし、やめるべきと主張したこともない。
 むしろ、今、日銀が金融引き締めに走ると、一気に円高になり、新興経済諸国の為替レートが暴落。金融危機の引き金になりかねない。
 筆者は、単に「過度な金融政策依存をやめろ」と、書いているに過ぎない。
 デフレは貨幣現象ではない。デフレは「総需要の不足」であるという正しい認識に基づき、日本は世界に率先して「過度な金融政策依存」から脱却する必要があるのだ。
 過度な金融政策依存をやめ、政府の財政出動による需要創出という「正しいデフレ対策」を実施して初めて、企業は、生産するモノやサービスについて、
「単価と生産数量が共に増加する」
 状況になる。
 上記の環境下で、生産性向上により「生産者一人当たりの生産」が向上し始めると、ようやく実質賃金は安定的にプラス化するようになる。
 逆に言えば、現在の過度な金融政策依存を続ける限り、物価は上昇するかも知れないが、給料の伸びが全く追いつかず、安倍政権は、
「日本史上、最も国民を貧困化させた(=実質賃金を低下させた)政権」
 として、歴史に名を残すことになるだろう。

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三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

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