三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

03月03日更新

第296回 消費者物価と実質消費(1/3)

日本の「再デフレ化」に関連し、不吉な指標が続いている。

『2015年2月27日 NHK「消費者物価指数 20か月連続の上昇」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150227/t10015785271000.html
 先月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除いて20か月連続の上昇となりましたが、原油価格の下落を受けて上昇幅が縮小しました。
総務省の発表によりますと、物やサービスの値動きを示す先月の全国の消費者物価指数は、天候による変動の大きい生鮮食品を除いて、平成22年を100とした指数で102.6となり、前の年の同じ月を2.2%上回って20か月連続の上昇となりました。
ただ、原油価格の下落でガソリンや灯油が値下がりした影響で、上昇幅は去年12月と比べて0.3ポイント縮小し、去年6月以降、縮小傾向となっています。
日銀の試算では、消費税率の引き上げで、全国の消費者物価指数は2%程度押し上げられるとされていますが、今回これを当てはめた場合、増税分を除いた上昇率は0.2%程度とみられ、1%を下回る状況が続いています。(後略)』

 消費税増税分を除いた消費者物価指数(CPI)、生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)、そして食料・エネルギーを除いた消費者物価指数(コアコアCPI)の三つをグラフ化した。日銀試算に従い、消費税引き上げ分(2%)は除いてある。

【日本の消費者物価指数の推移(多前年比%)】
20150302.png
出典:統計局

 コアコアCPIが「0.1%」で何とか踏ん張っている中、肝心のコアCPIの上昇率が縮小してきた。1月はわずか0.2%。コアコアCPIはもちろんのこと、コアCPIもまた、ゼロを切ってくるのは確実だ。
 無論、コアCPIの上昇幅が小さくなっているのは、原油価格の下落が大きく影響している。とはいえ、そもそもエネルギー自給率6%の国(日本)が、外国からの輸入に大きく依存しているエネルギー(原油など)を、インフレ率の定義である消費者物価の指数に組み込み、
「インフレ目標2%です」
 などとやっている時点で、変なのだ。
 インフレ目標の指標であるコアCPIが、エネルギー価格を含んでしまっている以上、
「原油価格が急騰し、国民生活が窮地に陥ると、インフレ目標が達成される」
 という、奇妙奇天烈な事態になる。もっとも、
「原油価格が急落し、国民生活にプラスの影響を与えた結果、インフレ目標が達成できなくなっている」
現在も、すでにして奇妙奇天烈であることに変わりはないのだが。
 日本銀行のインフレ目標は、明らかに「定義」を間違えている。早急にコアコアCPIもしくはGDPデフレータに変えるべきだ。
いずれにせよ、「2年で2%」という日銀のインフレ目標は、未達成に終わる。「コミットメントと期待インフレ率」理論は崩壊した。
 ちなみに、内閣官房参与の一人である浜田宏一教授は、2月23日にロイターのインタビューに答え、
「(日銀が)目標水準を1%近くに引き下げたり、達成期限を現行の2年程度から3年程度に延長しても日銀への信認が損なわれることはない」
とし、目標を再検討すべきと答えた。もはや、コミットメントも何も、あったものではない。
(2/3)へ続く
20150302.png

続きを読む

PR / Ad Space

PR / Ad Space

クルクるアンケート

03月03日更新

非農業部門雇用者数は?






みんなの回答を見る

三橋貴明(みつはし・たかあき)

三橋貴明(みつはし・たかあき)

1994年、東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。
外資系IT企業ノーテルをはじめ、NEC、日本IBMなどに勤務した後、2005年に中小企業診断士を取得、2008年に三橋貴明診断士事務所を設立する。現在は経済評論家、作家として活躍中。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」での発言を元に執筆した『本当はヤバイ!韓国経済―迫り来る通貨危機再来の恐怖』(彩図社)が異例のベストセラーとなり一躍注目を集める。同書は、韓国の各種マクロ指標を丹念に読み解き、当時日本のマスコミが無根拠にもてはやした韓国経済の崩壊を事前に予言したため大きな話題となる。
その後も、鋭いデータ読解力を国家経済の財務分析に活かし、マスコミを賑わす「日本悲観論」を糾弾する一方で、日本経済が今後大きく発展する可能性を示唆し「世界経済崩壊」後に生き伸びる新たな国家モデルの必要性を訴える。
崩壊する世界 繁栄する日本』(扶桑社)、『中国経済がダメになる理由』(PHP研究所)、『ドル崩壊!』 など著書多数。ブログ『新世紀のビッグブラザーへ blog』への訪問者は、2008年3月の開設以来のべ230万人を突破している(2009年4月現在)。

ページトップへ戻る