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オバマ政権、フォークロージャー対策強化へ=1.3兆円投入
-300万~400万世帯の救済目指す=市場は冷やかな反応-
【2010年3月30日(火)】 先週末(26日)、オバマ政権は住宅市場の低迷脱却を目指して、2年前に導入されたフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)対策を一段と強化した総額140億ドル(1兆3000億円)のテコ入れ策を明らかにした。
政府はフォークロージャー対策として、2008年2月に総額500億ドル(約4兆6400億円)規模で、「Home Affordable Modification Program」(HAMP)と呼ばれる借り換え支援制度を発足させている。
これは、ネガティブ・エクイティ(住宅の市場価格が購入時の簿価を下回りマイナスの純資産額になっている状況)で、フォークロージャー予備軍となっている300万-400万世帯の救済を目指したもので、住宅ローン(一戸建て当たり72万9750ドルまでが対象)の元本を減額した上で、FHA(連邦住宅管理公団)が借り換えローンの債務保証を行っている。
■フォークロージャー対策、効果見られず
しかし、政府はHAMPを通じてこれまで100万世帯以上が支払い可能な額まで一時的に毎月の返済額が減額したとしているが、実際には、そのうち住宅を手放さないで済むための恒久的な返済額の減額に至ったのはわずか17万世帯で、当初、期待されたほどの効果がほとんどなかったが実態。
フォークロージャーが減少しない最大の原因は、ホームエクイティローン(HELOC:住宅の正味価値(住宅価格とローン残高との差額)を限度とする住宅ローンの借り増し)などの第2順位抵当付き住宅ローンがこれまでHAMPの適用対象になっていなかったからだ。
こうした反省から、今度のてこ入れ策では、第2順位抵当を含めたすべての住宅ローンの合計額の住宅価値(市場価格)に対する比率(累積LTV率=CLTV)が持続安定的な返済が可能となる115%まで元本を減額(115%を超える分は償却し評価損計上)しなければ、FHA保証付きのリファイナンス(借り換えローン)を受けられないとしている。
ただ、このプログラムは強制的ではなく、あくまでも借り手と貸し手(銀行や投資家)が任意の合意に基づいて参加する仕組みになっているので、政府は元本減額のためのインセンティブを既存の貸し手に与える仕掛けを用意した。
まず、借り換えローンが再びデフォルト(債務不履行)にならないようにするため、第1順位抵当の貸し手は元本を最低でも10%以上(政府は平均で10%をかなり上回ると予想)減額しなければならない。また、第1抵当順位ローンの借り換えはFHAが容認している融資率97.75%を超えることができないとなっている。
■第2順位抵当の貸し手にもインセンティブ提供
今回のてこ入れ策の背景にあるのは、「フォークロージャー件数が今後3年間で1000万-1200万世帯に達する」(ダイアナ・ファーレル大統領経済顧問)という政府の厳しい見通しがある。ローン返済の遅延から最終的に持ち家を手放すことになれば、住宅価格が急落。その結果、さらにフォークロージャーが増加するという悪循環となり、住宅市場の回復が遅れ景気全体にも悪影響が及ぶことを政府は懸念しているのだ。
ネガティブ・エクイティの状況にある世帯数は全米で約1500万世帯といわれる。そのうち、LTVが120%以上は推定1000万世帯だ。今回のHAMPでは、こうしたフォークロージャーの恐れがある世帯のうち、FICO(フェアアイザック社)の信用情報スコアが500点を超えており、かつ、支払い遅延がないことなどが対象となる。
FHAによる債務保証付きで借り換えローンを受けられる条件は、既存の貸し手がCLTVを115%までに減額することだが、今回のてこ入れ策では第2順位抵当の貸し手もFHAから減額に伴う減損損失の補填として補助金(元本の減額1ドルにつき10-21セント)を受け取ることが出来ることになった点が目玉。
CLTVが105-115%のレンジにまで減額すれば1ドルに付き21セント、115超-140%は同15セント、140%超は同10セントの補助金が受け取れるのだ。
■失業中の世帯も救済へ
もう一つのてこ入れ策の目玉は、失業中の世帯主に対する救済策だ。毎月支払っている住宅ローン(2009年1月1日以降分で72万9750ドル以下のローン)の第2順位抵当も含む合計返済額が収入(失業保険給付額)の31%を超えている場合、3-6カ月間の期限で、約31%以下に元本を引き下げようというものだ。
これはこの返済減額期間中に安心して再就職するための時間的猶予を与えることが狙いで、3-6カ月後の時点で、収入の31%を超えた場合には、HAMPを利用して、借り換えローンによる返済負担の軽減へと進むことが可能になる。
政府はFHAに対し、この借り換えローンの実施に伴う費用(既存の貸し手や投資家に支払うインセンティブなど)などで140億ドルを財政支出する計画だが、これは2008年10月初めに議会で成立した金融安定化法の柱である総額7000億ドル(約65兆円)の不良資産救済制度(TARP)から住宅市場向けに予算配分された500億ドル枠を流用することになっている。
財務省のハーバート・アリソン次官補によると、この500億ドルのうち、これまでに使った金額は数十億ドルにとどまっているという。
政府は1000万世帯の救済は到底無理だが、2008年の同制度導入時に達成できなかった政府の当初目標の300万-400万世帯の救済が達成できれば、住宅市場の回復には十分な効果があるとしている。
しかし、一部のエコノミストは救済されるのは100万-150万世帯と低く見積もっている。現時点での90日の返済遅延でフォークロージャー手続きに入っている世帯数は約450万世帯となっているだけに、この程度では焼け石に水になる可能性がある。
■住宅市場、3-4カ月連続の減少
24日に発表された2月の米新築住宅販売件数は対前月比で4カ月連続の減少となり、1963年の統計開始以来の最低水準まで落ち込む一方で、同月の中古住宅販売件数も3カ月連続で減少した。新築と中古を合わせた同月の販売件数は昨年11月のピーク時の年率換算685万戸から532万8000戸へと、実に152万2000戸(22.2%)も減少。
米国の住宅市場は新規住宅取得者に対し、8000ドルを限度に住宅価格の10%の住宅取得控除を認める住宅取得控除のおかげで、昨年底入れしたが、ここ3~4カ月連続で販売が減少しており、まだ、本格的な回復にはほど遠い状況にある。
悲観的な見通しの根拠となっているのは、失業率(現在は9.7%)やフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)が依然高水準であること、また、FRB(米連邦準備制度理事会)のMBS(不動産担保証券)買い取りプログラムが3月末に終了することから住宅ローン金利が上昇する可能性があることなどだ。
■バンカメ、債務者救済措置を発表=フォークロージャー回避で
こうした中で、米金融大手バンク・オブ・アメリカがフォークロージャーを回避するため、2カ月以上返済遅延となっている約4万5000人の住宅ローンの債務者を対象に元本額の最大30%を棒引き(債務減免)する救済措置を発表した。
同行のこの救済措置は総額で30億ドル(約2800億円)に達する見通しだが、これで一気にフォークロージャーが解決するとは考えにくい。
今後、救済措置を求めて意図的にデフォルト(債務不履行)を起こす債務者も増える可能性があるからだ。債務減免については、ウェルズファーゴも昨年第4四半期(10-12月)に26億ドルの債務減免を実施しているものの、今後、他行も追随するかどうかについては疑問視されている。
(了)
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