増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル
【お知らせ】「増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル」は6月30日で終了いたしました 。
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米12月中古住宅販売、過去最大の減少幅に=前月好調の反動

―2009年は4.9%増の516万戸=4年ぶり増加―

【2010年1月27日(水)】 - NAR(全米不動産業協会)が25日発表した昨年12月の中古住宅販売件数(一戸建てや分譲住宅、集合住宅など、季節調整値)は、前月比16.7%減の年率換算545万戸と、前月(11月)が2007年2月以来2年9カ月ぶりの大幅増(7.4%増)となった654万戸から一転して急減した。市場予想の590万戸も下回った。

 この16.7%減はNARが同統計を開始した1968年以来の過去最大の減少幅で、4カ月ぶりの減少となる。中古住宅販売は9月以降11月まで3カ月連続で増加し、8月以降の4カ月間で28%も増加していた。

 ただ、水準としては前年比15%増と、依然前年水準を上回っている。しかし、11月の同44.1%増という過去最大の伸びからは大幅に鈍化している。

 また、12月のデータが出たことで、2009年通年の実績は前年比4.9%増の516万戸と、2005年以来4年ぶりの増加となった。

 市場では12月が急反落したことについて、住宅取得に対する政府の税額控除の影響とみている。

 11月が好調となったのは、住宅を新規に取得する購入者に対し、8000ドルを限度に住宅価格の10%の住宅取得控除を認める住宅取得控除が11月末で期限切れとなるため、駆け込み需要が起こったが、12月はその反動減が出たためだ。

 また、NARのエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「中古住宅市場は住宅取得控除の要因で、今後は住宅販売が大きくぶれるだろう」としたが、「住宅取得控除が4月末まで延長されたことから、春ごろには中古販売件数が再び急増する可能性が高い」と楽観的に見ている。

 さらに、同氏は、「今年下期まで住宅市場の回復が継続するためには雇用の増加がカギを握る」としており、また、12月の販売件数が半年前の6月時点に比べても11%増となっていることから景気回復の勢いは持続安定的に推移していると見ている。

 住宅取得控除制度は今年4月末まで5カ月間延長された上に、それまでの新規取得者という限定条件も外され、居住年数が5年以上であれば、新しい住宅に買い換えた場合には最大6500ドルの取得控除が認められることになった。

 ヤン氏によると、11月の販売戸数の51%は、同制度の利用者だったという。しかし、12月の税額控除制度の利用者の割合は43%にまで低下しており、いかに11月に集中したかがわかる。

 また、同氏はこれまでに住宅取得控除制度を利用したのは約200万人で、今後、期限延長され適用対象も拡大された新制度の利用者は240万人に達すると予想。新旧両制度の利用者は実に計440万人になるという。この結果、米国の中古住宅市場は、同制度の適用が終わったあとの2010年下期に自律回復に入ると見ている。

 ただ、高水準の失業率や過去最高水準となっているフォークロージャー件数、FRB(米連邦準備制度理事会)のMBS(不動産担保証券)買い取りプログラムが3月末に終了することから住宅ローン金利が上昇する懸念に加え、銀行の貸し渋りなど懸念材料は目白押しとなっている。

 フォークロージャーについては、米不動産調査会社リアルティトラックが14日に発表した昨年12月のフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)は前月比14%増の34万9519件、前年比でも15%増となった。この結果、2009年全体では前年比21%増の280万件と、2007年の2倍以上となり、過去最高となっている。

■住宅在庫、3年9カ月ぶり低水準

 販売の内訳は、主力の一戸建てが前月比16.8%減(11月は同8.5%増)の年率換算479万戸となった。前年比は12.7%増(11月は同42.1%増)だった。この結果、2009年通年では前年比5.0%増の456万6000戸となった。

 分譲住宅と集合住宅の合計は、前月比15.4%減(11月は横ばい)の66万戸となったが、前年比は34.7%増(11月は同60.1%増)となった。2009年全体では前年比4.8%増の59万戸だった。

 一方、中古住宅市場の供給過剰感を示す売れ残り住宅在庫は、前月比6.6%減の329万戸、と2006年3月以来3年9カ月ぶりの低水準となった。しかし、12月の販売ペースで換算した在庫水準は7.2カ月分と、前月の6.5カ月分から大幅に上昇している。

 再び、過去25年間の平均値である7.1カ月分を上回っており、また、適正水準とされる6-7カ月分(住宅ブームのピークだった2005年は4.5カ月分)のレンジの上限となっている。

■住宅価格、2年4カ月ぶりに上昇=価格安定化の傾向

 さらに、中古住宅の販売価格の中央値(季節調整前)は前月の前年比4.3%安から、12月は同1.5%上昇の17万8300ドルと、2007年8月以来2年4カ月ぶりに前年水準を上回った。ヤン氏は、価格上昇について、高額物件の販売が前年よりも増えたことや価格の安定化傾向が要因とみている。2009年全体では前年比12.5%低下だった。

 一戸建て住宅の中央値は、12月は前年比1.4%安の17万7500万ドル、2009年は同11.9%安の17万3200ドル。分譲住宅は、12月は同1.0%高の18万3700ドル、2009年は同16.1%安17万6100ドルとなっている。(了)

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02月04日更新

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増谷栄一(ますたに・えいいち)

増谷栄一(ますたに・えいいち)

経済ジャーナリスト。北海道生まれ。早稲田政経学部卒。
1988年ジャパンタイムズ入社、編集局記者として世界100カ国の特集記事を制作。
1992年日経国際ニュースセンター編集室総合編集部次長を経て、1996年~2000年まで
米国経済通信社ブリッジ・ニュース東京特派員として日米の政治、経済、マーケットを取材。
1998年から2年間、ニューヨーク、ワシントン支局でアメリカのマーケット、重要経済統計、米政府、
財務省、米議会などをシニア・エディターとして取材。G7財務相・中央銀行総裁会議を3度取材。
その後、米国通信社ダウ・ジョーンズ通信社のコピー・エディターを経て、2001年1月から2004年9月まで
AFX通信社(AFP通信の経済ニュース部門)東京特派員。
2004年4月から2007年3月末までライブドア・ニュース外報部チーフ。
2007年11月まで英米金融情報サービス、トムソン・ファイナンシャルの起債担当記者。
2009年2月から経済ニュースサイト「NNAヨーロッパ」の編集長としてロンドンに駐在中。

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