増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル
【お知らせ】「増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル」は6月30日で終了いたしました 。
いつも「増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル」をご愛読いただきまして誠にありがとうございます。当ブログは2007年5月より連載してまいりましたが、2011年6月30日(木)をもって終了いたしました。4年間にわたる皆様のご愛顧に感謝し、御礼申し上げます。

米10月住宅着工、10.6%減と半年ぶり低水準=悪化は一時的か

-今後は税額控除延長で増加に転じる可能性-

【2009年11月19日(木)】 - 米商務省が18日発表した10月の住宅着工件数(季節調整値)は前月比10.6%減の年率換算52万9000戸と、今年4月以来6カ月ぶりの低水準となった。また、下げ幅も1月以来9カ月ぶりの大幅下落となったほか、市場予想の60万戸を大幅に下回った。

 最近の住宅着工の推移を見ると、6月は59万戸、7月は59万3000戸、8月は58万1000戸、そして、9月は59万2000戸(改定前は59万戸)と、ここ4カ月はほぼ59万戸の水準で堅調に推移してきただけに、10月の大幅下落で住宅着工の先行きに対するこれまでの楽観的な見方に冷水を浴びせる格好となった。

 着工件数が急落した原因については、エコノミストは新規住宅取得者に対する税額控除(最大8000ドルで住宅価格の約10%に相当)の適用が11月30日に終了するという懸念から、建築業者が着工を手控えたためとみている。

 ただ、この住宅取得控除は、オバマ大統領が6日、雇用市場の回復の遅れに対する当面の措置として、失業保険の給付期間を最大で20週間延長する法案に署名した際、同時に来年4月末まで5カ月間延長されている。これは、住宅取得控除が第3四半期GDPのプラス成長への転換に寄与したことから、景気回復を後押しするために取られた措置だ。

 このため、エコノミストは、この住宅取得控除の適用期間の延長により、今後数カ月の住宅着工件数は再び緩やかながら安定した伸びに戻るとみており、あくまでも、10月の大幅下落は一時的なものになるとしている。

 しかし、その一方で気になるのがフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)の動向だ。米不動産調査会社リアルティトラックが12日発表した10月の同件数は前月比3.3%減となったが、前年比では依然19%増の33万2292戸と高水準になっている。これは住宅所有者の385世帯につき1世帯の割合で、フォークロージャーの手続きの通知を受けたことを示す。

 また、アナリストの多くは来年春からフォークロージャー件数が再び増加する可能性があると見ている。格安のフォークロージャー物件の増加は、住宅市場の供給過剰を引き起こし、売れ残り住宅在庫が増加、在庫を減らすため、住宅着工が抑制されるからだ。

■一戸建て着工件数は6.8%減

 10月は主力の一戸建てに加え、2世帯以上のアパートの着工も大幅に下落したのが特徴だ。一戸建て住宅着工件数は、前月比6.8%減の年率換算47万6000戸と、5月以来5カ月ぶりの低水準となる一方で、2世帯以上のアパートの着工件数も同34.6%減の5万3000戸と、同統計が始まった1959年以降で最低水準にまで急落した。そのうち、5世帯以上のアパートは、同33.3%減の4万8000戸となっている。

 前年同月比では全体の着工件数は、まだ30.7%減で、そのうち、一戸建ては10.9%減、5世帯以上のアパートは78.1%減となっている。ちなみに、10月の全体の着工件数は、最近のリセッション時の1991年1月に記録した79万8000戸の66%、また、2008年全体の90万5000戸の58%と、大幅に落ち込んでいる。2006年1月のピーク時の226万5000戸との比較では23%という厳しい状況だ。

■10月の建築許可件数、4%減=2カ月連続の減少

 また、この日同時に発表された建築業界のマインドを示す10月の建築許可件数(季節調整値)も前月比4%減(前年比24.3%減)の年率換算55万2000戸と、5月以来5カ月ぶりの低水準となった。これは2カ月連続の減少。9月の57万5000戸(改定前は57万3000戸)を下回ったほか、市場予想の58万戸も下回っている。

 特に、主力の一戸建ての建築許可件数は前月比0.2%減の45万1000戸となったが、2世帯以上のアパートが同17.9%減の10万1000戸と、大幅減少となった。

■11月業況判断指数、17で変わらず

 また、この着工統計の前日(17日)に発表された、住宅業界の業況判断を示す11月のNAHB(全米住宅建設業者協会)住宅建設業者指数は、前月と変わらずの17となった。ただ、10月の速報値は18だったが、その後17に下方改定されている。また、市場予想の19への改善とは裏腹な結果となっている。この17という数値は、6業者のうち1業者しか現在の状況を「良い」と見ていないことを示す。

 1月の過去最低の8からは改善傾向にあるものの、依然、好不況の分かれ目となる50を43カ月連続で下回り続けている。9月までは同指数は19だったが、新規住宅取得者に対する税額控除が11月末で切れるという見込みを嫌気して、その後の2カ月間で17まで低下しており、力強い回復に確信が持てない状況には変わりはないようだ。

 ただ、サブ指数のうち、向こう半年先の販売見通しを示す期待指数は10月の26から28に上昇している。一方、足元の業況感を示す現況指数は17で前月と変わらず、また、住宅訪問者指数も前月と同じ13にとどまっている。

 同指数は50を下回ると、大半が業況の悪化を感じていることを示す。同指数のピークは2005年6月の72だが、昨年4月以降、20を割っている。(了)

PR / Ad Space

PR / Ad Space

クルクるアンケート

02月04日更新

自動売買って興味あります?






みんなの回答を見る

増谷栄一(ますたに・えいいち)

増谷栄一(ますたに・えいいち)

経済ジャーナリスト。北海道生まれ。早稲田政経学部卒。
1988年ジャパンタイムズ入社、編集局記者として世界100カ国の特集記事を制作。
1992年日経国際ニュースセンター編集室総合編集部次長を経て、1996年~2000年まで
米国経済通信社ブリッジ・ニュース東京特派員として日米の政治、経済、マーケットを取材。
1998年から2年間、ニューヨーク、ワシントン支局でアメリカのマーケット、重要経済統計、米政府、
財務省、米議会などをシニア・エディターとして取材。G7財務相・中央銀行総裁会議を3度取材。
その後、米国通信社ダウ・ジョーンズ通信社のコピー・エディターを経て、2001年1月から2004年9月まで
AFX通信社(AFP通信の経済ニュース部門)東京特派員。
2004年4月から2007年3月末までライブドア・ニュース外報部チーフ。
2007年11月まで英米金融情報サービス、トムソン・ファイナンシャルの起債担当記者。
2009年2月から経済ニュースサイト「NNAヨーロッパ」の編集長としてロンドンに駐在中。

ページトップへ戻る