増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル
【お知らせ】「増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイル」は6月30日で終了いたしました 。
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米6月中古住宅販売、3カ月連続増=新規住宅取得者の購入増で

-米国の住宅市場、ようやく最悪期を脱したとの見方強まる-

【2009年7月24日(金)】 - 米国の6月の中古住宅販売件数が3カ月連続で増加し、供給過剰感を示す、売れ残り住宅在庫が減少、また、フォークロージャー絡みの物件も減少したことから、市場では70年ぶりの大不況といわれる米国の住宅市場もようやく最悪期を脱し、回復の兆しを見せ始めたとの見方を強めている。

 この統計結果を受けて、23日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比188.03ドル(2.12%)高の9069.29ドルに急伸、昨年11月以来8カ月ぶりの高水準に達している。

 NAR(全米不動産業協会)が23日発表した6月の中古住宅販売件数(一戸建てや分譲住宅、集合住宅など、季節調整値)は、前月比3.6%増の年率換算489万戸だった。これは、昨年10月以来8カ月ぶりの高水準で、市場予想の484万戸も上回っている。

 内訳は、主力の一戸建てが前月比2.4%増の年率換算432万戸で、前年比でも0.2%増と好調となったほか、分譲住宅と集合住宅の合計も同14.0%増の57万戸となった。ただ、前年比では3.1%減となっている。

 過去の中古住宅販売の推移をみると、4月は前月比2.4%増の年率換算466万戸となり、それまでの減少から増加に転じた、その後、5月も同1.3%増の472万戸(数値改定前は2.4%増の477万戸)となり、今回の6月の対前月比の増加で、3カ月連続の増加となった。この3カ月連続増加は5年以上ぶりだ。

 また、販売件数の増加は調査対象となった4地区のすべてで見られ、特に西部は前月比6.4%増と大幅に増加、南部も同4.0%増、北東部は同2.5%増、中西部も同0.9%増となっている。

■過剰在庫感、やや緩和

 中古住宅市場の供給過剰感を見る上で重要な指標となっている、売れ残り住宅在庫も前月比0.7%減の382万戸となった。これは、6月の販売ペースで換算して9.4カ月分で、5月の9.8カ月分からやや低下した。4月に10.1カ月分に上昇したあと、2カ月連続の低下となっている。

 もう一つの明るい材料は、フォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)絡みの中古物件が全体の販売に占める比率が大幅に低下したことだ。3月時点では中古住宅販売の半分近くを占めていたが、6月はわずか31%に急低下している。これまではフォークロージャー物件の比率が高いため、住宅価格を押し下げるという悪い影響が及んでいた。

 また、これまでは、雇用市場の悪化が続いていることや、銀行がフォークロージャーを再開する動きを強めていたため、住宅市場の先行きについては慎重な見方が続いていた。各行やフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)などの政府系住宅金融会社は、政府の住宅対策に配慮して自発的にフォークロージャーを抑制するモラトリアムを実施していたが、3月にフォークロージャーの再開に踏み切っていた。

■中古住宅価格、前年比15.4%低下=前月比では4.1%上昇

 一方、住宅価格は、依然として大幅下落が続いている。NARのエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は住宅価格の低下は来年初めまで続くと悲観的な見方だ。

 今回の6月統計では、中古住宅価格の中央値(季節調整前)は、前月比4.1%上昇の18万1800ドルとなったものの、前年比では15.4%低下と、依然、低水準となっている。

 住宅価格の低水準が続いている根拠について、ヤン氏は、売れ残り住宅在庫が低下したものの、水準的には依然、高いためだとしており、住宅価格が下げ止まるためには、在庫水準は7カ月分相当まで低下する必要があるとしている。

 過去25年間の平均値である7.1カ月分、また、適正水準とされる5.5-6カ月分(住宅ブームのピークだった2005年は4.5カ月分)を依然、大幅に上回っている状況だ。

 ただ、住宅ローン金利がこのところ上昇しているものの、まだ、5%台前半と、1年前の6.32%に比べてかなり低い水準にあることや、住宅価格が低下傾向にあることから、今後、住宅取得控除の税優遇制度の適用が受けられる新規住宅購入が増える可能性が出てきたとの見方もある。

 政府は今年中に住宅を新規に取得する購入者に対し8000ドルの住宅取得控除を認める一方で、州政府などの自治体も住宅ローンを積極的に提供しており、3月の統計では、新規住宅取得者が販売全体の半分以上(53%)を占めたが、6月の統計でも大半は新規住宅取得者によるものと見られている。

 しかし、その一方で、この税優遇制度も11月末で終了することや、住宅ローン金利も上昇し始めていることから、中古住宅市場の先行きを懸念する見方もある。実際、住宅ローンの金利はフレディマックによると、30年固定金利型の場合、5月の4.86%から5.42%に上昇してきているからだ。

 6月の中古住宅販売の年率換算489万戸という数値は、昨年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻前の水準とほぼ同じだが、今後数カ月でこの水準を突破できるかどうかが中古住宅市場の回復の判断の分かれ道になるとの見方もあるようだ。また、労働市場の悪化が止まるまでは住宅販売は低迷し続けるとの見方も根強い。

 23日に発表された、18日で終わった週の週間新規失業保険申請件数は、前週比3万件増の55万4000件と、今月初めの減少傾向から悪化に転じており、景気回復期待に水を差す結果となったのも気がかり材料だ。(了)

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02月04日更新

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増谷栄一(ますたに・えいいち)

増谷栄一(ますたに・えいいち)

経済ジャーナリスト。北海道生まれ。早稲田政経学部卒。
1988年ジャパンタイムズ入社、編集局記者として世界100カ国の特集記事を制作。
1992年日経国際ニュースセンター編集室総合編集部次長を経て、1996年~2000年まで
米国経済通信社ブリッジ・ニュース東京特派員として日米の政治、経済、マーケットを取材。
1998年から2年間、ニューヨーク、ワシントン支局でアメリカのマーケット、重要経済統計、米政府、
財務省、米議会などをシニア・エディターとして取材。G7財務相・中央銀行総裁会議を3度取材。
その後、米国通信社ダウ・ジョーンズ通信社のコピー・エディターを経て、2001年1月から2004年9月まで
AFX通信社(AFP通信の経済ニュース部門)東京特派員。
2004年4月から2007年3月末までライブドア・ニュース外報部チーフ。
2007年11月まで英米金融情報サービス、トムソン・ファイナンシャルの起債担当記者。
2009年2月から経済ニュースサイト「NNAヨーロッパ」の編集長としてロンドンに駐在中。

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