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米FRB、短期金利誘導目標0-0.25%に=資産買い取り積極化へ
-市場、来年1月ゼロ金利織り込む-
【2008年12月17日(水)】 - 米FRB(連邦準備制度理事会)は16日、依然としてクレジット市場と景気の悪化に歯止めがかからないことから、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を0-0.25%のレンジとすることを全員一致で決めた。
FRBが政策金利をほぼゼロ金利とするのは、1990年の誘導目標の導入以来18年ぶりの低水準となる。
FRBは、FOMC(公開市場委員会)会合後に発表した声明文で、今後の金融政策のスタンスについて、「経済情勢の悪化により超低金利がしばらく続く可能性が高い」と述べ、当分の間は、この超低金利を維持する考えを示している。
また、ディスカウント・ウィンドウ(FRBが金融機関に直接資金を供給する制度)に適用される公定歩合も同率の0.75%ポイント引き下げ0.5%となった。
しかし、金利先物市場では、FRBが10月に政策金利の誘導目標を1%に引き下げたものの、11月の実際のFF金利は平均で0.39%と、目標を大幅に下回ったことから、来年1月27-28日のFOMCでは、政策金利はゼロ%になる確率を30%近くまで折り込んでいる。
●FRB、10月の2回連続利下げに続いて3回目の利下げ
今回の利下げは、一カ月間に2度の利下げを実施した10月以来となる。10月は、月初めの8日に臨時のFOMC会合を開いて0.5%ポイント引き下げたが、このときはECB(欧州中央銀行)を始め、イングランド銀行(中央銀行)、カナダ中央銀行、スイス国民銀行、スウェーデン中央銀行との同率の協調利下げだった。
続いて、10月29日の定例会合では0.5%ポイントの利下げを実施、政策金利を4年ぶりの低水準である1%にまで引き下げていた。
FRBは昨年夏のクレジット市場危機以降、昨年9月から今年4月まで7回連続で計3.25%ポイントの利下げを実施、その後は3回連続で据え置いたが、8日に半年ぶりの利下げを再開、今回は3回連続の利下げとなる。
●FRB、流動性の潤沢供給に加え資産買い取りにも重点
今回の利下げについては、FRB幹部は日銀が景気刺激のため1999年2月から採用したゼロ金利政策と2001年3月からのデフレ対策のために取った量的緩和政策とは異なると指摘している。
日銀は流動性の潤沢供給だけに主眼を置いたが、FRBの場合、政策の重点を流動性供給だけでなく、クレジット市場の機能回復にも広げた点で異なる。つまり、FRBはバランスシートの左側に記載される資産部分の拡大を目指すという。
実際、FRBが今回発表した声明文では、「すでに発表済みの政府機関債やMBS(不動産担保証券)の買い取りを今後拡大する態勢にある」とした上で、「今後も引き続きクレジット市場と景気を支えるために必要なあらゆる対策を検討する」と述べている。
政府機関債やMBSの買い取りは、FRBが11月25日に発表した住宅市場対策で、政府系住宅金融会社のファニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)の社債と、これら2社が債務保証したMBSを、5000億ドル(約44兆5000億円)を上限に買い取る制度だ。
声明文では今後、この買い取り額を拡大するとしている。ウォールストリート・ジャーナルは17日付のウエブ版で、最大6000億ドル(約53兆4000億円)になるだろうとしている。
また、FRBは声明文の中で、長期国債(米国債)の購入の検討を続けるとしているほか、来年2月までにクレジットカードや学生ローンの債権の購入を開始することも明らかにしている。
これもFRBが11月25日に発表した、クレジットカードなどの消費者ローンの金利の低め誘導と借り入れをスムーズにすることを目的としたクレジット市場対策だ。
クレジット市場対策は3本の柱からなっている。最初の柱は、2000億ドル(約17兆8000億円)の資金を消費者ローン市場に投入するものだ。これはクレジットカード・ローンや自動車ローン、学生ローンといった消費者ローンを参照債権(担保)として発行されているABS(資産担保証券)を保有している銀行系のSIV(仕組物投資ファンド)などの投資家に資金を融資するものだ。
具体的には、ニューヨーク連銀がTALF(Term Asset-Backed Securities Loan Facility)と呼ばれる貸出制度の下で、高格付けの消費者ローンや政府の中小企業局が債務保証している中小企業ローンの債権を裏付けとして発行されたABSを保有している投資家にノンリコース(ローン返済ができなくなったときに、担保になっている資産以外に債権の取り立てが及ばない非遡及型融資)の融資を行う。
これによって、FRBは銀行などの投資家のバランスシートに余裕を持たすことができれば、これらのABS債券に対する需要が喚起されて債券売買が活発化。その結果、自動車やカードなどのローン金利も下がって消費者は借りやすくなり、資金余裕が生まれた銀行も消費者ローンを増やすようになると期待している。
同制度は来年2月までに実施に移され、来年末までで終了する見通しとなっている。しかし、FRBはその後の延長は可能としている。
●ダウ平均株価指数、359ドルの急騰
こうしたFRBの政策決定を好感して、16日のニューヨーク証券取引所(NYSE)では、ダウ工業株30種平均が引けにかけて急伸、前日比359.61ドル(4.2%)高の8924.14ドルで引けた。
声明文では、景気判断については、「全体として、景気にも通しは一段と悪化している」と述べている。前回のFOMCの声明文との違いは、「雇用市場の状況が悪化している」という文言が新たに加わったことだ。それ以外の個人消費や企業設備投資、鉱工業生産はいずれも低下しているという文言は変わっていない。
最新の雇用統計は、12月5日に発表された11月の新規雇用者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)だが、前月比53万3000人減と、1974年以来34年ぶりの大幅減になった。
ただ、エコノミストの多くは今後2四半期のGDP成長率はかなり悪化しても、来年下期からはゆっくりとしたペースで回復すると見ている。
FRBが11月19日に発表したFOMC議事録(10月28-29日開催分)では、「第3四半期(7-9月)GDPはマイナス成長となったが、9月中旬から金融市場の混乱が一段と激しくなったことから、第4四半期(10-12月)GDPも再び、マイナス成長になる可能性がある」としている。
その上で、「実質GDP伸び率は、2009年上期は小幅なマイナス成長となり、2009年下期には上昇に戻り、その結果、2009年の通年はゼロ成長になるだろう」としている。(了)
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