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米自動車ビッグ3、リストラ計画を議会に提出=3.2兆円の緊急融資要請
-ビッグ3問題、明日から委員会で集中審議へ-
【2008年12月3日(水)】 - GM(ゼネラル・モーターズ)などビッグ3は2日、米議会にそれぞれのリストラ計画を議会に提出した。
先月20日に、上院が超党派で策定した250億ドル(約2兆3000億円)のビッグ3向け緊急融資に関する折衷法案を本会議で採決する方向で準備を進めていた。急きょ、民主党幹部がビッグ3から自主再建が可能であることを証明するリストラ計画の提出がなければ過半数の賛成票は得られないと判断、採決が見送られていた。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長とハリー・リード上院院内総務院内総務は先月21日にビッグ3の各首脳にリストラ計画や各社の資金繰り状況などをまとめた報告書を2日までに議会に提出するよう求める書簡を送付していた。
しかし、この2週間で、当初、250億ドルだったビッグ3からの緊急融資の要請額は340億ドル(約3兆2000億円)に拡大している。ビッグ3のうち、GMとクライスラーは運転資金が所要最低水準に近づいており、緊急融資がなければ年内に行き詰まる可能性があるとしている。ちなみに、GMの債務額は450億ドル(約4兆2000億円)、フォードは260億ドル(約2兆4000億円)といわれている。
●フォード、8400億円の融資を要請=次世代電気自動車の導入で
フォードは、2011年までに税引き前利益で収支トントンか黒字転換を目指すリストラ計画を提出、90億ドル(約8400億円)の緊急融資を求めている。ただ、フォードはGMやクライスラーと違って、2009年中に資金繰りに行き詰る可能性はないとしており、基本的には融資を利用しなくてもリストラ計画の完了は可能だとしている。
しかし、それでも、フォードは、「今後、同業他社のうち1社でも破産するか、あるいは、経済危機が一段と深刻化した場合には事情が変わる」として、万が一に備えるために緊急融資を受ける必要があるとしている。
2011年での黒字化の前提になっている業界全体の新車販売台数は、2009年が1250万台、2010年は1450万台、2011年は1550万台となっている。ちなみに、今年10月の販売台数は年率1060万台となっている。
リストラ計画では、フォードは燃費効率の高い自動車生産にシフトするため、新たに必要となる設備投資額は向こう7年間で約140億ドル(約1兆3000億円)と試算している。
具体的には次世代型電気自動車の生産を念頭に置いており、2010年に商用車の「Transit Connect」で、2011年には小型車「Ford Focus」と同サイズの乗用車モデルを導入するほか、ガソリンと電気を併用したハイブリッドカーの開発も促進する計画だ。
また、サプライチェーンのリストラでは、取引先の部品供給会社を現在の1600社から750社に絞り込む計画だ。また、年内にカーディーラー数を現在より606社減らし、3790社とするとしている。
一方、フォードは1日、資金繰り対策の一環として、1999年に買収したスウェーデンの大手自動車メーカー、ボルボ・カーズの売却を選択肢の一つとして検討していることを明らかにしている。検討期間は数カ月となっている。
売却先としてはインドの自動車大手タタ・モータースが噂されている。タタは、今年3月にフォードからジャガーとランドローバーの高級ブランド部門を17億ドル(約1600億円)で買収しており、これにもう一つの高級ブランドのボルボが加わることで相互補完となるというのが根拠になっている。
●GM、1兆7000億円の融資を要請=生産車種削減で経費削減狙う
一方、GMは、180億ドル(約1兆7000億円)の緊急融資がなければ、破たんする可能性があるとして事態は深刻だ。当面は120億ドル(約1兆1000億円)の緊急融資が必要で、うち、12月中に40億ドル(約4000億円)を利用したいとしている。
また、GMもフォードと同様に、将来の経済状況の悪化に備えるために、この120億ドルとは別に60億ドル(約5600億円)の融資枠の設定を求めている。その上で、返済は3年据え置き後の2011年からとしている。
リストラ計画では、GMも電気自動車などの次世代の自動車開発を進めるため、約290億ドル(約2兆7000億円)を2009-2012年の3年間にわたって投資する計画だ。
また、生産車種についても、将来的にはキャデラックとシェビー、ビュイック、GMCハマーの4車種に絞り込み、サーブとサターン、ポンティアックについては生産中止を含めて見直すとしている。これによって、2012年までに従業員数を2万1000-3万1000人削減、6万5000-7万5000人体制にするほか、カーディーラー数も1750社削減できるとしている。
●クライスラー、6500億円の融資を要請=同業他者との合併目指す
クライスラーは年末までに70億ドル(約6500億円)の緊急融資がなければ、来年第1四半期(1-3月)中に破たんするとしている。その上で、生産車種の削減やデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)による新株発行、同業他社との合併を軸としたリストラ計画を明らかにしている。
クライスラーは合併で年間35億-90億ドル(約3300億-8400億円)のコスト削減が可能になるとしている。
具体的には、2010年までにフル機能の電気自動車の第1号モデルを導入、2013年までにモデルを追加するとしている。2013年時点での米国での電気自動車市場で、50万台を販売する計画だ。
また、ビッグ3は退職者の医療費の一部を負担しているが、UAW(全米自動車労組)は会社側から受け取った資金で信託基金を設立し医療費の支払いを管理しているが、GMは2010年初めまでに75億ドル(約7000億円)、フォードも2009年末までに63億ドル(約5900億円)をUAW支払わなければならない。このため、両社はUAWとの間で支払い延期を求めて協議に入る可能性が高いといわれる。
●ビッグ3、車種を大幅に縮小へ
ビッグ3のリストラ計画は、今後、米下院金融サービス委員会と上院銀行住宅都市委員会の2つの委員会が中心となって、明日の4-5日の2日間にわたって、各社のトップによる公聴会が開かれ、集中審議に入る。
複数の地元メディアによると、民主党のカール・レビン上院議員(ミシガン州選出)は記者団に対し、フォードとGMのリストラ計画は議会で支持を受ける妥当と述べており、ひとまずは好感された格好だ。
また、民主党のハリー・リード上院院内総務(ネバダ州選出)も、週明けの8日までに法案を上院本会議に提出する見通しを明らかにしている。しかし、同氏は議会でのリストラ計画の審議があるため、来週中の可決については確証を与えなかった。
議会では、12月8日以降の議会審議では年内に緊急融資法案の可決は困難で、来年1月になるとの見方もある。
ビッグ3の各首脳は明日からの公聴会に出席するためワシントン入りするが、GMのリック・ワゴナーCEO(最高経営責任者)は前回、豪華な社用ジェット機でワシントン入りして議会で轟々たる批判を浴びた反省として、今回は800キロ以上の長距離を自社のハイブリッドカーで駆けつけるという。
同様に、フォードのアラン・ムラリーCEOとクライスラーのロバート・ナーデリCEOもジェット機を使わずハイブリッドカーで駆けつける。
一方で、驚いたのはGMのワゴナーCEOが今後、わずか1ドルの報酬で再建にあたると強調したことだ。同氏の2007年の年収は2167万ドル(約20億2000万円)だった。また、フォードのムラリーCEOもこれに同調して報酬は1ドルで良いとし、また、5機の社用ジェット機も売却すると宣言。クライスラーのナーデリCEOも年収1ドルで働くとしている。
人件費の削減では、フォードはリストラ計画の中で、管理職全員の2009年のボーナス支払いを中止するほか、北米事業部門のホワイトカラーの来年の昇給も停止することも盛り込んでいる。また、ムラリーCEOはブルーカラーの人件費削減でUAW(全米自動車労組)との交渉を進めており、公聴会で詳細を明らかにできるとしている。(了)
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