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ブッシュ大統領、74兆円の不良資産買い取り訴える=テレビ演説で
【2008年9月25日(木)】 - ブッシュ大統領は24日夜のテレビ演説で、「米国は深刻な金融危機にある」と述べた上で、政府が金融機関から不良資産を7000億ドル(約74兆円)で買い取る金融安定化対策への国民の理解を求めた。
ブッシュ大統領は、演説の中で、「議会が直ちに行動しなければ、アメリカは金融パニックに陥り、最悪のシナリオが現実のものになる」と危機感を示し、さらに、「より多くの銀行が破たんし、株式市場がさらに悪化、その結果、退職年金の価値も下がるだろう」と警告している。
これに呼応するように、民主党のナンシー・ペロシ下院議長と共和党のジョン・ベイナー下院院内総務の両党のリーダーも異例の共同声明を出している。両党首脳は、声明で、「超党派で金融対策に取り組んでおり、作業は前進している」と述べ、市場の懸念払拭に懸命だ。
ホワイトハウスと議会幹部との協議は大詰めを迎えており、25日には両党による妥協案作りに入り、また、同日にブッシュ大統領がオバマ、マケインの両大統領候補と会談することが決まっている。議会は、ここ数日中に金融安定化対策法案の議会成立を目指しているところだ。
ブッシュ政権が20日に議会に提示した7000億ドルの不良資産買い取り素案はわずか2ページ半という簡単なものだった。
買い取り対象は不良債権化した住宅ローンや商業用不動産向けローン、また、それらを証券化したMBS(不動産担保証券)で、9月17日までに組成されたことを条件。買い取り期間は2年間となっている。
また、買い取り額の上限を7000億ドルとしたことから、2009年会計年度の予算で決められた公的債務残高の制限も現行の10兆6000億ドル(約1123兆円)から11兆3000億ドル(約1200兆円)に引き上げることも提案している。
素案では、財務長官にほぼ無制限に権限を与えるとし、実際の不良債権の取得や売却、保有について、議会の事前承認の必要がなく大幅な自由裁量を認めている。ただ、不良債権の取得後3カ月以内に議会に事後報告が必要で、その後も6カ月ごとに報告するとしている。
一方、議会では、多数派の民主党が修正を求めている。一つは、金融機関からの不良債権買い取りと引き換えに、返済不能になっている住宅所有者が持ち家を失わないような必要な措置を取ること、また、経営陣の報酬額に上限を設定する措置を要求している。
一時、議会では、11月の大統領選挙の準備のために議会が今週末から休会に入るため、選択肢の一つとして、7000億ドルの3分の1だけの支出を投票で決め、残りの金額については後日、改めて投票で決めるという案が広がった。
しかし、ヘンリー・ポールソン財務長官は24日、上院銀行住宅都市委員会のクリストファー・ドッド委員長(民主党)と米下院金融サービス委員会のバーニー・フランク委員長(民主党)と会談した際、7000億ドルの一括承認が市場に信頼を取り戻すために必要と主張して反対を表明している。
現在、最有力なのは7000億ドルで了承する代わりに、その効果を計るベンチマークを設定するというものだ。ブッシュ大統領は、対策の実施については、超党派で監視委員会を創設することを提案している。
●逆入札方式で買い取りへ
現在、想定されている不良資産の買い取り方法は入札方式だ。あらかじめ入札にかけられる不良資産(個別、または、グループ化)に対する売値が金融機関から示されると、財務省は売値を安い順にランク付けし、最も安い価格で不良資産を買い取るというものだ。
これは、普通は、国債入札のように高値を付けた業者に国債を売却する方式と反対なので、逆入札(reverse auction)と呼ばれる。
ベン・バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長は23日の米上院銀行住宅都市委員会での公聴会で、額面1ドル当たり数セントにまで価値が急落している不良資産をそうした超安値で買い取る考えには反対している。
同議長は、もし、そうなれば、金融機関の損金処理額が膨らみ、経営破たんが増える結果になるとし、むしろ、その資産が満期保有で投資家に支払われるのと等しい価値で買い取ることができれば、「(金融機関は)相当な恩恵を受ける」と述べているほどだ。
ポールソン財務長官も23日の上院の公聴会で、入札方式の結果を踏まえて、MBSなどの価格が現在の価格よりある程度高い水準にまで上昇して行けば、クレジット市場への参加者が増え、流動性も高まると見ている。
この点については、バーナンキ議長も、「もし、適切な入札のメカニズムが確立されれば、クレジット市場を再起動させることができる」と強い期待感を示している。
●CBO局長、米国債の金利上昇を懸念=7000億ドルを超えた場合
7000億ドルの不良資産買い取りをめぐっては、23-24日の2日間にわたり、上下両院で委員会審議が行われたが、注目を集めたのがCBO(米議会予算局)のピーター・オースザク局長の24日の下院予算委員会での発言だ。
同局長は、政府は2009会計年度に、金融機関からの不良債権買い取りで7000億ドルの総枠を使い切るだろうと述べたが、買い取り価格が高すぎて、国債増発につながることになれば、投資家は米国債に対するデフォルト懸念から発行条件の引き上げを要求、金利上昇を招く可能性があると指摘している。
同局長は、政府の不良債権買い取り計画の詳細が不明のため、総枠7000億ドルの最終的な収支尻は不明だとしたが、1セントも損失を出さないというのは不可能だとも述べている。
その上で、住宅市場が回復したときに買い取った不良資産を売却して得られる利益で相殺すれば、ネットベースの損失額(国民の負担額)は7000億ドルをかなり下回るだろうと述べている。
しかし、オースザク局長問題は買い取り価格が適正なものになるかどうかだという。同局長は、MBSの種類によって適正な時価を決めるのは難しいため、適正な時価よりも買い取り価格が高すぎた場合、国に損失が発生し、また、反対に適正な時価で買い取ったあと、市場に売り戻すときまでに価値が上昇すれば、国には利益が発生すると指摘する。
議会が最も懸念しているのは、資産買い取り資金を調達するための国債発行が増えることだ。今年の財政赤字は4070億ドル(約43兆円)に達する見通しで、2009年はさらに赤字が拡大すると予想されているだけに、重要な問題になっている。
オースザク局長は、もし、国債に投資している市場参加者が、資産買い取りで政府がお金を払いすぎたと判断すれば、つまり、将来、米国債のデフォルトリスクが高まったと判断すれば、新発国債の表面利率を引き上げるよう圧力が強まるという。
また、同局長は「7000億ドルという数字が市場にすでに独り歩きしているので、これが議会で減額修正された場合の市場の反動リスクが大きい」という。その結果、(銀行の貸し渋りで)流動性が低下すれば、企業の運転資金の借り入れコストばかりか、個人の住宅や自動車のローン金利も上昇という形で、大恐慌と同じような金融市場の崩壊、そして、経済に深刻な困難を及ぼす」という。(了)
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