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米7月住宅着工、17年ぶりの低水準=GDP寄与度マイナスへ
-8月の建築業界の期待指数は上昇=底打ちは近いとの見方-
【2008年8月20日(水)】 - 前日、米商務省が発表した7月の住宅着工件数は、前月比11%減と、1991年のリセッション(景気失速)以来となる17年ぶりの低水準となった。米国の住宅市場は依然、低迷が続いていることが改めて浮き彫りになった。
じつは、前月の6月は前月比10.4%増(改定前は9.1%増)と、市場予想を大幅に上回り、サプライズと受け止められた。しかし、今回の7月統計が再び悪化を示したことで、6月の大幅な回復も一時的だったことが裏付けられた。
もともと、6月の急増はニューヨーク市が7月1日から新しいアパート建築基準を導入することから、事前にアパート建築の駆け込み需要が起きたためだった。実際、この特殊要因を除いた実質の着工件数ベースは、依然、減少していた。大方のエコノミストは、この急伸は一次的で7月にはその反動減が現れると予想していた。
●住宅投資部門の第3四半期GDP成長率寄与度はかなりのマイナス
この統計結果を受けて、エコノミストは、第3四半期(7-9月)GDP成長率に対する住宅投資部門の寄与度はかなりのマイナスになるとの見方を強めている。第2四半期(4-6月)の寄与度はマイナス0.6%ポイントで、10四半期連続でGDP成長率を押し下げている。
景気後退リスクが高まる一方で、インフレリスクは7月中旬以降の原油価格の低下で緩和が期待されている。市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の年内利上げの可能性はほとんどないとの見方が強まっている。
この日、発表された7月の米生産者物価指数(PPI)は、原油高騰を反映して、前年比9.8%上昇と1981年6月以来27年ぶりの大幅上昇となった。しかし、詳細を見ると、原油価格の前月比は3.1%上昇と、6月の同6%上昇の半分の伸びに鈍化し、ガソリン価格も同0.2%低下と4月以来の低下に転じている。
原油価格は1バレル147.27ドルの過去最高値を付けて以降、30ドル以上も下落しており、エコノミストはこうした原油価格の低下傾向で、今後のPPIは緩和方向に向かうと見ているのだ。
●住宅着工、前月比11%減=一戸建ては同2.9%減
7月の住宅着工件数(季節調整値)は、前月比11%減の年率換算96万5000戸となり、市場予想のコンセンサスである96万戸とほぼ一致したものの、6月の108万4000戸(改定前は106万6000戸)を大幅に下回った。これは、リセッションとなった1991年3月の92万1000戸以来17年4カ月ぶりの低水準となっている。
また、主力の一戸建て着工件数は、前月比2.9%減の年率換算64万1000戸と、小幅な減少だったが、依然、1991年1月以来17年半ぶりの低水準が続いている状況だ。
また、前年比も全体の住宅着工は29.6%減、中核をなす一戸建ても39.2%減と、いずれも依然、大きく落ち込んでおり、エコノミストは今年の全体の住宅着工件数は第2次世界大戦以降で初めて100万戸を下回ると見ている。
7月の全体の住宅着工件数の水準は2005年初めのピーク時の221万戸から56%減と、まだ半減している状況だ。
今回の住宅着工全体の足を引っ張ったのは、アパートや分譲マンション、タウンハウスなど2世帯以上の集合住宅だった。そのうち、大半を占めた5世帯以上の集合住宅の着工件数は前月比23.5%減の30万9000戸となった。ただ、前年比では12.0%増と前年水準を上回っている。
●7月の建築許可件数、前年比17.7%減=一戸建ては同41.4%減
他方、この日同時に発表された建築業界のマインドを示す7月の建築許可件数(季節調整値)も前月比17.7%減の年率換算93万7000戸と、大幅に減少。市場予想の95万9000戸を大幅に下回った。また、前年比も32.4%減と急減している。
このうち、一戸建ての建築許可件数は同5.2%減の58万4000戸と、リセッションとなった1982年8月以来26年ぶりの低水準となり、前年比も41.4%減と依然大幅に落ち込んだままだ。
エコノミストは、今年後半か来年初めにかけて底打ちするまでに、一戸建て住宅の建築許可件数は、さらに15-20%減少すると見ている。
●8月の建築業界の期待指数、上昇=底打ちは近いとの見方
また、この統計の前日(18日)に発表された、住宅業界の業況判断を示す8月のNAHB(全米住宅建設業者協会)/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は16となり、7月からは変わらずとなった。しかし、16という数値は、1985年の調査開始以来の過去最低となっており、住宅販売は依然、厳しい状況が続いていることを示している。
同指数は50を下回ると、大半が業況の悪化を感じていることを示す。同指数のピークは2005年6月の72だが、昨年6月時点では24にまで低下しており、50割れは2年5カ月連続となった。
しかし、明るい材料となったのは、サブ指数のうち、向こう半年先の販売見通しを示す期待指数が前月の23から25に上昇、また、もう一つのサブ指数である一戸建て業況判断指数も7月の15から16に上昇したことだ。これは、住宅建築業界は住宅市場の底打ちが近づいているという認識を反映したものと受け止められている。
NAHBの主任エコノミスト、デービッド・サイダース氏は、「全体の業況判断指数は依然過去最低の水準となっているが、3つのサブ指数のうち、2つが前月から上昇しており、新築住宅市場の底打ちが近いことを示している」と指摘する。
なお、サブ指数である住宅訪問者指数は7月と変わらずの12に低下したままだ。
●7月のフォークロージャー件数、依然高水準
また、米不動産調査会社リアルティトラックが14日に発表した7月のフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)は、前年比55%増の27万2171件と、依然、31カ月連続で前年水準を上回っており、底打ちの兆しが見えない。
アナリストは、今年だけで100万件以上のフォークロージャーが見込まれるとしている。これは、販売される住宅のうち、フォークロージャー物件が全体の25-33%を占めることを意味し、住宅価格の下落圧力となっている。
また、前月比も8%増となり、6月の3%減から再び増加に転じた。これは464世帯につき1世帯の割合で住宅を失っている厳しい状況だ。
また、全体のフォークロージャーのうち、実際に銀行が担保として差し押さえた物件数は、前年比183%増の7万7295件と、依然、1年前に比べ3倍近くとなったままだ。これは、2005年1月に同調査を開始して以来の大幅増で、前月比でも8%増となっている。
銀行差し押さえ物件数は昨年8月のクレジット市場危機以来、合計で68万件強となっている。
リアルティトラックのジェームズ・サカシオCEO(最高経営責任者)は、「銀行差し押さえが目立って増えている。その一方で、住宅販売が低迷しているため、銀行が保有する住宅在庫は増える一方だ」と指摘する。同社によると、こうした銀行が保有する住宅在庫は75万戸を超え、中古住宅販売物件の約17%を占めるという。(了)
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