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米国経済危機の現状と展望1 総論 09年に入り経済危機が深刻化、需要不足が急速に拡大
09年に入り経済危機が深刻化、需要不足が急速に拡大
長期縮小に陥るリスクが強まる中、景気・金融対策がきわめて重要に
09年に入り、08年晩秋に米億が経済危機に陥っていたことが明らかになった。そして、1月後半からは危機の悪化に拍車がかかっていること、米国経済の需要不足(供給超過)が急拡大しつつあり、早急な政策対応がなければ、その先には長期縮小による均衡回復が待ち受けていることも分かってきた。オバマ政権は、この最悪のシナリオを回避するため、巨額の景気対策と新たな金融安定化策の成立を急いでいる。そこで、今後数回にわたり、米国経済の現状判断、金融安定化策の概要と効果、景気対策の概要と効果、二つの対策を踏まえた今後の景気見通しを報告していく。
1.現状評価
(1)08年晩秋に経済危機に陥った米国
経済危機の主因は、いち早く初秋に危機に陥った金融部門から実体経済に対する強烈な負のフィードバックである。過大なレバレッジの解消が加速する過程で発生した金融危機は、金融市場の緊張を著しく高め、過去数十年では最強の信用収縮を引き起こした。政府・FRBは、危機に果敢に対応したが、銀行間市場の緊張を緩和するのがやっとだった。家計と企業は、金融部門から厳しい信用収縮や金融市場の混乱に起因する不確実性のフィードバックを受け、やむなくリスク回避指向を強めて、支出・投資を大幅に絞り込んだ。
景気の急激な悪化は、実体経済から金融部門への負のフィードバックも強め、実体経済と金融部門の相乗的な悪化も生じてしまった。金融部門の不良資産は増え、約2,000億ドルの公的資本注入を受けても、ここの金融機関の経営基盤は安定にはいたらなかった。公的資本注入によって恐慌は回避されたが、金融機関の貸出姿勢の厳格化までは止められず、支出・投資が急減してしまった。
(2)09年に入り需要減少に拍車がかかり、第1四半期は-5%成長、GDPギャップ5%台半ばへ
09年に入り、経済危機は一段と深刻化している。家計は、強い信用収縮が続いている上に、雇用所得環境も急速に悪化してきたため、危機意識を高め、消費の削減、住宅購入の先送り、貯蓄の積み増しといった守りの動きを強める一方である。しかも、引き続き足元の景気に照準を合わせた対策はない。09年第1四半期は、景気後退に拍車がかかることが確実であり、実質GDPの落ち込みは前期比年率5%前後と、08年第4四半期よりも大きくなるだろう。GDPギャップは5%半ばにふくらみ、1983年以来、約26年ぶりの需要不足が生じると見込まれる。
2.当面の展望
(1)景気対策欠けばGDPギャップは6~7%へ膨らみ、家計と企業が縮小均衡に走り出す恐れ
これだけ大きな需要不足という不均衡を放置し続ければ、家計と企業は縮小均衡に向けて走り出してしまう。万一、第2四半期以降を対象にした景気対策が用意できないか、その規模が小さすぎれば、企業部門は自発的に過剰と認識した雇用や設備の削減を進め、それが雇用所得環境を悪化させて個人消費が減り、需要不足に拍車がかかり、企業はいっそうの供給能力削減を迫られるという自立的な縮小が続いてしまうだろう。1月に大幅な落ち込みを示した雇用、個人消費、小売売上高、自動車販売台数などはその兆候とも取れる。一部の識者は、「ダウンサイズする米国経済」という衝撃的な見方さえ示し始めている。
(2)巨額の過剰債務とそれに応じた過剰消費の解消が進む恐れ
不均衡の調整が市場に委ねられれば、削減対象の債務や需要項目が巨額になり、調整機関が数年に及ぶ恐れもある。過度の信用膨張が続いた期間が02年から07年までであり、その間に債務と個人消費・住宅投資等が連動して持続不能なペースで拡大した。たとえば、家計の債務残高のGDP比は01年末75%から07年末98%へ上昇した。同比が01年以前の上昇トレンドで推移していれば07年末は81%であり、それよりも債務残高は2割強多い計算になる。同債務は08年後半から減少に転じたばかりであり、経済危機が長引くようなら、家計と金融機関にとって過剰感が消えるまでに相当の債務削減が必要になってしまう。
(3)「失われた10年」を避けられるかどうか、正念場を迎えている米国経済
オバマ大統領は2月5日付ワシントンポストへの寄稿の中で、何もしなければ景気後退は数年続き、500万人以上の雇用が消え、失業率は2桁に達すると訴えた。足元の大幅な需要不足、過大な債務と個人消費の水準から見て、大統領の警告は妥当であり、適切な景気対策と金融安定化策が用意・実施されない場合には高い蓋然性を持つ。今は米国経済が長期縮小に陥るか否かの正念場である。民間部門が一方的に守りに走り、それが景気後退を加速させている以上、政府が自ら需要を創出するとともに民間部門を最大限に刺激することによって需要創出を促すなどして、GDPギャップをできるだけ早期に、極力小さくすることが最優先の政策課題であろう。
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