村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

デフレ圧力の長期化を意味する完全失業率の低下

1月の完全失業率は、4.9%となり、昨年12月(5.2%)から0.3%ポイント低下しました。完全失業率が4%台になるのは、昨年3月以来10カ月ぶりのことです。市場関係者による事前調査では、1月の完全失業率は5.2%前後が予想されていましたので、結果は予想以上に良かったといえます。

1月に完全失業率が大きく低下したのは、完全失業者の数が減っただけでなく、労働力人口が大きく増加したためです。完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合を示したものですので、完全失業率の分子にあたる完全失業者が減るだけでなく、分母である労働力人口が増加しても完全失業率は低下します。

1月の労働力人口は、昨年12月から43万人も増えています。昨年(2009年)に労働力人口は65万人減少していますので、わずか1カ月で昨年の減少分の3分の2を取り戻したことになります。

過去の歴史を見ると、景気が悪化すると、労働力人口は減少する傾向にあります。労働力人口は、職の有無にかかわらず仕事をする意欲がある方の総計ですが、景気悪化により職探しをあきらめる(仕事をする意欲を失う)方が増え、労働力人口は減少します。

一方、景気回復の初期には労働力人口が増加します。景気回復に伴い職を得られる機会が増えると考える方が増えるため、職探しを再開する方が増えるからです。ただ、景気回復の初期には、職探しを再開しても職が得られないことも多いので、労働量人口だけでなく完全失業者も増えます。よって景気回復の初期には、労働力人口が増えるだけでなく、完全失業率も上昇する傾向にあります。

興味深いのは、今回(今年1月)の結果は、労働力人口が増加する一方で、完全失業者が減少したことです。つまり、既存の失業者が職を得ただけでなく、職探しを再開した方も職を得たことになります。

雇用者数を産業別にみると、製造業が前月から11万人減少した一方で、卸小売業が前月から18万人、介護サービスなどの医療・福祉が14万人増えるなど、いわゆるサービス業の雇用が増えています。サービス業は、労働集約的な産業ですので、今後も卸小売や医療・福祉といった業種の雇用が増えることが期待されます。

前回の景気拡大期では、製造業が雇用の吸収源となりましたが、今回は卸小売や医療・福祉といったサービス業が、その役割を担うといえそうです。ただサービス業の一人あたり賃金は、製造業に比べ低いので、たとえ雇用が増え続けたとしても、前回の景気拡大期と比べて、日本全体で受け取る賃金(雇用者報酬)の伸びは低くなるでしょう。このため、個人消費の増加ペースも、前回景気拡大期よりも緩やかなものといえ、デフレ圧力も前回以上に長く残り続けることになります。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2010年1月の労働力人口は昨年12月からどれくらい増えた?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

43万人

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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