財務長官という立場が発した米国債格下げリスクの否定コメント
ガイトナー米財務長官は、2月7日に放映されたABCテレビとのインタビューで、米国債の格下げを懸念しているか、との質問に対し、格下げは「絶対にない」と述べ、「我が国に関しては決して起こりえないだろう」とも語りました。
国債の格付けは、国債を発行する政府の財政赤字や経済成長率などによって決まります。財政赤字が拡大したり、経済成長率が低下すると、国債の利払いや償還が滞る可能性が高まるため、格付け会社が国債の格付けを引き下げることがあります。
2月2日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は、米オバマ政権の予算は持続可能な債務水準に向けた小さな一歩、としたものの、米国債の格付け(AAA)を維持するには一段の措置が必要との考えを示しました。ガイトナー長官にインタビューしたABCテレビの質問は、ムーディーズのコメントを意識したものと思われ、ガイトナー長官は、間接的とはいえ、ムーディーズの見方を否定したといえます。
オバマ米大統領が発表した2011年度の予算教書によると、2010年度の財政赤字は1兆5600億ドル、GDP比で10.6%になることが見込まれています。財政赤字のGDP比が10%を超えるのは2009年度を除くと、第二次世界大戦中の1945年度以来となります。また、オバマ大統領は、予算教書で国防関連以外の国内支出の伸びを3年間凍結するとしましたが、米国景気が低迷しているなか、大規模な財政再建をすることは政治的に難しいと考えられます。
こうした状況を考慮すると、2011年度以降、財政赤字が大きく縮小するとも思えません。米国の財政事情が大きく悪化し、その後も改善が見込まれないのであれば、ムーディーズでなくても米国債がAAAを維持するためには一段の措置が必要と考えるのは自然のことといえます。
ガイトナー長官は、米国債の格下げリスクを全面否定したとしても、それはあくまで財務長官という立場から出たコメントと考えたほうがいいでしょう。今後も、米国の当局者が、財政事情が厳しくても、米国債の健全性をアピールする姿を数多く目にすると思われます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
オバマ米大統領が発表した2011年度の予算教書によると、
2010年度の財政赤字はどれくらいになる見込み?
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