村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

景気を引っ張る力はない日本の設備投資

1月14日に発表された09年11月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる民需(除く船舶・電力)は、前月比11.3%減の6,253億円と、現行統計開始(1987年4月)以来、最低の結果となりました。これにより、内閣府は、基調判断を「下げ止まりつつあるものの、一部に弱い動きがある」と12カ月ぶりに下方修正しています。

民需(除く船舶・電力)は、設備投資の先行指標であるとともに、景気の先行指標の面もあります。設備投資が拡大すれば、景気も拡大する、という考え方がベースにあります。11月の結果が、統計開始以来最低の水準となったことで、景気は回復しておらず、依然として厳しい状況にあるとの指摘もあるようです。

ただ、機械受注統計は、結果が上下に大きく振れる傾向があるのため、11月の結果だけで景気を判断するのは危険だと思われます。景気との連動性が強い機械販売額は、11月も横ばい圏で推移しており、景気回復を否定するほどの結果とはいえません。

また、11月の結果が弱かったのは、非製造業(特に通信業と金融保険業)の落ち込みによるもので、製造業は比較的健闘しています。世界経済、為替レートともに落ち着きを見せつつありますので、製造業の設備投資が、今後すぐさま、大きく落ち込むようなことはないように思われます。

しかし、機械受注の結果は、設備投資の回復がまだまだ先であることを示したのは事実です。非製造業の設備投資が落ち込んだのは、個人消費の回復が遅れていることが背景にあります。雇用・所得環境の改善には、まだまだ時間もかかるでしょうから、非製造業の設備投資が拡大するのも時間がかかることになります。

製造業の設備投資もあまり期待できません。日銀短観の設備判断DIをみると、製造業の設備過剰感は、最悪期を脱したとはいえ、まだまだ非常に強い状況です。アジア諸国とのコスト競争を考えると、日本の製造業が生産拠点を海外に移す動きを続けるでしょうから、国内の設備投資が回復したとしても、その規模は限定的と思われます。

設備投資は、景気回復に力強さを与えるものだけに、景気を重視する方々にとって、今回の機械受注の結果は、失望に値するでしょう。今後、日本景気が回復を続けるとしたら、まずは(いつものように)輸出拡大を待つしかない、と考えざるをえないのでしょう。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2009年11月の機械受注において、民需(除く船舶・電力)が
弱かったのは、どの業種が弱かったため?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

非製造業(特に通信業と金融保険業)

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03月12日更新

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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