村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

日本の後追いが予想される米国のデフレ表明

11月20日、菅副総理(経済財政担当)は、閣議後の記者会見で、日本経済は「デフレ状況という認識だ」と述べ、物価が継続的に下落する状況にあるとの見方を初めて示しました。政府がデフレを表明するのは、2006年8月以来(3年3カ月ぶり)となります。

日本で生活する方々にとって、日本の物価が下落傾向を続けていることに違和感はないだろうと思われます。今後も、家計所得の低迷が続く可能性が高いこともあり、物価の下落傾向は続くでしょう。また、日本で生活する方々の多くは、そうした状況に慣れている気もします。

物価下落が続く(いわゆるデフレ)という現象は、日本だけでなく、今後は米国でも馴染みにあるものになるでしょう。11月17日に発表された米国の生産者物価(10月)は、前月比+0.3%と、市場予想(+0.5%)を下回りました。市場予想を下回ったとはいえ、前月比でプラスなのだから、デフレとはいえない、という声もあるようですが、前月比+0.3%のうち+0.28%は、エネルギー価格の上昇によるものです。実際、生産者物価のうち変動の大きい食料とエネルギーを除いた最終財物価(コア指数)の伸びは、前月比▲0.6%と、2カ月連続のマイナスとなり、マイナス幅も拡大しています。

最終財の内訳をみると、ガソリンや暖房オイル、電力が1%程度のプラスとなっていますが、乗用車、玩具・ゲームが0.5%程度のマイナスとなっています。ガソリンといったエネルギーは、原油価格の上昇によるものですので、米国の需要が強いことを意味しておらず、むしろ乗用車などの物価が下落していることを考えると、米国の需要は、以前に比べ相当弱くなったといえます。

米国の物価については、超低金利政策が長期化することや、莫大な財政支出もあり、インフレ懸念が強い、という見方もあります。しかし、生産者物価の動きをみる限り、需要が強いとはとてもいえず、家計や企業のバランスシート調整が今後も続くことを考えると、足元で弱い需要が回復する見込みも薄いといえます。

日本経済がデフレに苦しみ始めたのは、企業のバランスシート調整が顕在化した98年からでした。今のところ、米国の家計や企業のバランスシート調整が大きく注目されることも少ないようですが、住宅価格の上昇が見込みにくい以上、いずれバランスシート調整が、家計消費や企業業績の重石になるでしょう。米国のバランスシート調整が注目される頃、菅副総理のように米国政府の要人がデフレを正式に表明することになるのでしょう。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

10月の生産者物価の伸びはどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

前月比+0.3%
(市場予想(+0.5%)を下回った)


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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