村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

ドル安政策への転換を示唆するオバマ政権の追加経済対策

オバマ米大統領は、ホワイトハウスで声明を読み上げ、追加対策の検討に着手したことを明らかにしています。具体的には、雇用促進を目的とした法人税減税や、中小企業への資金供給策のほか、輸出促進や米製造業の世界市場での販売支援も積極的に検討するとしています。

法人税減税や中小企業への資金供給策は、米国内だけで完結するものですが、輸出促進策は、輸出先との貿易摩擦を強めるだけに注意が必要です。特に中国に対しては、中国製の光沢紙と化学製品のダンピング(不当廉売)被害を認める仮決定をしたほか、自動車タイヤに対する緊急輸入制限(セーフガード)の発動、油田から原油を抽出する鋼管に反ダンピング関税の仮決定をするなど、米国が攻撃的な姿勢を示しています。今回明らかになった輸出促進策で、中国の対米姿勢を硬化させることは避けられないでしょう。

10月の米国の失業率は、10.2%と9月の9.8%から大きく上昇し、83年4月以来の10%超となりました。非農業部門雇用者数も前月比19万人減と、減少幅は9月から縮小したものの、22カ月連続の減少となり、第二次世界大戦後の最長記録を更新しています。また、9月の消費者信用残高は、前月比148億ドル減と8カ月連続の減少となりました。消費者信用残高は、自動車ローンやクレジットカード利用残高を集計したもので、消費に直結する借入額を示しています。

失業率が上昇し、消費者信用残高が減少を続けている以上、米国の消費が回復するのを期待するのは難しいでしょう。7-9月期の米国のGDP統計では、個人消費が前期比(年率)3.4%と、2年半ぶりの高い伸びを示しましたが、これはあくまで一時的なものとなりそうです。オバマ大統領が、輸出促進を含めた追加対策の検討を明らかにしたのも、米国の雇用を守るためには、米国の内需だけでは力不足で、外需の取り込みも必要と判断したためといえます。

米国が外需の取り込みを視野に入れたのであれば、1990年代後半から続けられてきたドル高政策も終焉すると考えるのが自然です。むしろ外需を取り込みたいのであれば、米国はドル高政策からドル安政策に転換することになります。

米国の雇用情勢次第とはいえ、米国のドル安政策は、そう遠くない将来に公言されるように思われます。その際、米国は、中国やユーロ、日本といった国々と連携をし、ドル安誘導を進める可能性もあります。つまり第二のプラザ合意もありえることになります。


村田雅志(むらた・まさし)


●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

10月の米国の失業率はどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

10.2%

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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