村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

長く続くとは思えないドル円の上昇

昨日(9月16日)のNY為替市場では、ドル円がやや強い動きを示しました。昨日のドル円は、東京市場が終わるころ(日本時間14時台)には91.10円台で推移してきましたが、藤井新財務大臣の介入否定発言が報道されると、ドル円は一気に下落し、日本時間18時台には90.10円台をつけました。

米国経済のファンダメンタルを考えれば、このままドル円は下落トレンドを続ける可能性も十分ありましたが、NY市場が始まると動きが変わります。米国株が堅調に推移したことで、米国債利回りも上昇し、ドル買いの動きが加速します。ドル円は、日本時間17日3時台には、一時91.30円台と、昨日(9月16日)の高値を更新しました。

米国株が買われ、米国債利回りが上昇したきっかけとして、昨日発表された米消費者物価指数と鉱工業生産の結果が考えられます。8月の米消費者物価指数は、前月比0.4%の上昇と、市場予想(同0.3%の上昇)を上回りました。また、8月の鉱工業生産は前月比0.8%の上昇と、これも市場予想(同0.6%の上昇)を上回っています。物価が強めで、景気との連動性が強い鉱工業生産も強めということで、米国景気に対する安心感が高まり、株高・債券安(利回り上昇)がセットとなり、ドル高を後押ししたといえます。

気の早い市場関係者の中からは、昨日の状況を目にし、来週の22、23日に開催されるFOMCで利上げ(いわゆる出口戦略)について議論されるとの見方が出ているようです。一昨日、バーナンキFRB議長が、ワシントンでの講演で「景気後退は終わった可能性が高い」と発言したことも、こうした見方の自信を強めているのかもしれません。

しかし、消費者物価指数にせよ鉱工業生産にせよ、好結果は政府による景気刺激策の効果が表面化しただけのように思われます。米国消費の源泉である雇用は、依然として減少を続けており、民間部門が自立的に回復しているとはいえません。

こうした認識は、FRBもほぼ同じと思われ、政府の景気対策が、今後の展開を左右する以上、利上げを議論することが、現時点で必要か疑問が残ります。むしろ、米国景気の回復を続けるためには、今後も政府による景気刺激策が必要といえ、利下げよりも現在の金融緩和策を継続し、政府の資金調達をバックアップすると考えたほうが自然に思えます。

こうした考え方をもとに、今後の為替市場を展望してみましょう。米国景気の回復が政府頼みであり、政府を支援するためにFRBが金融緩和策を続けるのであれば、米国の株価や利回りの上昇が続くのは難しいと考えられます。つまり、昨日のように、ドル円の上昇が続くことも難しそうだと言える気がします。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

8月の米消費者物価の伸び(前月比)はどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

0.4%の上昇


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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