村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

米国からの資金流出を示しているのかもしれないドル安の展開

ここ数日、ドル安の流れが続いています。外国為替市場では、昨日(9月10日)の夜、ニューヨーク市場に入ると、ドル安が進み、ドル円は、92円台から一気に91円40銭台まで下落しました。スイス中銀によるドル買い介入の噂が流れたことで、ドル円は、その後、持ち直しの動きを見せましたが、翌日(9月11日)の東京市場でもドル売りの流れは続きます。この原稿を執筆している9月11日の午後4時までに、ドル円は一時90円99銭と、約7カ月ぶりのドル安水準を記録しています。

ドル安が続いている理由として、マスメディアなどでは、リスク選好の強まりを指摘する声が出ています。リスク選好とは、その名の通り、リスクをどれだけ取るかを示す考え方で、リスク選好が強まれば、投資家はリスクをより多く取る、と考えます。

現在、米国の債券利回りは、FRBの量的緩和政策を背景に低水準で推移しています。米国の投資家にとっては、米国の債券利回りが低いと投資の収益が小さくなってしまうため、もっと利回りの高い米国以外の国に投資をすることも選択肢として浮上します。しかし、米国以外の国に投資をした後にドル高になってしまうと、ドル建てで見た収益が低下してしまいます。つまり、米国外への投資は、ドル高、というリスクが存在することになります。

足元のマーケット関係者において、リスク選好が強まるということは、米国の投資家がドル高のリスクをより大きく許容し、米国以外の国に投資をする姿勢を強める、ことを意味します。リスク選好が強まると、米国以外の国への投資が進むわけですから、ドル安も進む、というロジックになります。

ただ、個人的には、こうしたロジックよりも、米国の景気対策が終わりに近づきつつあることに、もっと注意を払うべきに思われます。米国政府による新車購入助成金制度は、すでに打ち切られたほか、11月には住宅購入減税も終了します。米国の投資家が、米国外に投資をしているのは、単にリスク選好が強まったためではなく、米国政府の景気対策が終わりを迎えつつあることで、米国内での投資先の魅力が低下してしまったためともいえます。

政府による景気対策が終了しても、民間部門の回復によって米国景気が回復を続ける、というシナリオも否定はできません。しかし、米国の雇用が依然として減少を続けているほか、物価の伸びが縮小傾向を続けていることを考えると、政府による景気対策がなくなってしまうと、米国の消費も再び弱くなる可能性が高いといえそうです。

言い換えると、足元のドル安は、これまで発展を続けてきた米国経済からの資金流出を示しているのかもしれません。米国政府による追加的な景気対策が実施されない限り、米国からの資金流出、つまりドル安も続くような気がします。


村田雅志(むらた・まさし)

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ドル円が90円台になったのは何カ月ぶり?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

約7カ月ぶり


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03月12日更新

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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