村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

テレビ広告の地位低下を示す政党広告の方針転換

8月に入り、在京民放キー局(いわゆるテレビ局)5社の4-6月期決算が出そろいました。売上高は、TBSホールディングス(TBS)を除き、8%から14%の減少となっています。ただ、TBSも放送事業だけでみれば、売上高は14%も減少しています。

テレビ局の売上高の多くは、広告収入です。つまり、テレビ局の売上高が減少していることは、テレビ広告の売上高が落ちていることを意味します。

テレビ広告は、スポット広告とタイム広告に大別されます。スポット広告とは、番組や時間帯の指定のないテレビ広告を意味し、タイム広告は、特定の番組において放映されるテレビ広告を意味します。一般に、スポット広告は、タイム広告に比べ景気に左右されやすいと言われています。

テレビ広告の売上高が減少した、と聞くと、景気が悪化したため、と考えたくなります。仮にこの仮説が正しいのであれば、テレビ広告の売上高は、スポット広告で大きく落ち込むことになります。

しかし、在京民放キー局5社の決算をみると、スポット広告だけでなくタイム広告も同程度のペースで減少していることが分かります。自動車、電機、金融といった大手企業が、タイム広告を大きく減らしたためと言われています。

自動車、電機、金融は、今回の不況期で、売上高を大きく減らした業種です。広告主の事業が大きく縮小したために、広告費が大きく削られ、テレビ広告が大きく減った、という図式は、それなりにわかりやすいものといえます。

ただ、今後、景気が回復し、自動車や電機といった大手企業の業績が回復したとしても、それでテレビ広告が再び拡大するかというと、やや疑問に思えます。景気の良し悪しにかかわらず、広告業界におけるテレビの地位は、低下を続けると思われるからです。

テレビ広告の地位の低下は、企業決算からも分かります。インターネット広告媒体最大手ヤフーの4-6月期の決算をみると、広告事業の売上高は1.4%の減少にとどまっています。大手企業からの広告が減ったことはテレビと同じですが、中小企業の広告出稿が大きく伸び、大手企業からの出稿の減少を(ほぼ)カバーしました。

公明党は、8月30日に予定されている総選挙において、テレビCMを放映せず、代わりにインターネットで政策を紹介する動画を公開すると発表しています。発表によると、公明党は、30秒から60秒の動画を14本制作し、党のホームページで公開します。テレビCMに投じていた費用は、インターネットや雑誌、夕刊紙の広告に振り向け、公明党の動画公開を宣伝するそうです。

公明党にとって、今回の総選挙はかなり厳しいものと思われ、それだけ広告宣伝にかける思いは非常に強いはずです。その公明党がテレビCMを使わず、ネットを中心とした広告展開に切り替えたことは、景気動向にかかわらず、テレビ広告の地位低下が進んでいることを分かりやすく示した例と思われます。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

テレビのタイム広告って何?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

特定の番組において放映されるテレビ広告のこと

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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