村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

米住宅市場の先行きを決めるのは景気ではなく金融システム

7月27日に発表された6月の米新築住宅販売戸数は、前月比11%増の年率38.4万戸と、市場予想(同35万戸)を大きく上回り、2000年12月以来の大幅な伸びとなりました。これで、前月比のプラスは3カ月連続となります。

新築住宅の販売戸数が増加したことで、住宅在庫も減少しています。住宅在庫は、前月比4.1%減の28.1万戸と、1998年2月以来の水準まで低下しています。販売戸数に対する在庫戸数の割合(在庫月数)も8.8ヶ月と、2007年10月以来の低水準となっています。

新築住宅市場に明るい兆しが出てきた背景には、住宅価格の下落があります。新築住宅の販売価格の中央値は20.6万ドルと、前月比5.8%減、前年比12%減と低下傾向が続いています。

米国ひいては世界的な不況の元凶となった米国の住宅市場に明るさが出てきたことで、米国景気の先行きを楽観視する動きも出てきています。為替市場では、ドル円レートが95円30銭台まで上昇したほか、株式市場では、ダウ工業株30種平均が、9100ドル台まで上昇しました。

日本の場合、住宅バブル崩壊後、住宅市場が一時的に持ち直したものの、その後、再び低迷する結果となりました。このため、米国においても、今回の増加基調は、あくまで一時的なものにすぎない、との見方は、少なからず存在しています。

ただ、日本の場合、人口減少や少子高齢化の進展といった構造的な要因が、住宅需要を押し下げています。一方、米国の場合、人口が増加傾向にあるなど、住宅需要は底堅いと思われます。今回のように住宅価格の下落が進めば、住宅市場が、数の面で拡大に転じるのは、それほど不思議なこととではないように思われます。

問題があるとすれば、住宅価格の下落が中途半端な水準で止まってしまったり、金融システム不安の再燃で住宅ローンが縮小を続けてしまう可能性がることでしょう。特に金融システム不安については、新たな不良債権問題が発生するなど、まだまだ安心できる状態にあるとはいえません。

米国の住宅市場の先行きについては、どちらかというと景気の先行き次第、と考えることが多いようですが、むしろ金融システムの先行きに注意すべきだと思われます。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2009年6月における米国の新築住宅の販売価格は
どれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

20.6万ドル(中央値)

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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