村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

増産でもデフレ懸念が高まる日本経済

4-6月期の電子部品生産は、大きく戻しているようです。各種報道によると、電子部品大手の村田製作所の4-6月期の受注額は、1-3月比で4割増加し、小型モーター大手の日本電産の4-6月期の出荷台数は、1-3月比で約3割増えたようです。

電子部品メーカーなど30社を対象とした日本経済新聞の「電子部品景況調査」によると、今年7-9月期の景況感について、64%が「良くなる」と回答しています。あくまで見込みではあるものの、電子部品メーカーは、4-6月期に続き、7-9月期も景況感(受注額)が改善することになります。

電子部品は、日本の製造業の中核を担う産業ですので、電子部品の生産拡大をきっかけに、他産業の生産活動も拡大傾向を続ける展開も考えられます。一般に日本景気は製造業の生産活動と連動する傾向がありまので、電子部品の好調は、景気回復のシグナルと考えられなくもありません。

しかし、電子部品や他産業の生産が拡大傾向を続けたとしても、それで日本の景気の改善も続くわけではないような気がします。企業が生産を拡大させたとしても、世界経済の改善が急速には見込めない以上、昨年秋の大幅原産をすぐに全て取り戻せるとは思えないからです。これは、企業経営者の多くが感じるところでもありますので、企業は、増産に対して雇用を増やすわけではなく、残業を増やすか、せいぜい派遣労働者を増やす程度でしょう。

雇用の改善が見込めない以上、生産の拡大が家計所得の増加につながらないことになります。家計所得が増えなければ、個人消費が拡大することは難しく、消費者物価に下落圧力がかかります。これは、2003年から04年にかけて日本が経験した展開と同じです。

7月7日の日本の債券市場では、新発10年債の利回りが、3月27日以来、一時1.3%を割り込みました。4月、5月は、日本政府が経済対策の財源に17兆円もの国債発行を計画したことから、長期金利は一時1.560%まで上昇しました。今の日本経済は、政府が17兆円もの借金をしても、それを消化できるほど運用難であるともいえます。

言い換えれば、今の日本経済は、国債にしか運用先を見出せないほど、経済成長が見込めないと思われているともいえます。こうした状況では、緩和的な金融政策や多額の財政支出を元に戻す「出口戦略」も、必要となるのは当面先といえそうです。

村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

日本経済新聞の「電子部品景況調査」において、
今年7-9月期の景況感について「良くなる」との回答は何%?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

64%


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03月05日更新

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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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