個人投資家ほど注意したい中国株上昇の背景
ロイターは、上海証券報の報道を引用し、中国政府系シンクタンクの研究員が、中国での資産バブルの可能性を指摘したと報じています。報道によると、国務院発展研究センターの上級研究員である魏加寧(Wei Jianing)氏は、中国の新規融資の半分近くが株式や不動産といった金融資産に流れ込み、資産価格を押し上げていると指摘したそうです。
こうした指摘の背景には、銀行融資の急速な拡大があります。今年1月~5月の新規銀行融資の増加額は、約5兆8000億元に達し、昨年1年間の増加額(4兆9100億元)を大きく上回っています。ここまで融資が急速に拡大したこともあり、中国の金融当局者も、株式や不動産への投資に融資がまわされているため、と推察したようです。中国銀行業監督管理委員会は、6月に入り「緊急」とした通達を銀行に送り、月末に融資が急増することのないよう指導するとともに、銀行融資が株式・不動産投資に違法に利用されていないかを調査するチームを派遣したそうです。
中国の名目GDPは約30兆元ですので、5カ月分の名目GDPは12.5兆元となります。言い換えれば、今年1月~5月の新規銀行融資の増加分は、名目GDPの46%に相当します。日本でいえば、新規銀行融資が、わずか5カ月で235兆円も増えたことになります。いくら中国の経済成長率が高いとはいっても、これだけの金額全てを実体経済だけで引き受けられるとは思えません。金額の大小は不明ですが、新規銀行融資の一部が株式や不動産投資に回っているのは、否定できないと思われます。
最近、中国株の上昇が続いています。中国株の代表的な指数である上海総合指数は、6月26日に2928.211と、3日連続で年初来高値を更新しました。また、中国株の好調もあって、国内で販売されている中国株ファンドは、7カ月連続で資金が流入超の状態です。今月に入っても、「インベスコ中国株式ファンド」や「日興フォルティス中国A株ファンド(愛称:万里)」など、中国株ファンドの大型設定が相次いでいます。
中国が、世界的な不況の中でも高成長を続ける期待が高まっているのは事実ですが、中国株の上昇が、単に高い経済成長だけで説明されているわけでもなさそうです。中国の金融当局が、株式や不動産への投資に銀行融資が使われないよう、規制を強める可能性も否定できません。中国株が上昇し、中国株ファンドへの資金流入が続いていることで、乗り遅れまいと、中国株への投資を検討される個人投資家も増えているのかもしれません。もしかしたら、こういう時こそ、少し慎重な姿勢を強めたほうが、長期的には正解のような気もしています。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国の名目GDPは、だいたいどれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
約30兆元(30.067兆元、2008年)
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