名誉ある職業から敬遠される職業へ 米国から考える日本の新聞記者
米国では、いわゆる新聞離れが進んでいます。ABC(The Audit Bureau of Circulations)によると、日刊紙(平日紙)395紙の今年3 月時(2008年10月~2009年3月)の発行部数は、前年同期比7%も減っています。昨年の9月時では、日刊紙(平日紙)の減少率は、4.6%でしたので、発行部数の減少ペースは加速しているといえます。
発行部数の減少は、新聞の広告媒体としての価値の低下を意味します。さらに新聞の広告単価は、比較的料金が安いインターネット媒体の出現によって低下傾向を続けています。この結果、新聞社にとって大きな収益源である広告収入は、大幅な減少が続いています。
こうしたことから、米国の新聞社は、編集者のリストラを進めています。米ニュース編集者協会(ASNE)によると、昨年の米新聞社の編集者の数は、前年比11%減の4万6,700人と、1979年以来の低い水準となっています。
フジサンケイビジネスアイWEB版は、ブルームバーグ社の記事として、米国新聞社の不人気ぶりを報じています。記事では、米ハーバード大学の大学新聞(ハーバード・クリムゾン)の学生編集幹部16名のうち、ジャーナリストを志望するのは3人のみという事例が紹介されています。1960年から70年代なら、クリムゾン幹部の過半数は、新聞社に就職したそうです。
ハーバード・クリムゾンは、ピューリッツァ賞受賞者を12人も排出するなど、将来有望なジャーナリストを輩出する大学新聞として知られている存在です。そんな名門ともいえる大学新聞の幹部がジャーナリストを志望しないのは、先程ご紹介した新聞業界のリストラが背景にあると思われます。
新聞社でリストラを進めている以上、大学生がジャーナリストへ志望することを躊躇するのも無理はないと思われます。ハーバード大学といった名門大学を卒業しても、新聞社に就職してしまったがために、すぐにリストラされてしまうのであれば、大学での苦労も報われません。
こうした話は、米国だけではなく、いずれ日本でも目にするのでしょう。新聞離れ、新聞の広告単価の下落は、日本でも生じていることで、いずれ日本も米国と同様に、新聞社のリストラが進むと考えられるからです。以前は名誉ある職業として知られていたジャーナリスト(新聞記者)は、時とともに、大学生が敬遠する職業の一つになってしまうような気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
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ハーバード・クリムゾン
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