村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

期待にこたえるのに時間がかかりそうな中国経済

中国では、金融緩和策が続いています。4月の銀行融資の増加額は、前年同月比26.2%増の5918億元(約8兆5000億円)となりました。これにより、融資増加額の1―4月累計は、5兆1,000億元となり、すでに昨年1年間の融資増加額(4兆9,100億元)を上回っています。また、4月末のマネーサプライ(通貨供給量)は、前年同月比26.0%増と、現行統計開始(1999年)以来、最大の伸び率を示しています。

一般に、金融緩和策が続けば、インフレ圧力が高まり、物価は上昇傾向を強めると考えられています。しかし、中国の場合、金融緩和策が続いているにもかかわらず、中国の物価は下落傾向にあります。4月の中国の消費者物価指数は、前年同月比1.5%の下落と、3ヶ月連続のマイナスとなりました。また、4月の工業品出荷価格は、同比6.6%の下落と、5か月連続のマイナスとなっています。

一般の方々にとって、中国は経済成長が著しい国との印象が強いかもしれませんが、中国国内の需要(内需)は、中国国内の生産(供給)能力ほど強くありません。中国の経済成長は、主に、米国を始めとする先進諸国への輸出(外需)が増えたことによってもたらされたものだからです。

内需が(供給能力に比べ)弱い国では、外需が弱くなると、需給ギャップが大きくなり、物価が下落しやすくなります。その典型例が日本です。外需によって需給ギャップが左右されるという意味では、中国も日本と似ているといえます。中国において物価が下がっている、ということは、中国の内需が物価を押し上げるほど強くないことを意味します。

市場関係者などの間では、米国経済の回復が期待できない代わりに、中国の経済成長に期待する声が高まっているようです。中国政府による大規模な景気対策が実施されるほか、中国の経済水準は、先進国に比べ、まだまだ成長余力があるといえますので、そうした期待をいただきたくなる気持ちは理解できます。

しかし、米国経済の回復が期待できない以上、中国にとっての外需が大きく拡大することも期待できません。また、物価の状況を見る限り、今のところ中国の内需が盛り上がっているわけでもなさそうです。中国が、期待にこたえるような経済成長を示すとすれば、もう少し後と考えたほうが良い気がします。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

09年4月の中国の消費者物価の伸びはどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

前年同月比1.5%の下落


社会起業家に関するトピック、事例を豊富に紹介するメルマガが登場!
『ソシアレ』~社会起業家的な新しい働き方のスタイル

謎に包まれた政府系ファンド。またの名をSWF。
政府系ファンドの実態を徹底的に解説した良書がいよいよ登場!
政府系ファンド 巨大マネーの真実(日本経済新聞出版)

KlugView PodCast

本コンテンツ「グローバル投資のポイント」をポッドキャストでもご利用いただけます

サイトで聴く(要Windows Media Player

プレイボタンを押すとPC上にてコンテンツを聴くことができます。

iTunesで聴く

iTunesで聴く

このバナーをクリックするとiTunesが立ち上がります。
登録することで新しいコンテンツが自動的に届きます。

Podcast対応ソフトで聴く

Podcast対応ソフトで聴く

このバナーをPodcast対応ソフトにドラッグ&ドロップすることで
新しいコンテンツが自動的に届きます。

オススメ情報

クルクるアンケート

03月05日更新

FX会社比較サイト、使ったことありますか?








みんなの回答を見る

村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

ページトップへ戻る