村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

続くとは思えない今の株高・ドル高

週明け(4月6日)の為替市場では、ドル高の動きが続き、ドル円は、一時、1ドル=101円台前半と、昨年10月21日以来(5カ月半ぶり)の高値をつけました。先週末に実施された金融サミットで、各国政府が大規模な財政支出を公約化したことで、米国を中心とする世界経済の底打ち期待が高まり、ドル買いの動きが強まったようです。

米国株の上昇も、米国景気の回復期待を高めているのかもしれません。先週末のダウ工業株30種平均の終値は、8017.59と、2月9日以来(約2カ月ぶり)の8,000ドル台となりました。一般に、株価の上昇は、投資家のリスク許容度を高めると言われています。米国株の上昇で、投資化のリスク許容度が高まれば、米国経済の重石となっている金融面での信用収縮に歯止めがかかるとの声も一部にはあるようです。

ただ、足元での米国景気回復期待は、あくまで市場の期待をベースとしたものであり、こうした期待はいずれ小さくなっていくと思われます。米国の実体経済の悪化に歯止めをかけようとする当局の対応は、短期的には景気を押し上げるのかもしれませんが、しだいに景気の重石となるからです。

米議会予算局(CBO)によると、2009会計年度の財政赤字は、1兆8,450億ドル(約185兆円)と、史上最大になる見通しと発表しました。米国の名目GDPは、約14兆ドルですので、財政赤字のGDP比は約13%となります。日本の名目GDPは約500兆円ですので、その13%は65兆円となります。今年度予算にて国債発行額が30兆円を超えたことが、(多少)話題になりましたが、米国の財政赤字と比べれば、30兆円を超えた超えないという議論は、大したことないといえそうです。

財政赤字の拡大は、インフレを誘発するか、将来の増税によって景気が低迷するか、どちらかを誘発します。FRBが、米国債の消化を助けるべく、長期国債を最大3,000億ドル買い取る方針を決めているだけに、インフレが生じやすくなると考えた方が自然に思えます。

インフレが進んだとしても、企業の名目所得が増えるのであれば、株価が上昇する可能性は残されています。しかし、一般に、インフレが進むと個人消費が減退し、景気が停滞する可能性が高まります。米国の著名投資家であるジョージ・ソロス氏が、インフレを理由に米国景気が長期にわたって減速するとの見通しを立てたのも、こうした考えかがベースにあります。

インフレが進んだ場合、ドルが高くなることは、考えにくいでしょう。通常であれば、インフレ圧力が高まれば、中央銀行は利上げで対処します。しかし、ここまで経済が悪化しているだけに、米国にてインフレ圧力が高まったとしても、FRBの利上げのタイミングは遅くなると考えられ、金利差に敏感な為替市場は、ドル安の反応を示すと思われます。

先にも述べたように、足元の金融市場は、こうした考え方を否定する動きを示しています。このまま、市場が同じ動きを続けられるかどうかは、大変興味深いテーマと言えそうです。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2009年会計年度における米国の財政赤字はGDP比で何%?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

約13%


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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