村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

市場の認識を改めさせたFRBによる長期国債の購入

日本時間3月19日午前3時15分、米連邦準備理事会(FRB)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ額を7,500億ドルに増額するとともに、長期国債を今後半年間に最大3,000億ドルまで購入することを決定したと発表しました。FOMCの声明文では、MBSや長期国債の買い取りなどを通じて、FRBのバランスシートを拡大させると記されており、FRBが、いわゆる量的緩和政策をさらに推進することを表明しています。

FRBが積極的な金融緩和策を示したことで、為替市場ではドル売りが進みました。FRBの発表後、ドル円は、98円20銭台から一気に2円程度急落し、ユーロドルは1.31ドル台から1.33ドル台へ上昇しています。

FRBが3,000億ドル(約28.8兆円)の規模で長期国債を購入すれば、長期金利が低下し、大量のドルが市中に流入することになります。近年の為替市場が、二国間の金利差を重視する傾向にあることを考えれば、ドル売りが進むのは自然のことと言えます。また、今回の発表をきっかけに、米国へ投資をする海外投資家が、市中に流れ込む大量のドルを回避するだろう、との思惑も高まりやすくなりますので、この点から考えても、ドル売りが進むのも不思議ではありません。

マスコミ報道では、FRBが3,000億ドルという大きな規模で長期国債を購入することが市場にサプライズを与えた、といった記事もあるようです。ただ、ここ半年くらいの経済指標を眺めていれば、FRBが量的緩和政策の規模を拡大することは、ある程度予想されていたことです。多少でも真面目に米国経済の現状を考えていた方ならば、今回のFRBの発表に意外感はなかったでしょう。

それにもかかわらず、為替市場で大きな反応が出てきたのは、市場関係者の多くが、FRBの対応が遅い、とタカをくくっていたためなのかもしれません。FRBは、実質的なゼロ金利政策と量的緩和政策に着手した後、しばらく様子を見る姿勢を示していました。このため、市場関係者が、FRBは、これ以上、踏み込んだことをせず様子を見続けるだろう、と考えていたのかもしれません。

ただ、今回のFRBの対応で、市場関係者もFRBが、それなりに本気だということを感じ取ったと思われます。繰り返しになりますが、経済指標を見る限り、米国経済は厳しい状況で、米国政府とFRBが一致団結して、この局面を乗り切ろうとするのが自然です。市場関係者が、このシナリオに対する認識を強くした以上、為替市場でのドル安は、しばらく続くとみた方が良い気がします。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

FRBが買い取る長期国債の規模はどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

3,000億ドル(約28.8兆円)


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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